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まちの”やってみたい”を育て、コミュニティビルダーがいらない社会を目指す|君塚 豊|コミュニティ・オペレーションユニット

地域にあったスポーツのもうひとつのかたち

入社してからずっと、足立区綾瀬にある「あやセンター ぐるぐる」のコミュニティビルダーとして仕事をしています。地域コミュニティに興味を持ったのは、スポーツを研究しようと思っていた学部時代のことでした。

小学生のときから大学までずっと好きだった卓球を続けていたのですが、高校時代に、卓球部を辞めてしまったんです。スポーツって楽しいからやるものだと思っていたので、「楽しくないならやってる意味がない、苦しんでまでインターハイに行きたくない」と思っていたんです。

そんな自分にとって、部活とは全然雰囲気の違う空間でスポーツをしている、スポーツのサークルや同好会のような地域コミュニティの存在はとても興味深いものでした。練習に参加することへの強制力や指導者もなく、誰がリーダーなのかもあやふやなまま、地域で好きだからスポーツをやっているように見えて、素朴に「あの人たち、一体何なのだろう」って思ったんですよね。

学部のゼミでは、彼らを研究のテーマに決めて、小さな組織をどのように運営しているのか、クラブの存在が地域にとってどんな影響をもたらすのかなどの社会的な意義まで、自分もその場に通い、卓球をし、インタビューをしながら探求していきました。すると、スポーツに限らず「コミュニティ」というものへの関心がすごく出てきて。「いいコミュニティってどう作ればいいんだろうな」という関心にぐっと寄っていきました。

研究の道を離れて見えた、自分らしい生き方

その後は、スポーツの研究者を目指して博士課程まで進みましたが、自分の関心をスポーツに限る必要はないのではないかと迷いが大きくなり、研究に心が向かず、数ヶ月間大学に行けない時期もありました。たくさん悩み「もう大学院には戻らなくていい」と諦めがついたとき、自分をもう一度立ち直らせてくれたのも、やっぱり地域コミュニティでした。実家で頼んでいた有機野菜の宅配がきっかけで、千葉県市川市の有機農業のお手伝いをするようになり、そこから市民農園のコミュニティに通うようになったんです。

農業が好きで来ているのももちろんですが、みんな結局、仲間に会ってお喋りし、笑い合うために来ているんですよね。収穫祭のバーベキューでは、何から何まで持ち寄りで、人任せにせず、トラブルがあっても笑い飛ばして楽しんでいる、本当に気持ちのいい人たちでした。

その後も、どんどんつながりが広がっていき、心も回復していく感覚があって、通い始めて半年後には市川に引っ越しました。地域のクラブ活動を支援する仕事をするようになり、「コミュニティづくりにもっと深く関わる仕事をしたい」と思い始めていた頃に出会ったのが、当時YADOKARIの子会社だった「はじまり商店街」。綾瀬に新しく誕生するコミュニティ拠点「あやセンター ぐるぐる」のオープニングスタッフの募集をしていたことを知りました。

ささやかな「やってみたい」を育て、まちに波紋を広げたい

2024年の4月から、コミュニティビルダーとしての活動がスタートしました。8月にはYADOKARIとの合併を経験しましたが、僕のやりたかったことは「良いコミュニティをつくること」。それができるのであれば、会社の名前には正直、こだわりはありませんでした。今は他の業務にも関わりつつ、引き続きあやセンターのコミュニティビルダーとして活動しています。メインの仕事は相談業務。あやセンターは「やってみたいを、やってみる」というコンセプトを掲げていて、地域の人が「やってみたいこと」を相談しに来てくれます。それを実現できるよう、僕らが伴奏支援をしていく、というスタイルです。

相談内容は、趣味のことだったり、友達をつくりたいなどといった、素朴なものが多いです。今はご近所づきあいも少なく、同じ地域に生まれ育ったからといって友達になる時代でもない。そんな中、仲間をつくることは、誰かの手助けや伴走がないと難しい。だからこそ、コミュニティビルダーという役割が求められているんだと感じています。でも、どんな相談に対しても「やってあげすぎない」ことは常に意識しています。コミュニティで大事なのはコミュニティビルダーありきのまちづくりではなく『自治』の姿勢。コミュニティビルダーという役割がいらなくなる状態が、目指すべき姿だと思っています。

あやセンターは、YADOKARIが運営するシェアハウスのような固定メンバーがいる施設とは異なり、誰でも利用ができる間口の広い施設です。現在の施設の利用者が綾瀬に住む人のの3%だとしたら、今後は、それを5%、7%と少しずつ増やしていきたい。楽しく活動する人の背中を見て、「やりたいことを我慢せず、人と関わりながら暮らす方が、なんだか楽しそうだな」と行動する人の流れが、波紋のように広がっていったらいいなと思います。これは受け売りですけど、「元気で目が輝いていて、楽しそうな人がたくさんいることが、そのまちの豊かさだ」っていう言葉があって、すごくその通りだと思うんです。どこまでいったらそれが実現したと言えるのかはわからないけど、そこに少しでも近づけたらいいなと思っています。

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タイニーハウスホテル等の運営・地域活性化PJを担うプロジェクトマネージャー
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