肩書きを脱いで、地域の中へ。胸が熱くなる数々のシーンを生み出すコミュニティビルダー|前田 里奈|コミュニティ・オペレーションユニット
「コミュニティ」という概念と出会ったことが、自分の生き方に大きな影響を与えてくれているように思います。大学生活の中で、心の拠り所となる場があることに救われた経験から、「今度は自分が、そんな場をつくる側になりたい」と思って就職活動をしていました。
その想いを胸に選んだのが、市役所の職員として働く道。制度づくりや仕組みの設計など、地域コミュニティの基盤に関わる仕事を通して、人の集まる場や活動を支えたいと考えたんです。配属されたのは、まさに地域のコミュニティ活性化を担う部署。助成金の交付や施設管理など、地域と密接に関わる業務を担当しました。
一方で、公務員という肩書きが思っていた以上に「外」との関わりを制限する場面もありました。プライベートの時間には、子ども食堂を手伝ったり、マルシェに参加したりなど、地域の多様なコミュニティと関わることが好きでしたが、どこへ行っても「市の職員」として見られている気がして、同僚からは「線をひいたほうがいいよ」とアドバイスを受けることも。もっとフラットに、人として地域と関わりたい。そんな想いが強くなっていった頃に出会ったのが、YADOKARIの子会社・はじまり商店街です。
地域や会社への好きを積み重ね、新たな道への覚悟が芽生える
「このままでいいのかな」「もっと尖ってみたい」そんな反骨心を抱えて飛び込んだ民間の現場は、自分の理想が叶うような場所でした。地域のプレイヤーたちに会いに様々な場所に行き、まったく知らなかった土地を好きになる方法を学びました。リモートワーク中心の働き方も、自分にとっては心地よく、やってみれば意外と何でもできるんだな、と自信がつきました。
(はじめて公募に挑戦した富山でのお仕事にて)
地方案件を中心に、にぎわいづくりや関係人口の創出を目指してイベントを企画する日々の中で、単発の催しを行うことの限界にも直面しました。イベントが“きっかけ”にはなっても、その後をどう育てていくかはクライアントに委ねられてしまうんです。だからこそ、通年や長期で関われるプロジェクトを増やしたいと模索することも多くなっていきました。
(茨城県とは長いおつきあいに)
そんな折、はじまり商店街がYADOKARIに吸収合併されることになり、「こんな結果のために頑張ってたんじゃない」と社長に泣きながら怒ったことも。でも、ふと立ち止まってみたら、怒りの根っこには「この会社が好きだったし、大切に思っていた」という気持ちがあったことに気づいて、すっと気持ちが整ったんです。「ちゃんと自分の意志で選び直したい」と思い、改めてYADOKARIの選考を受けて、転職する覚悟で入社しました。
もっといける。胸が熱くなる数々のシーンと出会いたい
今は、タイニーハウスという空間を使ったイベントの企画や、YADOKARI VILLAGEなどの宿泊施設でのプロジェクトにも関わっています。イベント以外にも、その土地に共感を生むきっかけはつくれるんだと、視野が広がりました。これまで自分にはなかったビジネス的な視点やクリエイティブの精度の高さを求められ、日々背筋が伸びる思いで取り組んでいます。「もっといける」と思いながら、日々修行しているような気持ちです。
芝生広場で映画を上映したり、焚火を囲むトークイベントをしたり「こんな景色をつくりたい」と願って企画したシーンが、目の前で実現したときはとっても胸が熱くなります。その土地の魅力をどう伝えるか、どんな方法が響くのかを考えるのが好きなので、どのプロジェクトでも、ご縁があった地域に対して、自分なりの関わり方を模索しながら続けていきたいと思っています。