ジュニアヨット教室物語2
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片桐一郎には、今年6年生になる息子が1人いた。
「俺だけじゃなく、息子がヨットを楽しめる環境も作ってやりたいな」
いつも自分だけが、日曜日になるとヨットへ乗りに横浜のマリーナに来てしまうのではなく、息子にもヨットに親しんで楽しんでもらえるようになったら良いのにと考えていた。
そのために、わざわざやりたくもない横浜のマリーナの理事に立候補だってしたのだった。
「だから、それは対象者が大人たちだけですよね」
片桐一郎は、理事会での討論に思わず熱が入ってしまっていた。
「そうじゃなくて、少年少女たちのものを始めたいのです!」
片桐一郎の理事会での熱弁は続いていた。
「今、横浜のマリーナにあるクルージングヨット教室は、生徒の対象が18歳以上の大人たちばかりじゃないですか。そうではなくて、もっと下の年齢、子供達が楽しんで乗れるようなヨット教室を始めたいのです!これからのヨット人口の普及、活性化のためにも」
片桐一郎の意見に賛同してくれる理事も何人かはいたが、大多数はそんなもの必要ないだろう、クルージングヨット教室を毎年開講しているのだから、ヨットをやりたい人は大人になってから始めれば良いだろうとというものだった。
反対する理事の多くは、子供達が乗るヨットを購入する資金が無いというのが理由だった。
「だったら、私たちジュニアヨット教室の開講に前向きな理事たちだけで、有志で集めた資金がいくらかありますので、それでヨットを購入させてください」
片桐一郎は、理事長に訴えていた。
「そのヨットを置かせていただく艇庫を、マリーナ内に用意してもらいたいのと、毎日曜日に子供達がマリーナの敷地内で活動することだけお許し願いたい」
その結果、どうにか片桐一郎の熱意が、理事たちに伝わり、来春から横浜のマリーナでは、試験的にジュニアヨット教室の開講も決まったのであった。
「ジュニアヨット教室に参加する子供達を集めないとならないですね」
「そうですね。とりあえず、うちの息子には声をかけてあって、ジュニアヨット教室で活動するようにとは伝えてありますが」
「私の自分の子供や周りの子供達の両親にも声をかけてみますよ」
来春オープンすることが決まって、片桐一郎たちは、これから忙しくなりそうだった。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「ジュニアヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」など
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