こんにちは、フーモア代表の芝辻です。
2023年11月からフーモアは13期目に入りました。今フーモアは熱いです。4年連続で売上130%成長をしており、急成長をしています。
2021年末から韓国の会社とwebtoonを作りはじめ、日本国内では株主のアカツキさんや出版社様とも制作をしています。多くのプラットフォームでランキング上位を獲得する作品が数多く出ています。
今では50作品近くのwebtoonを制作しており、2023年6月には大手出版社のKADOKAWA様やアニメ制作会社のMAPPA、tiktokを運営するBytedanceの大株主SIG Asia Investmentなどから7.9億円の資金調達を実施しました。
今回の調達で制作体制を強化して倍以上の体制でwebtoonを作っていきたいと思います。
フーモアがwebtoonの事業を取り掛かったのは、創業当時からで、何度もチェレンジしては能力が足りなかったり、タイミングが合わなかったりでなかなか上手く行きませんでした。
毎週金曜日の朝会で私が全社向けに話す機会があるのですが、今年の5月頃の朝会で、今までフーモアがやってきたゲームクリエイティブ事業部やマンガ事業部、エンタメデザイン事業部、プロダクト事業部があり、制作会社としての強みを活かしwebtoonのスタジオをスムーズに立ち上げることが出来ている、という話をした際、古参メンバーから「昔からやりたかったやつですよね?」と来た時はちょっとうれしかったです。
以下、創業から発信していたブログでも、webtoonへのチャレンジの痕跡が伺えますので、webtoonの歴史や、私が実際に韓国に足を運んでどんなことをしてきたかなどが見えるかなと思いますのでご興味があれば読んでいただければなと思います。
2011年創業当時
フーモアは、私が新卒で入ったアクセンチュアの同期と「マンガを世界に!」をビジョンに立ち上げました。特にビジネスモデルはなく、資本金2万円で、貯金30万円(フーモアの前に創業した会社に当時の大半を注ぎ込んでほとんどお金がなかった)しかなかったのですが、家賃3万円、都内の移動は雨の日も雪の日もママチャリで、最悪貯金が尽きたらコンビニとかでバイトしながら寝ずにやればいいと言う感じでした。
「マンガを世界に!」とか言ってる癖に英語が喋れなかったというのもあり、創業して2ヶ月後くらいにフィリピンへ英語の語学留学に2ヶ月間行きました。日中は英語の勉強、授業の合間や夜に日本から請け負ったコンサルティングなどの仕事していました。
この写真は英語の授業の一環で、調べていたマンガのマーケットに関して英語でプレゼンしています。
当時からデバイスごとにマンガの表現は変わるだろうということで、以下のブログを書いています。webtoonにもこの頃から言及しており、スマートフォンが流行り始めたタイミングということもあり、可能性があるだろうと考えていました。当時のwebtoonはPCベースで進化してきていたというのもあり、そのままスマートフォンに合うかどうかはまだ分かっていなかったのと、naver webtoonやdaumくらいしか存在せず、マネタイズもあまり明確ではなかった(集客して、他のnaverサービスへ送客していたと理解)状態でした。
紙からPC、スマートフォンへ。デバイスごとに変化する漫画の文法 in the looop 芝辻幹也(記事公開日:2011/11/21)
https://lite.blogos.com/article/24410/
ぽちょんどんお化け
https://comic.naver.com/webtoon/detail?titleId=350217&no=31&weekday=tue
2011年にnaver webtoonで、日本でも話題になったwebtoon。閲覧注意
そうこうしているうちに、ソーシャルゲームのブームが来ます。最初は私も絵を描いていたりしていたのですが、自分が絵を描くよりも、IT系の会社さんがゲームに参入するにあたり、クリエイターに対して買い叩くような動き(https://togetter.com/li/21156)があったり、絵のことが分からない方々と、ビジネスの進め方が苦手なクリエイターさんとやり取りすることで、よく炎上が起きていました。私は絵や漫画が描けたり、一応ビジネスの経験もあるというのもあり、「その間に入ってディレクションをすることが価値である」(マイネットジャパン上原さん)との教えがあり、「たしかにそうだな」と思い、マンガのビジネスが特に進展がない状態でもあったので、ゲームクリエイティブ制作の事業を立ち上げにいきました。イラストを制作するというところから将来的にマンガへのビジネスに広げていこうと考えました。上原さんから「3000万円くらい自分で自由なお金を使えるようになるまでは他のことはやらないこと!」と教えを乞い、とにかくそこに集中をしました。
ここで出来たイラスト制作の社内の分業体制や、外部の作家さんとのリレーションがwebtoonにおいても価値を発揮していくことになるとはこの時は思っていませんでした。
創業4年目:マンガ事業への挑戦
フーモアがゲームクリエイティブ事業で成長し、資金調達などを経て、社員メンバーも30名前後になったあたりから、イラスト制作の分業制ノウハウを応用し、分業制でのマンガ制作に取り組みはじめました。
