ハイライツ株式会社 / デザイナー
政令指定都市のビジョンのブランディング
概要 福岡県北九州市は九州の最北端に位置し、約91万人が居住する政令指定都市です。九州地方の主要な玄関口として機能し、多様な人々、物資、情報が集まる場所として、その独自の文化を発展させています。 明治の産業革命や昭和の高度経済成長をけん引し、資源循環型社会やSDGs未来都市の推進に挑戦してきました。公害や廃棄物問題などの社会課題にも直面し、人々のつながりや情熱、高度な技術によって困難を乗り越えてきた歴史があります。五市合併前は、城下町や炭鉱地帯などが栄え、官営八幡製鐵所の操業が転換点となりました。合併後、歴史や文化が豊富な「百万都市」として誕生し、ものづくりのまちとして急速に発展したことで、市民の個性や包摂性が育まれ、公害克服に市民力が発揮されました。環境産業の推進により環境改善と経済発展を両立し、エコタウンも形成されました。環境先進都市からSDGs未来都市への転換を果たし、統合的な取り組みが評価されています。 解決すべき問題・背景 北九州市は、2040年を目標年とする基本構想及び基本計画を策定しました。この計画は、北九州市が将来目指す都市像と、その実現に向けた戦略を体系的に示しています。具体的には、「稼げるまち」「彩りあるまち」「安らぐまち」という3つの戦略を核に据え、経済成長と社会課題の同時解決を目指しています。これにより、日本やアジア、そして世界に向けて成長と幸福が循環するモデル都市の姿を示し、国内外からの人材、企業、投資の誘致を図ることで市民のシビックプライドを高める効果が期待されます。 このビジョンと戦略を市民に広く伝えることが役割です。市が策定したビジョンや戦略は内容が複雑なため、市民全員が理解しやすいように、簡潔な言葉と視覚化されたシンボルを用いることが効果的だと考えました。このアプローチにより、計画の要点を明確に伝え、市民一人ひとりがこのビジョンにどのように関与し、貢献できるかを示すことが可能になります。 ブランディングの成果 北九州市が令和6年3月に策定した「北九州市· 新ビジョン」(北九州市基本構想· 基本計画)は、市民にとってよりわかりやすく親しみやすいものとすることを目指しています。「新ビジョン」は、目指すまちの将来像やその実現に向けて取り組むべき重点戦略を盛り込んだものであり、タウンミーティングや地元の有識者の方々から広くご意見を聴取して完成させました。また、この新ビジョンにもとづく市の新たな動きを市内外の人々や企業へ効果的に発信するため、市長や職員の方々の想いと意見を集約して、新しいロゴを制作しました。このロゴは「Kitakyushu Action!」と名付けられ、令和6年4月25日に市長定例会見で発表されました。このロゴマークは、「Kitakyushu Action!」の趣旨に賛同するすべての方が使用できるよう、ガイドラインなどの整備を進めています。この取り組みにより、北九州市は新ビジョンにもとづいた活動を市民や外部の関係者に広くアピールし、さらなる理解を深められることを期待しています。
