「え、卒業式って千葉まで行って、そこでやるの?」
香織は、隆から話を聞いて驚いた。
「クルージングヨット教室って、もう来月が卒業式なんだ」
麻美子は、ちょっと寂しそうに答えた。
「卒業式って、千葉のどこでやるの?」
「千葉の保田って漁港。観音崎の向かい側ぐらいのところにある港」
「観音崎の向かい側って、この間行ったとき本船航路を渡ったところ?」
「そう、だから館山よりはぜんぜん近いよ」
隆は、陽子に答えた。
「私たちは、ラッコで行くから良いんだけど、電車で卒業式に行く人って大変だね」
「電車で卒業式に参加する人なんていないだろう」
「皆、どこか自分の配属になったヨットに乗って、千葉まで行くさ」
「そうか、香織ちゃんもアクエリアスで乗っていくものね」
香織が、陽子に頷いた。
「私、卒業したくないな」
皆が、来月の卒業式の話をずっとしていたので、香代は心配になって麻美子に言った。
「あら、どうして?香代ちゃん、ラッコの艇長できるし優秀じゃないの」
「だって、卒業したらもうラッコに乗れなくなちゃうんでしょう」
「あら、そうなの?」
麻美子は、隆に質問した。
「え?いや、そんなことないよ。卒業したって、ラッコに乗りに来たって良いんだよ」
隆は、麻美子と香代に答えた。
「うん、大丈夫よ。例え、隆がだめって言っても、私が香代ちゃんのことヨットに誘うから」
麻美子は、香代のことを背後から抱きかかえながら答えた。
「俺、一言も香代に乗ったらだめなんて言ってないけどね」
「例えよ、例えって言っているでしょう」
麻美子は、香代のことを背後から抱きかかえながら、隆に言った。
「今日って、私もラッコに乗っても良いんだよね?」
「ああ、もちろん。だって、中村さんは用事があって、マリーナには来ないし、アクエリアスは出さないんだからラッコに乗るしかないだろう」
「だよね!」
香織は、嬉しそうに隆へ返事した。
「それじゃ、俺らは、ポンツーンでラッコが降りてくるのを待っているから、香織は麻美子や香代と出航の準備をして、クレーンで下ろしてもらって、ポンツーンまで回してもらえるか」
「わかった」
「ポンツーンに来たら、舫いロープは受け取ってあげるから」
香織、麻美子と香代は、出航準備するためにラッコへ行った。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」など