筑波大学|University of Tsukuba / 情報学群 情報メディア創成学類
HCI研究
「フォトクロミック材料への紫外・可視光重畳投影を用いた高コントラスト投影手法」 概要 プロジェクションマッピング(PM)に代表される空間拡張現実感(空間AR)技術は、直感的な情報提示や、実世界をベースとした視覚体験ができることから注目を集めている。一方、PMの投影映像におけるコントラストは、体験の没入感や臨場感に直結するため、その向上は重要な技術課題である。しかし、投影映像のコントラストは、実環境のグローバルな照明効果に大きく影響を受けるため、投影映像自体のコントラスト向上には限界があった。 本研究では、可視光源と紫外光源の双方を同軸光学系で制御可能なプロジェクタと、紫外光に反応して変色するフォトクロミック材料を用いることで、投影映像の高コントラスト化を実現する。 本手法の特徴は、可視光映像の投影と同軸上で照射する紫外光パターンによって、投影対象の表面色を変化させ物体表面上で2次的な変調を起こすことで、投影映像の高コントラスト化を行うので、グローバルな照明効果に影響を受けにくいというところにある。 実際に、開発した可視光映像と同軸光学系で紫外光パターンを照射できるプロジェクタを用いて、フォトクロミック材料に投影し色変化を分光放射輝度系で計測した。その結果、プロジェクタシステムが表現できる最小輝度は1.0990×10^2 cd/m2から1.0644×10^2 cd/m^2に下がり、映像投影のダイナミックレンジは広くなった。