26歳の時に漫画家になる夢を断念し、起業して漫画事業に取り組むフーモア芝辻の挑戦(前編)
https://industry-co-creation.com/industry-trend/2173
当時はマンガアプリが出始め、マンガボックスでゲームのコミカライズしマンガを読んだユーザーさんをゲームアプリへ送客する広告メニューができ、そこのマンガ制作をフーモアが多く制作していました。
その広告マンガ自体はそのまま売れれば商業的にも売っていこうということで、ゲームの宣伝というよりは、ストーリーとして単純に面白いものを作っていきました。いくつかの作品は当時のマンガボックス内でランキング上位を獲得するコミカライズなども出てきました。
その流れで出来たのがフーモアの今の漫画事業部です。ゲームのコミカライズ以外にも通常の企業さんの商品を広告漫画にするニーズが確認できたのもこの頃です。
フーモアが分業制によるマンガ制作をしている中、韓国では衝撃的な出来事が起きます。今で言う「待てば無料」モデルで、lezhin comicsがウェブトゥーンのマネタイズに成功し、資金調達をするというニュースがでました(https://thebridge.jp/2014/04/lezhincomics ) 。それまでは無料で読まれていたwebtoonが、しっかりとビジネスとして成立するというのはかなり驚きだったと思います。
lezhinの創業物語などは、当時の方からかなり詳しく聞いたので知りたい方は是非ご連絡ください。
制作を引き続きしていたというのもあり、そのノウハウをそのままwebtoonに振り向けようと、2015年頃に資金調達を実施しました。
スマートフォン向けのオリジナル漫画事業で世界へ フーモア芝辻の挑戦(後編)(記事公開日:2016/7/6)
https://industry-co-creation.com/industry-trend/2174
一方で日本国内では、comicoが2013年末か2014年頃スタートし、にわかに縦スクロールが盛り上がり始めたタイミングでもありました。
その時にいろいろシミュレーションした結果、韓国でも日本でもwebtoonをやるにはアダルトか、既存の横の漫画のコマを切って縦に並べて、吹き出しを整え、カラーリングするみたいな流れがよいと考え、いろんな出版社さんに回って話をしたりしました。
その作業もかなり工数がかかるということから、大学と共同で研究をして、自動でコマを切れるツールなども作ったりしました。当時はコルクの佐渡島さんなどにご協力いただきテストなどもさせていただきました。
阪南大学xフーモア共同開発!特許出願中のマンガのコマ自動切り出しツール「ミヅハノメ」の紹介(記事公開日:2015/10/16)
そのような流れでいろいろwebtoonを日本でどう成功させるかなどを右往左往していた時期が続きます。以下のブログなどを見ると、その流れが分かるかなと思います。実際に現地韓国のユーザーにヒアリングしたり、韓国語の資料を調べたり、草の根活動をやり続けていました。
意外に高い!?韓国の漫画家さん(ウェブトゥーン作家さん)のマンガ原稿料に関して(記事公開日:2016/01/29)
縦スクロールマンガWEBTOONが実際に流行っているのかどうか韓国に行ってインタビューしてみました。(記事公開日:2016/05/13)
レッドオーシャン化する韓国のwebtoon市場(記事公開日:2016/06/23)
マンガの今!ストア市場と新しいモデルのマンガビジネスとは?(記事公開日:2014/06/30)
https://nipponmkt.net/2014/06/30/whomor_shibatsuji-02/
韓国マンガ市場の今!急成長中の韓国WEBTOON(デジタルコミック)市場とは!?(記事公開日:2014/12/26)
https://nipponmkt.net/2014/12/26/whomor_shibatsuji-03/
世界のマンガ市場は7兆6700億円のポテンシャル?(GDP換算で試算)なんと日本の19倍!!(記事公開日:2016/01/26)
https://nipponmkt.net/2016/01/26/whomor_shibatsuji-05/
いろいろとあり、結局韓国以外ではwebtoonの市場がなかなか立ち上がず、フーモアでもwebtoonに投資をし続けるというのが難しくなり、ペンディング状態が続いていました。そんな中、ピッコマで「俺だけレベルアップな件」含め、webtoonが日本国内でヒットしはじめました。2020年末頃から当時の知り合いだった韓国のスタジオからwebtoonを作って欲しいという話をもらいはじめ、フーモアで再度webtoon制作を開始することになりました。韓国のwebtoon市場でどのようなことが起きているかを知り、本格的にwebtoon制作に取り組み始めました。
ちょうど同じタイミングで既存株主でもあるアカツキの香田さんと食事をする機会があり、そこからアカツキさんともwebtoonをやっていこうという話になりました。
https://note.com/journey525/n/ne3807e2e6acf
フーモアが考えるwebtoonとは?
