クルージングヨット教室物語99
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「アクエリアスを片付けてきたの?」
麻美子は、陽子、香織と一緒に、テンダーに乗って戻ってきた隆に聞いた。
「うん。ラッコは無事に片付け終わっているの?」
「終わっているわよ。何の問題もなしで、香代ちゃんが操船して来れたわよ」
「そうなんだ、香代は成長したな」
隆は、満足そうに答えた。
「中村さん、マリーナに戻ってきてからも、ずっと順位を気にしているんだけど」
「あの船は、モーターセーラーでも、それなりにセーリング性能が高い船だからね」
隆は、麻美子に言った。
「今日って、最終戦だけどパーティーってあるの?」
「今日は無いんだって。年末にやるクリスマスパーティーで表彰式するんだって」
「アクエリアスは2位でした」
瑠璃子がやって来て、隆に報告した。
「2位なんだ。じゃ、残念だったね」
「2位は今日のレース結果だから、シリーズ通した時の総合順位はまだわからないけど」
「あ、でも初戦が終わりの方じゃなかったっけ?」
「それは、ラッコの成績でしょう。アクエリアスはそうでも無かったような・・」
「そうか、初戦もアクエリアスは速かったのか」
隆は、瑠璃子に答えた。
「そうなんだ、まだ結果がわからないのね」
麻美子が、2人の会話を聞いていて言った。
「いや、わかっていることはあるよ」
隆が、麻美子に言った。
「そうなの、なに?」
「初戦も下位だったし、コミッティーだったり、不参加だったりしてるし、ラッコは絶対優勝していないってことは、明らかに確かだよ」
「ああ、そうなのね」
麻美子は、ちょっと残念そうに答えた。
主な著作「クルージングヨット教室物語」「プリンセスゆみの世界巡航記」「ニューヨーク恋物語」など