クルージングヨット教室物語128
Photo by Gaku Suyama on Unsplash
「なんかすごいね。こんな高級なお店が並んでるとこ来たことないから」
麻美子は、隆とニューグランドのフロアを歩き回りながら嬉しそうに話していた。
「俺は、帝国ホテルのお店に行ったことあるよ」
「まあ、隆はお金持ちだからね」
「いや、行ったことあるってだけで、そこでは何も買ってない、買えてないけどね」
隆は答えた。
「庶民は見るだけで良いのよ、こういうところは」
「せっかくだから、なんか1個買っていく?」
隆は、麻美子に言った。
「買いませんよ、高いんだから」
麻美子は、フロアを歩きながら隆に答えた。
「そろそろ会場に戻ろうか」
麻美子は、後ろを振り返って、隆に言った。
「麻美子、見て」
隆は、入ったお店の中から麻美子を呼んだ。
「これ、良くない」
「何それ?」
「なんか、ニューグランドってロゴの入った扇子」
隆は、ニューグランドの扇子を開いて、自分で自分のことを仰いでいた。
「ピンク色の扇子、隆に似合わないよ」
「他にも、いろいろな柄のものあるよ」
棚に並んでいる数ある扇子の中から選んでいた。
「これぐらいなら、1個ぐらい買ってもバッチも当たらないと思わない?」
「そうね」
麻美子も、数あるセンスの中から好きなデザインのものを選んでいた。
「麻美子ならば、どれを選ぶ?」
「私?そうね、私ならこっちの紫のものも好きだな、紺のも良いかな」
「麻美子って紫とか好きだよな。じゃ、紫のにしようよ」
隆は、麻美子に紫の扇子を手渡した。
「いいの?」
麻美子は、レジで紫の扇子を買って来た。
「戻ろう、会場に。皆が待っているよ」
「そうね」
2人は、パーティー会場に戻っていった。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」など
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