文字や小説とか読まなくなってるっていう人いますが、見方変えると文字を読むって行為はスマホになってかつてより増えたと持っています。それがやや短文になったりカジュアルになっただけで、おそらく昔よりも遥かに文字を読む人が増えたと思っています。
ブログとかnoteとかTwitterとかできて発信者も爆発的に増えました。
映像でもネットの普及やスマホのおかげで文字と同じように、消費する人が増えました。
漫画も同様に、読む人が爆発的に増えました。以下は日本の漫画市場で電子コミックが牽引し日本国内の市場規模は過去最大になっています。
2020年コミック市場は紙+電子で6126億円、前年比23.0%増と2年連続急成長で過去最大規模に ~ 出版科学研究所調べ
https://hon.jp/news/1.0/0/30684
映画やテレビ、パソコン、スマホでデバイス(やメディア)ごとにユーザー体験が異なるため、youtubeが普及しまくったからテレビがなくなるという議論は意味がないと思っています。tiktokやyoutubeがあれだけ流行っていてもテレビの視聴率がゼロになってはいません(徐々には下がっているかもしれないですが)。別の新しいジャンルとして捉えるのが良いと思っています。横の漫画とwebtoonも同様です。異なるジャンルのコンテンツだと考えています。
webtoonが市場として大きく成長すると考えている理由
ストーリー制のあるコンテンツを抽象度ごとに並べていくと、以下のように「小説・漫画・アニメ/ゲーム・実写映画」のような順番になります。
小説は赤と言われた時に皆さんのご経験や前後の文脈の捉え方により、淡い赤を想像する方もいれば、濃い赤を想像する方もいてかなり抽象的です。
漫画は絵と文字で構成されていて、絵は動かず音もならないので、読者の想像でやや抽象的かと思います。またコマとコマには時間差もありますね。
アニメは実際に動いて音もなりますので私とみなさんの目もほとんど同じ構造で出来ているので想像の余地は少なくなってきます。実写はよりリアルになっていますね。
ウェブトゥーンは、横の漫画とアニメとの中間に位置するか、ややマンガ寄りな位置付けになると思います。
小説・アニメ/ゲーム・実写映画はそれぞれ世界中のクリエイターが作っていて、世界中の人が消費して、マーケットもGDPに比例するように存在しています。
漫画やウェブトゥーンの絵と文字構成される読み物はそうではありません。
絵と文字で構成されている読み物は日本が横の漫画メインで6400億円くらいで韓国が約1500億円弱(ウェブトゥーンがメイン)、その他を足しても1兆円あるかないかくらいです。
私は絵と文字構成される読み物は普遍的であり、世界の人にもっと受け入れられると思っています。日本では横の漫画という形で市場ができました。韓国ではウェブトゥーンという形、スマホの普及により、ウェブトゥーンとうスマホに最適化された絵と文字構成される読み物が大きな市場を作っていくのではと思っています。
以下は日本の漫画の市場規模とGDPをベースに、世界のGDPで割り戻すと約10兆円となります。ウェブトゥーンはそれくらい伸びるポテンシャルがあると思っています。
そういえば似たように過去に算出してみたことがあるのでこちらも参考にしてみてください。
https://nipponmkt.net/2016/01/26/whomor_shibatsuji-05/
世界で最高のwebtoonスタジオを目指す!
フーモアでは既に韓国と日本で20作品程度ウェブトゥーンを作っています。スタジオの人数も30人規模とまだまだ小さいです。作品は来年から徐々にリリースになるのでnoteなどでも紹介できればなと思っています。
スタジオというチームでウェブトゥーンを作りますが、クリエイターにも制作費以外に印税もしっかりとお支払いします(工程ごとに異なる)。
以下がウェブトゥーンの制作工程です。日本の漫画家さんはこれをほとんど一人でできるので先生と言われる理由が分かります。
人はそれぞれ得意不得意があり、クリエイターもそれは同じだと思います。絵が得意な方、その中でも線画が得意とか、着色が得意とか、絵コンテが得意だとか、その得意なところをフーモアのスタジオで一緒にウェブトゥーンを作っていける仲間と一緒に面白い作品を作っていきたいと思っています。