クルージングヨット教室物語249
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「なんか、どんどん抜かれていきますね」
うらら以外にも、レース艇が何艇もアクエリアスのことを追い抜いていった。
「ごめんな。俺の腕が未熟なもので・・」
隆は、小島に答えた。
「え、そんな」
「今、追い抜かれていったヨットって、やっぱり上手なんですか?」
「そうね。毎週常にレースに勝つために練習しているヨットたちだからね」
隆は、三浦に答えた。
「私も、毎週頑張って練習します!」
三浦は、隆に返事した。
「ああ、頑張ってね」
隆は、三浦に答えた。
「俺は、普段はラッコにダラダラ乗って過ごしているけど」
「ダラダラって・・」
雪が隆の言葉に苦笑していた。
「もうレース艇は皆、ちゃんと追い抜いていってくれたか?」
隆は、チラッと後ろを振り返りつつ、雪に質問した。
「そうね。もうレース艇は後ろにはいないかな」
「よし、それじゃ、後のヨットにはゴールまで抜かれないように頑張ろうか」
隆は雪に言った。
「そうね」
雪は苦笑した。
「後のには、絶対に抜かれないようにしような」
キャビン出入り口の司令塔、中村さんが言った。
「はい、頑張ります!」
スピンのトリムをしている三浦が中村さんに答えた。
「私も頑張ろうかと思うのですが、何をしましょうか」
小島が隆に聞いた。
「うん、どうしようか。フォアガイの上下の操作手伝ってあげようか」
「はい」
小島が返事した。
「その前に、お昼でも食べてから頑張るか?」
「お昼は戻ってから食べるつもりで、何も積んできていないよ」
中村さんが隆に答えた。
「あ、そうなんですか。ラッコから食事も持ってくれば良かったかな」
隆は、雪に言った。
「大丈夫よ。お昼は戻ってからでも、今はレースを頑張りましょう」
「はい、わかりました!」
雪に言われて、隆は答えていた。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」「文筆のフリーラン」「魔法の糸と夢のステッチ」など
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