「ビジネスレベル」なのか、「ネイティブ」なのか。
語学力について聞かれたとき、実はこの二つの表記の間で少し迷うことがあります。
もちろん、私は日本語を母語として育ち、英語を後から身につけた人間です。その意味では、一般的な意味での「ネイティブ」ではありません。
一方で、これまで海外で生活し、さまざまな国籍・文化的背景を持つ人たちと仕事をし、グローバルな環境の中で長くコミュニケーションを続けてきました。その中で、「英語が話せる」ということとは少し違う能力が身についたと感じています。
それは、言葉の奥にある意図や感情、文化的な背景まで含めて相手を理解し、必要であれば自分の伝え方も変えながら、相手との間にある「ズレ」をなくしていくことです。
実際、これまでの仕事では、日本人として英語を使う管理職や、外資系企業で重要なポジションにいる方々と仕事をする機会も多くありました。
そこで感じてきたのは、語学力そのもの以上に、文化や価値観の違いを含めたコミュニケーションには大きな個人差があるということでした。
「言っていることは理解できるけれど、相手が本当に伝えたいことまでは捉えきれない」
「お互いに悪気はないのに、なぜか話が噛み合わない」
そうした場面は、決して珍しいものではありませんでした。
そして私は、そういうときに双方の間に入り、もう一度言葉を選び直したり、相手の意図を補足したりしながら、コミュニケーションをつなぎ直す役割を自然と担うことが多くありました。
これは、単純な「英語力」という一つの尺度では表しにくいものだと思っています。
これまでのキャリアを通じて、非常に多様な文化や価値観に触れ、多国籍な人たちと仕事をしてきた経験。
そして仕事だけではなく、私生活においても国際結婚を経験し、子どもも完全なバイリンガルとして育ててきた経験。
そうした積み重ねの中で、相手が外国人であることをことさらに意識せず、自然に意思疎通を図ることができるようになっていったのだと思います。
だからこそ、私自身の語学力を一言で「ビジネスレベル」と表現してしまうことには、少し違和感があります。
もちろん、ネイティブと同じバックグラウンドを持っているわけではありません。
ただ、言葉を使って仕事をするだけではなく、文化や感覚の違いを越えて、人と人として深いところで意思疎通をする。
そして、必要であれば異なる文化の間に立って、双方をつなぐ。
そこには、これまでの人生とキャリアを通じて培ってきた、私なりの強みがあると思っています。
そして今、この経験をこれからの仕事にどう生かしていくのかを、改めて考えています。
すでにいくつか、自分の経験やネットワークを生かせそうなビジネスのアイデアがあり、海外を含め、実際に各国へのアプローチも少しずつ始めています。
まだ「これが答えだ」と決めているわけではありません。
だからこそ、いろいろな企業や、さまざまな分野で挑戦している方々と話してみたいと思っています。
私のこれまでのキャリアを見ると、まず「医療従事者」という肩書きが目に入ると思います。
もちろん、それは私を形作ってきた大切なキャリアです。
ただ、履歴書の職歴や肩書きだけでは、これまでどのような人たちと出会い、どのような文化の中で仕事をし、どんなコミュニケーションを経験してきたのかまでは、なかなか伝わりません。
「医療従事者だから、こういう人だろう」
そんな既成概念だけでは見えてこない自分の経験や能力も、まだまだあると思っています。
残りの人生を、どこで、誰と、何のために使うのか。
私自身も、それを改めて吟味しながら選んでいきたいと思っています。
だから今は、少しでも興味を持った企業や人には、自分から話をしに行っています。
肩書きだけでは見えないものも含めて、まずは一度、話してみる。
そこから、これまでの経験が思いもよらない形で誰かの役に立ったり、新しい仕事や事業につながったりするかもしれない。
そんな可能性を、これからはもっと大切にしていきたいと思っています。