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クルージングヨット教室物語214

Photo by scopor on Unsplash

「え、何それ?」

麻美子は、先週の横浜のマリーナでのことを聞いて羨ましがっていた。

「それじゃ、子供たちと一緒にヨットに乗ったの?」

「うん。まあ、子供たちと乗ったというよりも、ボートから指導したというか・・」

陽子が麻美子に答えた。

「よかったね。私も先週、マリーナにいたかったわ」

麻美子は、心からそう思っていた。

「何、麻美子はヨットを教えたかったのか」

隆が麻美子に聞いた。

「教えたいって、私じゃヨットのことあまり知らないし、教えられないよ」

「まあ、麻美子じゃヨットのこと人になんか教えられるわけないよな」

隆が笑った。

「何よ、その言い方、憎たらしいんだから」

麻美子は、隆の頭を小突いた。

「教えたいっていうか、私は子供が好きだからさ」

「ジュニアヨット教室は、麻美子の子供ができた時に、その子のことを入れさせれば良いじゃん」

「そうだね」

隆は、ラッコのデッキに上がって、香代や瑠璃子たちと艤装をしていた。

「私、まだ誰とも結婚もしていないし、子供ってどういう意味よ・・」

麻美子は1人呟いた。

「多分だけど、それって照れ屋の隆さんのプロポーズみたいなもんじゃないかな」

陽子が麻美子に言った。

「えっ」

麻美子は、陽子の言葉に戸惑っていた。

「そういえば、麻美子!」

隆が船台の上のラッコから地面の麻美子に声をかけた。

「お昼過ぎから生徒の明け渡しだってさ」

「え?クルージングヨット教室のこと?」

「ああ」

今日は、4月上旬で新しく始まる横浜のマリーナのクルージングヨット教室初日だった。

「また、新しい生徒さんが4人ぐらいくるの?」

「4人も取ったら、ラッコがいっぱいになってしまうから」

隆は、瑠璃子に答えた。

「今年は1人だけ生徒を取った」

「そうなんだ」

瑠璃子は隆に答えた。

「今年の生徒は、俺は何も教えないから、瑠璃子とか皆で教えてやれよ」

隆は、瑠璃子や香代たちに伝えた。

「そうなんだ。確かに、人に教えることで、自分たちの勉強にもなるものね」

瑠璃子は、隆に言った。

「生徒の明け渡しは、お昼過ぎだから、それまでに少しだけ海に出てこよう」

「了解!」

瑠璃子は隆に答えて、ラッコの艤装を終えた。


作家プロフィール

主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」「文筆のフリーラン」「魔法の糸と夢のステッチ」など

東京国際ボートショー開催中の横浜マリーナではクルージングヨット教室生徒募集中!

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