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バリュー浸透が「成長の壁」を越えるスピードを生む|Pulse User Interview・株式会社ネクストビート

強い想いを持った創業者によって設立され、時に爆発的な成長を遂げるスタートアップ。小さな組織がハードチャレンジの連続を切り抜ける過程において、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)は会社への求心力をもたらす重要な要素です。

しかし、MVVを組織運営にまで落とし込むことは簡単ではありません。そこで、コンディション・マネジメントサービス「Pulse」を早くから導入し、社内のバリュー改定プロジェクトに役立てている株式会社ネクストビートを取材しました。

7期目にして社員規模が300人を超えるなど、急成長を続けているネクストビート社はバリューをどのように組織運営で役立てているのでしょうか。

写真右:佐々木 麻位也(ささき・まいや)
新卒で㈱セプテーニに入社し、進行管理業務を経て、メディア仕入れ部門の責任者に就任。その後、アドテクノロジー領域の戦略子会社、㈱イーグルアイ立ち上げメンバーとして参画。事業責任者と他子会社のマネージャーも兼務し、その後㈱セプテーニに戻り管理部門の責任者に就任。
2019年5月、デジタルマーケティングのゼネラルマネージャーとしてネクストビート入社。カルチャー浸透プロジェクト責任者も兼任。

写真左:高野 麻奈未 (たかの・まなみ)
2019年新卒入社。学生時代はネクストビートの長期インターンに加え、就活支援をするNPOで学生のキャリア支援に邁進。インターンは短期も含め、延べ20社以上で経験し7社から内定を獲得。
入社後は、複数領域の新規事業のセールスに従事した後、人事に異動し新卒採用を担当。カルチャー浸透プロジェクトの発起人。

バリューは目標に最速でたどり着くための指針

ーースタートアップ企業では、規模の拡大に伴って成長の壁に直面してしまうケースが後を絶ちません。創業時から成長スピードを保ち続けているネクストビートさんが、組織づくりで注力していることはありますか。

佐々木:確かに弊社は年次からしてみれば、企業規模を順調に成長させ続けられてる会社だと思います。ただ、これからさらに規模が大きくなっていく中で社内の目線合わせは難しくなっていくだろうし、バリューに関しても個々の解釈のバラつきが生まれてくると思っています。なので、バリュー浸透の取り組みを常にアップデートするように心がけています。

ーーバリュー浸透において、企業規模が一回り大きくなるときに押さえておくべきポイントがあれば教えてください。

佐々木:会社として実現したいことや推奨したい行動は多岐にわたると思うのですが、そのなかでも核となる要素を見つけて、シンプルな表現に落とし込むことが大切です。弊社で10月から行動指針が進化することに伴い「nextbeat identity」というバリューを設定したときも、あえてポイントを絞ることを優先しました。

シンプルなバリューは日常会話の中でも使える社内共通語にできるだけではなく、個々の解釈に左右されない確固たる指針にもなります。また、設定して終わりにするのではなく、浸透度を計測したり、人数に応じて伝え方を最適化したりすることも重要です。

ーーバリューを単なる「推奨される価値観」ではなく、「目標達成への指針」にすることが大切なのですね。

佐々木:より正確に表現するなら、「目標に『最速で』たどり着くための指針」でしょうか。多くの創業期スタートアップでは、熱量の高い創業メンバーを中心に事業をスピーディに進めることができます。しかし、あとから入社したメンバーはどうしたってスタートラインが違うので、創業メンバーと同じ熱量ですぐさま事業に向き合えるとは限りません。そもそも、会社規模が大きくなるにつれて価値観や熱量のバラつきが社内に生じてしまうのは、ある程度覚悟しておいたほうがいいことだと思います。

さまざまな価値観が存在するということは、人によって行動の選択基準が異なるということでもあります。しかし、各自がバラバラに行動していたら組織は成り立ちません。そうならないように、「自分たちはこっちのほうが気持ちいいよね」という指針を定めておくことで、企業規模にかかわらずスピーディに意思決定をして事業を進められるようになると考えているんです。

ーーダイバーシティ経営が叫ばれるようになって久しいですが、価値観の多様性は「目的」ではなく「前提」だということですね。

佐々木:そうですね。逆説的ではありますが、方針が示されないまま個々人がそれぞれの価値観のおもむくままに行動した結果、かえって「自分の考えがまったく反映されない」という不満が溜まっていくことだってあるのではないでしょうか。

同じ価値観が浸透しているからこそ、「自分の考えが尊重されている」という安心感を得ることができるので、心理的安全性の観点からみてもバリューの浸透は大切だと思いますね。

現場主導で「社内に埋もれた美点」を発掘する。

ーー現在取り組まれているバリュー改定プロジェクトについて詳しくお聞かせいただけますか。

佐々木:このプロジェクトは、職種やキャリアの違いも問わず、全員が自分ごと化できるバリューを設定することが目的です。多様なメンバーをアサインすることで、それぞれが持っているカルチャーの融合を目指しています。

