前回(第1回)において、急速に台頭してきたAIの波にどう対応するべきか、葛藤する姿をお届けいたしました。
第2回では、その環境下でWEBGRAMが生き残るためにどう変わっていくべきか?
指針にすべき事を決め、どのように進んでいくかを語っていただいた。
目次
第2回:私たちが選んだ戦い方
Q1: AI時代において、この会社の「強み」はどこにあると考えていますか?
Q2: AIにできることが増えた今、人間が担うべき仕事の定義は変わりましたか?
Q3:採用基準や、求める人材像はAI以前と変わりましたか?
Q4:社員にはAI時代をどう生き残ってほしいと伝えていますか?
Q5:「AIを使いこなせる会社」と「AIに使われる会社」の違いは何だと思いますか?
インタビューメモ
次回予告
第2回:私たちが選んだ戦い方
AIが急速に波及する中で、自社の戦略・差別化・チームづくりについて、具体的な意思決定を語っていただいた。
Q1: AI時代において、この会社の「強み」はどこにあると考えていますか?
3つあります。
- D2C領域の勝ちパターンの厚み——10年積み上げてきたもので、AIで明日真似されるものじゃない
- ハードワーク文化=成果への執着——会社のカルチャーとして地肌に染み込んでいる
- 使う人の地力が高い——AIはエンパワーメント装置で、使う人の能力に出力が左右されます
この3つが揃っていることが、AI時代における一番の強みだと思っています。「勝ち筋を持っている会社」と「持っていない会社」の差は、AIが普及するほど開きます。
AIは0を1にはしない。1を持っている会社の1を100にする道具だからです。
我々はその1を、複数領域で持っている側にいます。
Q2: AIにできることが増えた今、人間が担うべき仕事の定義は変わりましたか?
変わりました。第1回でも述べましたが、私の整理は3つの柱です。
1. 入口を握る——「何を問うべきか」を決める力
AIは問いに答えるのは得意ですが、何を問うべきかは決めてくれません。「誰に・どんな感情を・どう刺激するか」を仮説で立てる仕事はここに残ります。問いの質がそのまま結果の質になる時代です。
2. 出口を握る——数字で判定し、責任を取る力
結果が出たあとに「これでよかったのか/次に何を変えるか」を決めるのは人間です。AIは過去データから推論はしますが、不確実な状況で意思決定し、その結果に責任を取ることはできない。「責任を取れる人がいる」こと自体が、クライアントワークの土台です。
3. 関係を握る——コミュニケーション
人間にしか担えない仕事として、私が一番重要だと思っているのはここです。理由は3つあります。
- 仕事は一人では完結しない。社内のコミュニケーション速度が、そのまま事業のスピードになる
- AIで情報の非対称性が消えていく時代こそ、関係資産が差になる。「この人と組みたい」と思われるかどうかが、最後の差別化
- 人を巻き込む力は、大きな仕事を動かす唯一の手段。会社単位で大きな結果を出すには、人と人を繋ぐ力が要る
Q3:採用基準や、求める人材像はAI以前と変わりましたか?
変わりました。重視している軸はベースとなる4つ+AI時代に重要度が上がった2つで整理しています。
ベースとなる4つ
- 達成思考——「やり切る」ではなく「成果が出るまでやる」。ゴールにこだわれるか。 そしてその達成思考を支えるのが、「数字を直視できるか」未達の数字から目を逸らさず、逃げずに事実から次の手を考えられるか。「原因を数字で説明できる/明日の一手が決まっている/なぜ効くか説明できる」ここまで来て初めて達成思考は機能します。数字から目を逸らした瞬間、達成思考はただの根性論になってしまいます。
- 思考体力——考え続けられる持久力。仮説を立て、外し、また立て直す、これを止めずに回せるか。自分で仮説を立てられる人間は、AI時代に最も希少です
- 逆算思考——ゴールから逆算して今やるべきことを決められるか。目の前のタスクを積み上げるのではなく、結果から引き算で考えられるか
- 会社の基準で努力できる——「自分なりに頑張った」で止まらず、会社が求めるレベルに自分を合わせていけるか
AI時代に重要度が上がった2つ
- 学び続けられるか——変化の速度に、自分のアップデートを合わせられるか。半年前の前提が半年後にひっくり返る時代に、止まった人から置いていかれます。
- 人と関係を築けるか——コミュニケーションの量と質。AIで情報の非対称性が消えるほど、関係資産が差になる。
逆に重視度が下がったのは、最初から器用に作業ができることや、特定ツールに詳しいこと。手の速さはAIに勝てない。でも、この6つを満たす人にはAIは勝てない。
新卒の方に、いま完成された能力は求めていません。「これから磨く方向に、その素地があるか」を見ています。
Q4:社員にはAI時代をどう生き残ってほしいと伝えていますか?
正直に伝えています。「一人一台AIエージェント」の時代は、1年以内に来てしまうかもしれないと。
これは脅威として恐れる必要はありません。自分のレバレッジが10倍、20倍になるチャンスです。ただ、そのチャンスを取れる人と取れない人がはっきり分かれる。
分岐点は「脳に汗をかいているか」だと見ています。
メンバーには3つ伝えています。
- キャリア初期は過集中して、ある領域の地力を作れ——複利で効いてくる
- AIに楽をさせてもらうのではなく、AIで限界を超えろ——目的を間違えるな
- 判断と仮説は人間が握り、作業はAIに渡せ——順序を間違えるな
この3つを徹底できる人は、AI時代に強くなる。
逆にこの3つを軽く扱う人は、エントリーレベルの仕事と一緒に呑み込まれます。
Q5:「AIを使いこなせる会社」と「AIに使われる会社」の違いは何だと思いますか?
3つの軸で分かれると思っています。
- 問いを持っているか——AIは問いに答えるのは得意ですが、何を問うべきかは決めてくれない
- 地力があるか——使う人の能力が薄ければ、薄い出力しか返ってこない
- 脳に汗をかく文化があるか——「楽になること」を目的にした瞬間、その会社は一番先に置き換えられる
我々は、問いを立て、地力で勝り、脳に汗をかき続ける側でいたい。
AIで楽になりに行くのではなく、AIで一段上の仕事をしに行く。この姿勢を会社全体で揃えられるかどうかが、5年後の景色を決めると思っています。
インタビューメモ
「AIは0を1にはしない」——この一言に、今回のインタビューの核心が凝縮されていた。
AI活用の議論は、ともすれば「何ができるか」「どう使うか」というツール論に終始しがちだ。しかし今回語られたのは、その前提にある問いだった。
問いを立てる力、結果に責任を取る力、人と関係を築く力——AIが高度化するほど、人間の仕事として残る領域の輪郭が、むしろ鮮明になっていく。
効率化や省力化が自己目的化した瞬間、その組織の競争力は静かに失われていく。
一見逆説的だが、AI時代に問われているのは、結局のところ人間としての密度なのかもしれない。
最終回となる第3回は、これまでに語られた内容を踏まえて目指すべき未来を語っていただきます。
次回予告
第3回(最終回):これからの10年と、この会社が目指す未来
会社のビジョンと代表の想いを語っていただきます。