「メルカリでは、本当に一番良い機能だけがシンプルに使える、っていうところが一番重要なポイントです。『これはユーザーがシンプルに楽しむ中で、本当に必要な機能なのか?』と、原点に戻ることを常に意識しています」(山本さん)
前編で、メルカリで働く4人の若手メンバーがどんなことをしているのかを聞いてきました。後編では、開発を行う上で心がけていることや会社のカルチャーなど、メルカリでの働きがいについて探っていきます。
前編 ▶ ベテランが集うメルカリで活躍する若手メンバーは、今どんなことを考えて働いているのか?(働き方編)
(左から)荻原さん、柄沢さん、山本さん、岡野さん
最高のUI/UXとは、ユーザーに頭を使わせないこと
メルカリで働くエンジニアは、普段どんなことを意識して開発を行っているのでしょうか。
「Androidエンジニアに限らずですが、目と鼻の先には実際にユーザーがいるので、一日中アプリを触って動作を確かめていますね。『なんか引っかかるな』とか『何でここ、こうなっているんだっけ?』 って。つねに疑問をぶつけながら、改善していっています。ユーザーに、できるだけ頭を使わせないように」
頭を使わせない、ですか?
「そうですね。アプリを使っていると、『これはどうなんだろう?』とか、『ん?』って思うタイミングがあると思うんです。そもそも『ん?』と思うということは、頭を使っているということ。そういうことが増えるとアプリとして良くないので、シンプルで頭を使わないでも使えるUI/UXをつくるよう、デザイナーだけでなくエンジニアも心がけていますね」
プロデューサー視点で、山本さんは次のように言います。
「『ああいう機能がいい』『こういう機能が欲しい』みたいな要望はいくつでも出てくるんですけど、そういうのをやっていくといつの間にかアプリの使い方が複雑になっていく。メルカリでは、本当に一番良い機能だけがシンプルに使える、っていうところが一番重要なポイントかなと思っています。プロデューサーは、ただ機能を追加するだけではなくて、『これはユーザーがシンプルに楽しむ中で、本当に必要な機能なのか?』と、原点に戻ることを意識しています」
「最近だと、アプリの『タブ』についてかなり議論になりました。タブの設定って、みんなしたいと思うんです。ですが、表示順の並び替えなどカスタマイズができてしまうことで使い方が複雑になる。そもそも、カスタマイズの余地があることも良くないと思っていますし。あった方がいいとは思いますが、ユーザーがスッと馴染んで使えるような企画がまだ出ていないので、今のところ保留になっています」
誰でも、遠慮なくオープンに議論できるカルチャ—
さまざまな年齢のメンバーが働くメルカリでは、どのようなカルチャ—があるのでしょうか。記事の最初の方で柄沢さんが取り組んでいると言っていた「メンター制度」について聞いてみました。
「最初の1ヶ月間、新入社員に対して同じチームの先輩社員がついて、基本的に隣の席で一緒に仕事をしてもらっています。毎日どこかのタイミングで、普段の業務だけでは出てこないような、会社のカルチャ—や価値観、悩みなど、何でも良いから話してもらう『1on1』の機会をもうけています」
「例えばプログラミングで言えば、『こういうコードを実装するときは、こういうふうに書けばいい』ということは分かっても、前に書いた人の意図を知りたいとか。これまで積み重ねてきた過程や歴史を理解するための役目として機能しています。先輩社員との『1on1』があってよかった、って言ってくれる人が結構多くてうれしいですね」
メンターががすくい上げた悩みはどうしているのか聞いてみたら、なんと、その悩みはGoogle Docsで全社公開しているのだそう!