かねてから社内には「バリュー浸透のためにメッセージを伝わりやすくしたい」という課題意識があったのですが、代表である三原の「新卒社員こそ自社のカルチャー形成の主体になってほしい」という想いから、まずは2019年度の新卒社員が中心となってプロジェクト化されました。

私はプロジェクトを全社展開させるための推進役として途中からジョインしました。過去に複数の職種を経験しており、職種毎にバリューの捉え方やカルチャーが異なると知っているので適任なのではという判断ですね。

ーーバリュー浸透の取り組みは、コーポレート部門を中心に全社展開されるケースが多いのではないかと思いますが、その音頭を新卒や事業部責任者がとれるカルチャーがすでに根付いているのですね。

佐々木:現在の弊社のバリューに定められている、「∞(無限大)当事者意識」の浸透ができているからだと思います。経営目線で責任を持って行動をするカルチャーがすでに根付いているため、このプロジェクトもスムーズに進行できていますね。

プロジェクトの目的はバリュー改定ですが、すでに浸透しているバリューもあるため、ゼロから新しいものを創り上げるのではなく、社内に存在している価値観や拾いきれていない美点を抽出し、より伝わりやすい形に再編するというアプローチをとっています。

ーー「うちの会社はこれができていないので、できるようになるためにバリューにしよう」ではないんですね。

佐々木:はい。バリューは策定するだけでは意味がなくて、社内にくまなく浸透して同じ目線で動き出せたとき、はじめて価値が生まれると考えています。なので、社内に存在しない「いいもの」を無理にお題目にするよりも、すでに社内に存在しているけど言語化はされていない「いいもの」にスポットライトを当てた方が断然浸透しやすいんです。

そもそもバリューとは、それをもとに率先して行動したり、会話で日常的に使ったりする中で浸透するものです。もともと社内にあったエッセンスをバリューにすれば、日頃の行動や会話を通じてバリューに触れる機会が自然と確保できますし、結果的に浸透につながると考えています。

バリュー浸透もPDCAを回して改善あるのみ。


ーーでは次に、バリュー改定プロジェクトと並行して「Pulse」を導入された背景について、高野さんにお伺いしたいです。

高野:以前からプロジェクトの進捗を可視化したいと考えていて、外部サービスの導入を検討していました。しかし、行動を褒め合えるサービスの多くは、褒める基準が曖昧で、コミュニケーション活性化だけが目的になりそうな懸念があったんです。

私たちの目的は、あくまで「バリュー浸透」だったため、バリューにもとづいた行動で褒め合えるPulseの「さすが!」機能に惹かれて導入に至りました。

ーーPulseについて社内提案したり、導入を周知する際に工夫されたことはありますか。

高野:上長には、バリューにもとづくコミュニケーションの増加によって、バリュー浸透につながるという提案をしました。提案日が新バリューを全社公開した翌週だったため、マネージャー陣がバリュー浸透の重要性を感じていたタイミングだったのが後押しになりましたね。

社内への浸透策としては、まずは「週に◯回以上は『さすが!』を送ろう」と取り決めを作ることから始めました。ただ、もともと業務でSlackを使っていたため、やり取りがSlackに集約されているPulseは特にストレスなく受け入れられたと思います。

ーーさっそくPulse導入による効果は感じられていますか?

高野:「さすが!」のおかげで、メンバーがバリューに接しやすくなっていると感じます。バリューを一冊にまとめたカルチャーブックを全社員に配布しているのですが、その具体的な活用場面にもなったとも思いますね。今では、誰かに「さすが!」を送りたくなったときに、ブックを開いて行動にあてはまるバリューを確認するメンバーが増えているようです。

また、自分の部署外や他拠点のメンバーの業務内容可視化にもつながっています。東京と九州といった離れた拠点間で「さすが!」を送り合っていて、物理的な距離を越えた交流が活発になった点もよかったですね。

ーーありがとうございます。最後に、今はコロナの影響でリモートワークに移行する企業も増えていますが、こうした変化がバリューを軸とした組織開発に与える影響についてどうお考えですか?

佐々木:確かに、リモートワークが増えて対面でのコミュニケーションが取れなくなった、大人数で集まれなくなったという話はよく耳にしますが、バリュー浸透が上手く進まないというのはそういったリモートワークの課題とは別のところに原因があるのではないかと思います。

「今まではよかったのに、働く環境が変わってカルチャーが失われてしまった」と感じている企業もいるかもしれませんが、本当はそもそも思うようにカルチャーを醸成できていなかったのがリモートで表面化しているだけかもしれません。そしてそれは、これまで社内のエンゲージメント向上施策をなんとなくの雰囲気で進めていたことが原因だと思います。

今ではPulseのように進捗を可視化して評価できるツールがあります。こうしたサービスを活用すれば、「どのチームにバリューが浸透していて、どのチームに浸透していないのか」、「カルチャーづくりにおける社内の隠れたキーパーソンは誰か」といったことを発見しやすくなります。新たに発見した事実があれば、それに対して施策を打つ、効果を測定して改善するの連続で、つまりは事業と同じようにPDCAを愚直に回していくことがエンゲージメントにおいても重要なのだと思います。

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