Aoyama Gakuin University / 国際政治経済学部国際政治学科
ベトナム一人旅
学科で中国政治論と南米政治について専攻しており、社会主義政治や共産主義体制について学んできました。社会主義といえば、資本主義の「外側」がなくなりつつある現代において、およそ純粋な形では存続できない政治体制だと言われています。ただロジックとして理解する社会主義と、実際に人が生活を営む場所としての「社会主義」は同じなのだろうか。実際に「社会主義」を自分の肌で体験してみたい、と考え身近な社会主義国家であるベトナムのハノイへ行くことに決めました。アカデミックなフィールドワークではなく、ただどの程度共産主義的な色が街に見られるかを体験してみようくらいの軽い気持ちだったので、私自身の肌感覚の感想でしかありません。 一ヶ月程度の滞在でしたが、現地では私が当初想像していたような国営企業だらけの全体主義的な街ではなく、ほとんどが私たちに馴染みのある欧米型の社会だったように感じます。しかしやはり路上には多くの監視カメラがあり、それが治安の良さに繋がっているように思いました。夜中に外国人女性である私が一人で出歩いても特に不安を感じるようなことはなかったからです。 しかし連日試練だらけの毎日でした。バスに乗り間違えて見知らぬ山奥にたどり着いてしまったこともあります。出先で携帯電話の充電が切れても、日本だとそこまで慌てることはないのに、異国の地だと焦り方も違ってきます。初めの一週間程度は一人で行動していたこともあって、不安で仕方ありませんでした。ただ「自分一人でなんとかするしかない」という逆境の毎日は、確実に今の私の行動力と粘り強さにつながる体験でした。 この頃、ちょうどベトナムでは春節(旧正月)の時期だったこともあって、様々な国の外国人が観光に来ていました。彼らとはすぐに打ち解けたため、一人旅といってもその多くに時間は、出来立ての多くの友人たちと賑やかに過ごすことができました。 このように、当初は堅苦しい理由で始めた一人旅でしたが、始まって仕舞えばアカデミックな目的そっちのけで遊んでしまったのが事実です。しかし、コミュニケーションなどの外向面でも、自分の力でなんとか状況を打開せねばならないという内面でも確実に得るものがありました。学生時代にこの一人旅を行ったことは、私の誇れる財産です。