1
/
5

クルージングヨット教室物語213

Photo by snjssk on Unsplash

「なになに、どうかしたの?」

練習を終えて、ポンツーンに戻ってきた。

これからヨットを陸上に上げて、艤装を解除して片付け始めるのだったが、ポンツーンの周りに少年たちが集まっていた。

「なんかいるの?」

陽子が覗きこむと、海面にクラゲがたくさん浮かんでいた。

「クラゲ」

「あ、本当だ!」

陽子が少年に頷いた。

「あれ、捕まえてみたいの」

「捕まえたいのか」

陽子は、ポンツーンの周りを見渡した。

「あ、ヨットがひっくり返った時に、水を掻き出す柄杓があるでしょう。あれをちょっと持ってきてくれる?」

「はい、お姉ちゃん」

少年がヨットに飛び乗ると、柄杓を持って帰ってきた。陽子は、柄杓を海面に入れると、クラゲを掬った。

「ほら、クラゲさん捕まえた」

陽子が少年に見せると、少年たちは嬉しそうに柄杓の中のクラゲを眺めていた。

「何をしているの?」

やって来た女の子に、少年の1人が柄杓を持って近づけた。

「きゃあああー!」

女の子が柄杓のクラゲから逃げ回るので、男の子は面白がって、柄杓を持って女の子たちを追いかけ回していた。

「俺もやろう!」

他の少年たちも、自分たちが乗っていたヨットから柄杓を持ってくると、海面に浮かんでいるクラゲを掬い始めた。

「ほら、クラゲだぞ!」

他の少年たちも、柄杓のクラゲを持って、女の子たちを追いかけ回していた。

「え、私ってもしかしたらマズい遊びを教えてしまったかな」

横にいた香代に、陽子が言った。

「お姉ちゃん、ほら」

男の子が香代のほっぺにクラゲを擦りつけた。

「きゃあああー!」

香代が思わず叫んでしまっていた。

男の子も、女の子もクラゲで遊び始めてしまって、収拾がつかなくなってしまっていた。

「コラッー!」

突然、香織の大声で少年少女の周りに轟いた。

「今はヨットのお片付けの最中でしょう!遊ぶのは、片付けが終わってからにしなさい!」

香織の一喝で、皆はヨットの片付けに戻っていた。

「さすが、先生!」

陽子は、香織に感心していた。

「ね、これどうしよう?」

男の子が柄杓の中のクラゲを陽子に見せた。

「それは、海の中に帰してあげましょう」

陽子は、少年と一緒に柄杓のクラゲを海の中に帰してあげた。


作家プロフィール

主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」「文筆のフリーラン」「魔法の糸と夢のステッチ」など

東京国際ボートショー開催中の横浜マリーナではクルージングヨット教室生徒募集中!

Like 横浜マリーナ クルージングヨット教室's Story
Let 横浜マリーナ クルージングヨット教室's company know you're interested in their content