「え、どっちの方向?」
香織が聞くと、車の窓から見える景色を確認しながら明子が答えた。
「あ、あっち!」
「右の方向だ」
香織が明子に自宅の方向を確認するのを聞きながら、麻美子は車を進めたいた。
「あ、香織ちゃんの学校!」
「本当だ、うちの学校だね」
香織は、いつも勤務している鶴見の養護学校の建物を見て言った。
「へえ、あれが香織ちゃんが働いている学校なんだ」
麻美子は、車を運転しながら養護学校の建物を確認した。
「香織ちゃんの勤務先なんだ」
陽子たち皆も、香織の勤務先を眺めていた。
「皆に、私の勤務場所がバレちゃった」
香織が笑顔で笑っていた。
「雪ちゃんにバレてないよ」
「そうだね」
雪は、横浜のマリーナすぐ近所に住んでいるから、徒歩で帰ったので車には乗っていなかった。
「あった!お家」
明子の言葉に、その家の前で麻美子は車を停めた。
「後は、お家に帰れる?」
「はい!ありがとうございます」
明子は、麻美子にお礼を言って、自宅に帰った。
「じゃあね」
「来週はヨットに乗ろうな」
隆は、家に入る明子に声をかけた。
「さあ、私たちも家に帰りますよ」
麻美子は、車を出すと、まだエスティマの車内に残っているクルーたちを送り届けてから、隆を連れて中目黒の自宅に帰った。
「香織ちゃん、ありがとうね」
「え、何が?」
香織は、運転している麻美子に聞き返した。
「明子ちゃんに家の場所とか聞いてくれて」
「ううん」
「明子ちゃんって、なんか変わった子だね」
「優しくて良い子だよ」
香織は、陽子に答えた。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」「文筆のフリーラン」「魔法の糸と夢のステッチ」など
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