「メンターによってやり方は違いますが、全社に共有されていると、誰がどんな悩みを持っているのか見ることができます。あとは、メンターを受ける人と、メンターをしている人の2人に、入社後1週間・1ヶ月のタイミングで僕が面談しています。1週間後には会社に馴染めそうか、1ヶ月後には今後一人でやっていけそうか、っていうのを判断しています」
チームについての特徴について聞いてみたところ、岡野さんが、自分のチームについて嬉しそうに語ってくれました。
「自分で言うのもあれですけど、メルカリの中でもAndroidチームは一番仲が良いです(笑)。Androidエンジニアは社内に3人いるんですが、席も近くて、かつ、毎日一緒にご飯を食べに行くという珍しいチームなんです。なんか、そういう仲の良さがあるからこそ、仕事がやりやすいっていうのはありますね。コミュニケーションツールとしてSlackを使っているんですが、そこでも毎日議論しています。誰でも遠慮なく思ったことをオープンに議論できる場があるところは、すごくいい環境だなと思います」
まずは、アメリカでメルカリを成功させたい
現在、ほぼ全メンバーがUS向けアプリにコミットし、アメリカ成功に向けて全勢力を傾けているメルカリ。今後、どういうスキルをつけて働いていきたいのかを、ひとりひとり聞いてみました。
「個人としてやっていきたいことは、2つあります。ひとつ目は『企画力をつけること』、ふたつ目は『組織をまとめる力をつけること』です。これまで働いてきた中で、1を100に成長させていくところはかなりの学びがあったんですけど、ゼロからイチを企画するところはまだまだできていない。メルカリではやるチャンスがあるはずなので、今後、自分でプロダクトをゼロから企画していくことにも挑戦したいと思っています。あと、いずれはじぶんの会社をつくりたいと思っているので、メンバーをまとめる力と組織を作る力をいずれ身につけていきたいなと思っていますね」(山本さん)
「メルカリにはたくさんのロールモデルが揃っているので、技術面だけでなく物の考え方とか、いろんなものを盗んでいきたいと思っています。極端な話、口まねでもいいので(笑)、この恵まれた環境を物にしたいなと思います。あとは英語。レアジョブで英語を勉強して、代表の山田が言う『世界初の世界的に成功した日本初のインターネット企業』になれるよう貢献できたらな、と考えています」(荻原さん)
「エンジニアとして、技術力はつねに磨き上げていきたいです。あと、プロダクトをつくることも好きなので、エンジニアであり続けながら、プロダクトを作る方にも個人としてコミットできたらいいなぁと思っています。前職でいろんな会社を見て、様々な仕事の仕方やエンジニアリングを学んできたので、これからは、その経験も生かして、周囲をリードしたり、まとめていくマネージャーのようなポジションもできるようになりたいです。まだ若いんで(笑)、若いうちにどんどん新しいことに挑戦して、ピッタリくる仕事を探していきたいなと思っています」(岡野さん)
メルカリは、社会インフラになるポテンシャルを秘めている
最後に、柄沢さんに今後の意気込みを語っていただきました。
「自分の役割は、組織として全体のパフォーマンスが上がる環境をつくること。開発人数が足りないのであれば自分も開発するし、制度が足りないんだったらつくるし、制度をつくってそれが上手く回せていないんだったら回し方を考えます。組織が自走していくことが結果として会社が良くなり、いいプロダクトがつくれるはず。そのためにすべてやるつもりです。その一方で、自身がエンジニアであり続けることが、自分の目指す姿なのかな、と思っています」
「メルカリのポテンシャルって、アメリカをゆうに超えていけるんじゃないかなと思っていて。これは代表の山田も言っていますけど、アメリカは、世界を目指すための『スタート地点』。その次には、EUや東南アジアなど、C2Cのマーケットの広がっていない地域に進出する予定です。そこに対してメルカリができることって、無限大にあると思うんです」
「例えば東南アジアだったら、日本と色んな状況が違うんですよね。荻原からも、US は配送の状況が日本と違うという話がありましたが、東南アジアは、そもそも荷物を届ける手段がなかったりもするです。今後メルカリが世界で使われるプロダクトになることで、社会インフラに対して影響を与えることができるようになるでしょうし。果ては、国境を越えてみんなが意識せずに売買できる、そこまでできることが、メルカリのポテンシャルだと思います」
最後に、こんなことを言ってくれました。
「僕は、経営陣の中で一番若い。まだまだ未熟ではありますが、僕に組織を任せてもらえることが、この会社の器量の大きさが現れているところだと思います。本当に年齢は関係ないっていうのを、ここにいる4人が体現しているんじゃないでしょうか」
前編もどうぞ。