新規開発は、見せられるモノが出来上がっていないので社内で理解されにくく、プレッシャーと戦いながら紆余曲折して進めていくイメージがあるかもしれません。弥生の新規開発プロジェクトも日々紆余曲折していますが、中間ポイントを置きながら社内で触れるモノを見せています。
今回は、どうやって新規開発を進めているのかについてお話をお伺いしました。
プロフィール
内山 大悟
大手メーカーで12年勤務の後、弥生に入社。前職でWebのフロントエンド・サーバーサイド・AWS等のインフラまで幅広く経験する。弥生では新規開発プロジェクトでテクニカルリーダーを務め、技術選定・アーキテクチャー設計・開発優先順位の検討・設計や実装のレビュー等を担当する。昨年、OculusQuest2を入手しVR出社をしてみた。
チームで検討するだけではなく、動くソフトウェアを社内で見てもらいたい
―今日は、弥生の新規開発プロジェクトである次世代プロダクトチームについてお話聞かせてください!どのようにスタートしたのですか?
内山 もともと、既存製品を今の世の中に合わせてリニューアルしようという目的でスタートしましたが、現行の延長線上ではダメで、もっと新しいお客さまに向けて製品を作っていく必要があるねという話になりました。
統括リーダーの小倉さんの記事にある通り「会社の製品全体を抜本的に変える改革をするため」、弥生の10年後を見据えた『プロジェクト2030』が発足となり、次世代プロダクトはスタートしました。
(小倉さんのインタビュー記事)
―小倉さんの記事拝見しました!開発のやり方からチームビルディングまで様々なことを新しく挑戦されてますね。内山さんはどのように関わっているのですか?
内山 私はテクニカルリーダーとして技術的なプランニングをメインに担当しています。チームに入ったとき、小倉さんと「考えるだけじゃなくてちゃんとモノを出していきたいよね」という話をして、強く共鳴しました。
今までの経験上、新規開発はゴールイメージが定まっていなくて、議論は発散するけど、いつまでも検討ばかりで次に進めないということがあります。なので、出来るだけ早く・継続的に、動いているモノを見せていくことが大事です。じゃあ、そのために何をしようかという話になりまして。
―そこで、昨年開催された全社員参加の社内イベントでの発表になるのですね!
内山 はい。イベントが開催されるタイミングで、デモンストレーションをすると決めました。できれば、作ったモノをただプレゼン発表するのではなく、実際に参加者に触ってもらえるような体験型の発表にしたいと思いました。
―イベントで内山さんが活躍されたことは先日の飯塚さんのインタビューでもお伺いしました!短期間でデモするのは大変でしたよね?
内山 確か2月くらいにデモをすると決めて、イベントが4月末予定でしたので、約2ヶ月で作っていくスケジュールでした。さらに昨年はコロナ禍になった影響でオンライン開催に変更になりました。
どこまで見せるか?どこまで作るか?については取捨選択をしていくことになりますが、デモ目的で作りたくはなくて。製品はイベント後も作り続けていくので、これから先に続くようなモノにしたいと考えていました。
(飯塚さんのインタビュー記事)
当日のトラブルにも迅速に対応できて手ごたえを感じる
(同年に開催されたオンライン社内イベント)
―デモをするにあたって、うまくいったことや失敗したことがあれば教えてください!
内山 後から思うと、うまくいき過ぎたぐらいうまくいきました(笑)。参加型のデモなので、当日何があるか分からないと思い、事前にトラブル対策は考えていました。
例えば、社員に触ってもらっている様子が裏から分かる画面や、失敗したりうまく動作しなかったときに再度トライしてもらえるような機能を作りました。数百人が参加するので、同時に数百オーダーのアクセスも来るのですが、それも事前に確認ができました。
―事前対策バッチリ取っていたんですね!
内山 オンライン開催なので回線トラブルもあるかもしれないな~と思っていたら、当日、発表者が回線トラブルで画面から消えてしまったんです。
―えー!登壇者が消えちゃったら焦ります!
内山 そうですよね。このトラブルも、事前に誰がトラブったら誰がどう動くかと決めていたので、素早くリカバリーすることができました。
トラブルではあったんですが、逆にこの素早い対応が参加者に好印象を持ってもらえたようです。結果として、すごい、出来過ぎだったんじゃないかなというくらい(笑)。
―開発自体が紆余曲折しながら進める印象があるので、その中でデモの準備をしっかり行うのは難しかったのではないかと思うのですが、うまくいった要因は何だと思いますか?
内山 そうですね…なんでだろうと、自分でも思うのですが(笑)。デモを行うにあたって作るものを限定して、はやく具体化することを心掛けたことがよかったかもしれません。
「計画通りにいかなかったけど、ここまで出来ているからOKにする」とか、「ここまで作って、ここから先は作らない」という判断は、デモを準備していた当時から現在までも取り入れています。
「みんなで作っている」と感じられる新規開発チーム
―はやく具体化していくために、チーム運営で心掛けていたことはありますか?
内山 チームでの認識合わせに気を付けています。製品画面を作るときは、最初の頃からUX含めてみんなで合意して作り始めました。また、作業チケットを書くときに作業内容だけ書くのではなく、なぜこの作業をするのかという背景も一緒に伝えています。
―背景も一緒に伝えてもらえたら、自分なりの創意工夫がしやすいですね!
内山 はい。UXチームと一緒に作り始めて、デザイナーの方に画面案を作ってもらっていました。毎朝、案を持ってきてもらって、一緒にあーだこーだと話し合っていたので、かなり早い段階からゴールイメージを具体化できたと思います。
―デザイナーとエンジニアが一緒に話し合いながら形にしていくのは、とても楽しそうです!
内山 楽しいですね!自分だけでは出てこない考えが出てくるんです。リーダーが決めていった方が速度は上がると思いますが、みんなで話し合った方がいいものになりますし、納得感も出ます。みんなの力を束ねて作っているなと感じることができます。
―最初から、メンバーからどんどん意見が出てくるようなチームだったのですか?
内山 最初からではないですね。みんなで意見出していこうとは言っていましたが、最初は私が決めることが多かったです。
―そうなんですか!今のようなチームに変わるきっかけはありましたか?
内山 はっきりしたきっかけは思いつかないのですが…私が一人でテクニカルリーダーをしていた頃は、色々いっぱいいっぱいになっていました。そこへ、メンバーの一人にテクニカルリーダーを任せるようになったらうまく回るようになりました。
―自分の仕事を任せるのは大事ですね
内山 決めるのが自分だけじゃないということもよかったですが、私とその方とで守備範囲が違うというところがとてもよかったです。言うなれば、私がオフェンスで、その方がディフェンスです。
私は、この先何を作るかというアーキテクチャや技術選定に興味があり、その方は「モノをちゃんと作りたい」という思考なので、テストの進め方を中心に整備していただいています。私一人ではテストまで手が回らなかったですし、私では出なかった発想でテスト自動化をスタートしてもらえました。
―チームメンバーと話し合って、自分では出なかった発想が出て、よりいいモノが作れた時は、みんなでやってやった感があって楽しそうです!
内山 弥生は、シェアが高い製品があって、既存のやり方をやっていても上手くいくと思いますが、安定した土台があるからこそちょっと思い切ったことに挑戦できると思います。
UXチームと一緒に検討したり、メンバーに仕事を任せたりできたのは、柔軟に検討ができる環境があるからです。
私が弥生に転職してきた時に「経営的に安定したベンチャー」だと聞いたことが決め手だったのですが、まさにやりたかったことが出来ていると思います。
―安心して挑戦ができるのは弥生の強みですね!本日はお話ありがとうございました!