今日は、僕が日々大切にしている「伝え方」についてご紹介します。
”松永光弘(まつなが みつひろ)”さんの『伝え方――伝えたいことを、伝えてはいけない。』は、効果的なコミュニケーションの原則を探求する一冊です。
この本では「伝え方」の基本を「整理整頓」し、相手に「納得以上」に伝えることの重要性を強調しています。
松永さんは「伝えたいことを、伝えてはいけない」という逆説的なアプローチを提案し、〈よさ〉と〈わけ〉で魅力を語ることの重要性を説いています。
また要素メモと思考の型を用いて〈メッセージ〉を見つける方法や、同分解展モデルを紹介し、伝え方の最適化を図っています。
編集者、ライター、会社員など様々な立場の人々にとっても参考になる内容となっており、文章力向上やコミュニケーションスキルの改善に役立つ実践的な本だと思います。
経営の現場では、商品やサービスを作るだけではなく、それを「どう伝えるか」が成功のカギです。
ただ「伝え方」って意外と難しいですよね。
僕も日々、試行錯誤の連続です。
ところがその「伝え方」を少し変えるだけで、驚くほど結果が変わることを実感しています。
そこで今回は、「伝え方」がなぜ重要なのか、そしてそれがどう経営に影響するのかご紹介します。
「伝える」とは相手に価値を届けること
まず、「伝える」とはどういうことだと思いますか?
多くの方は「自分の言いたいことを相手に分かりやすく説明すること」と考えるかもしれません。
でも、それだけでは不十分だと思います。
「伝える」とは、相手にとって価値がある形で情報を届けることだと僕は考えています。
例えば、新商品を紹介するときに「この商品は高性能です!」と言うだけでは、相手には響きません。
なぜなら、それが自分にどう関係するのかが分からないからです。
一方で「この商品を使うと、毎日の作業時間が30分短縮できます」と言われたら思いますか?
具体的なメリットが見えてきますよね。
「これなら自分にも役立ちそうだ」と思ってもらえる可能性がぐっと高まります。
解釈力が未来を切り開く
ここで大事なのが解釈力です。
同じ状況でも、どう解釈するかによって未来は大きく変わります。
これについては、ある逸話をご紹介します。
ある南の島に2人の靴セールスマンが訪れました。
一人目はこう言いました。
「この島には靴を履いている人が誰もいない。売れるわけがない」
一方、二人目はこう言いました。
「この島には靴を履いている人が誰もいない。つまり、全員がお客様になる可能性がある!」
同じ状況でも、解釈次第で結果はまったく違うものになります。
この話は経営にも当てはまります。
例えば、新しい市場に挑戦するとき、「競合が多いから厳しい」とネガティブに捉えるのではなく、「競合が多いということは、それだけ需要がある証拠だ」とポジティブに解釈することが大切だと感じています。
ポジティブに解釈することにより、どうやったらその需要をより満たせるかと、その先に繋がる考え方ができます。
顧客視点で考える大切さ
もうひとつ重要なのは、顧客視点で考えることです。
自社の商品やサービスについて語るときは、自分たちの努力や技術ばかりをアピールしがちです。
ところが、お客様にとって重要なのは、「それによって自分の生活や仕事がどう変わるのか」という視点です。
ある浄水器メーカーの話ですが、このメーカーは当初、水質改善技術をアピールしていました。
しかしそれだけではあまり響かなかったそうです。
そこで、「この浄水器で淹れるコーヒーは格別な味わいになります」というメッセージに変えたところ、大きな反響を得たそうです。
このように、お客様にとって具体的なメリットを伝えることで、商品の価値がより伝わりやすくなります。
おわりに
「伝え方」は単なるテクニックではなく、商品やサービスの価値を最大限引き出すための重要なスキルです。
それは顧客との信頼関係作りにも繋がります。
次回は、この「伝え方」を実際の経営活動にどう活用していくか、その具体的な方法についてご紹介します。
それでは今回はこの辺で。
住谷知厚(すみたにともひろ)
<参考>
◆伝え方――伝えたいことを、伝えてはいけない。