「もうそろそろお昼にしないか」
ずっと、キャビンの出入り口のところに腰掛けたまま、司令塔をしていた中村さんがラッコからサンドウィッチを受け取って離れた後、コクピットにf出てきた。
「もう食べますか?」
隆が思わず中村さんに返事してしまっていた。
「それじゃ、お茶でも沸かそうか」
瑠璃子がキャビンに入ると、やかんでお湯を沸かした。
「ね、隆さん代わって」
陽子が隆に言った。
「なんで?」
「私、キャビンに入って、瑠璃ちゃんのお昼の準備を手伝うから」
ラットから手を離しそうにしながら、隆に行った。
「いいよ、俺が瑠璃子の手伝いはするから」
そう言うと、隆がキャビンの中に入って、瑠璃子の手伝いをし始めた。
といっても、もうサンドウィッチは出来上がってバスケットの中に入っているし、お皿に盛り付けるぐらいしか手伝うことはなかった。
「おお、すごいな!」
中村さんは、キャビンから出てきたお皿にのったサンドウィッチを見て叫んだ。
「これって、さっきローゼンで買った野菜とかでしょう」
「多分、そうですね」
「出航して今までで、麻美ちゃんってこれだけのサンドウィッチを作ってしまったんだ」
中村さんは驚いていた。
「このサンドウィッチって私たちの分だけだものね」
「そうだよな、向こうには向こうでラッコの子たちの分が出来ているんだろう」
中村さんと陽子が話していた。
「だって、あいつヨットの上じゃ料理以外何もしてないですもの」
隆が中村さんに言った。
「何もしていないって・・」
陽子が隆に言った。
「いや、本当にいつも何もしていないだろう。何もしていないから、おまえや香代たちの方がぜんぜんヨットの操船は上手くなってしまっているだろうが」
「そんなことないじゃない」
「いや、そんなことあるよ」
隆は陽子に言った。
「おまえたちより先にヨットに乗っているんだぞ。それで、ぜんぜんヨットの乗り方抜かれてるし」
隆は、麻美子のことを困った困ったって表情をしていた。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」「文筆のフリーラン」「魔法の糸と夢のステッチ」など
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