関西外国語大学 / 大学院 外国語学研究科 言語文化専攻
世代間で起こるアイデンティティーの変化および国際ビジネスにおけるその重要性
本論文の目的は、「私は誰だろう?」、「どんな人なんだろう?」のような疑問に対しての悩みの解決法を見出すのと共に、言語学・社会人類学・文化比較研究においての研究に役立たせることである。また、アイデンティティーを基盤としている異文化間コミュニケーション及び言語教育にも役立たせたい。本論文は言語教育の中でも、上級言語学習者に対して、学習言語の母語話者の特徴や、円滑なコミュニケーションを図るために欠かせないアイデンティティー理解に貢献できる、と筆者は考える。 研究方法として、先行研究を振り返りながらアイデンティティーの有り方について考察し、Markus & Kitayama (1991)を中心に、「独立した自己」と「関係性の中の自己」の分析をし、言語学と社会人類学の観点から相違点や共通点を挙げながら、現代における日本人とアメリカ人のアイデンティティーの変化や推移を明らかにしていく。調査対象は主に日本とアメリカに限定し、言語学的分析で使用する日本語は標準語(共通語)、英語はアメリカン・イングリッシュとするが、比較対象として他の外国語の考察も挙げる。 さらに、自己理解と自己分析に必要不可欠な個人的アイデンティティーと社会文化的アイデンティティーという分類を提案する。前述の二つは、今まで提唱されている様々なアイデンティティーの分類を統括する概念とし、「宗教的アイデンティティー」、「地理的アイデンティティー」や「身体的アイデンティティー」などもこの中に含める。また、前述の両アイデンティティーをMarkus & Kitayama (1991)の「独立した自己」と「関係性の中の自己」と結びつけることによって、より普遍的な自己理解を提唱する。 最後に、Kuhn & McPartland (1954)が発表したTSTを現在の日米の大学生に実施して、Cousins (1989)が発表した結果と比較する。その結果をもとに、日米人のアイデンティティーの形成背景を、両国の教育システムを基盤として考究する。また、アイデンティティーの研究をもとに、異文化間コミュニケーションが年々盛んになってきている国際ビジネスへの提案をする。