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「世界で最も生理に詳しい人でありたい」MDX本部 今川高博が語る、女性を取り巻く環境と葛藤への挑戦

「共生社会の実現」を目標に掲げ、2023年新たにMDX(Marketing by DX)本部というイノベーション組織を発足したユニ・チャーム。その前身となる活動は、2015年に国連で「持続可能な開発目標」SDGsが採択されてから間もない2016年からすでに始まっていました。

その中心人物が、MDX本部長代理を務める今川高博です。生理用品ブランド「ソフィ」のマーケターとして、国内外で20年近くにわたって女性の生理について向き合ってきた彼は、どのような考えから活動を始め、MDX本部を立ち上げることに至ったのでしょうか。ユニ・チャームが持つ「グローバルにおける強み」とともに、「MDX本部が組織として目指すこと」についても語ってもらいました。

■今川高博プロフィール

グローバルフェミニンケアマーケティング本部長代理 兼 MDX本部長代理。2001年ユニ・チャーム株式会社に入社。2004年より国内フェミニンケア事業である生理用品ブランド「ソフィ」を担当し、2010年より中国の現地法人でブランドマネジメントを5年半担当。帰国後は、グローバルのソフィブランド戦略を推進しながら、2016年より新規事業プロジェクトに手を上げ、共生社会研究所と共に新しい商品とサービスの開発を行う。新規事業のグロースを経て、2023年より新組織であるMDX本部の立ち上げを行い組織を率いている。

スピード感を持ってイノベーションを起こす組織を。MDX本部を発足した背景

――女性の一生に向き合い、デジタルの力を用いた新しい商品やサービスを生み出すMDX本部。この新組織は、どのような経緯で立ち上げられたのでしょうか?

今川:2015年は、国連総会でSDGs(持続可能な開発目標)が採択され、アメリカの情報誌ニューズウィークでは初めて月経の特集が組まれるなど、世界的に「生理元年」と呼ばれた年でした。そのような時代の変化の兆しを感じていた翌年の2016年、新規事業の立ち上げを行う全社プロジェクトに手を上げ、参加することになりました。

今川:最初は介護チームに加わり、新規事業を考えるプロセスを学んでいました。その過程で大切にしていたのが、ユニ・チャームが掲げる「NOLA&DOLA」というコーポレート・ビジョンでした。そこには、「赤ちゃんからお年寄りまで、生活者がさまざまな負担から解放されるよう、心と体をやさしくサポートする商品を提供し、一人ひとりの夢を叶えたい」という想いが込められています。「NOLA&DOLA」を具現化することに真剣に向き合ううちに、「自分が本当にやりたいことは何だろう?」と考えることが増えていきました。その中で、私自身、長年「ソフィ」ブランドを担当し、日本と海外の両方を経験したからこそ、「社内で生理について考え、向き合ってきたのは私が一番だ」という自負があることに気づいたのです。それならば、女性に向けた新規事業こそ、私にしかできないことかもしれない。全社プロジェクト終了まで数カ月というタイミングでしたが、新たな取り組みへの決意が固まりました。

そこから、「生理用品だけではなく、女性の一生に寄り添い、ホルモンの影響などによる心身の不調に関わる様々な問題を解決する方法はないか」と考え、発想を転換していきました。そのような中で着目したのが、経血やおりものでした。これまでナプキンやライナーなどで吸収して捨てていた経血やおりものには、実は様々な情報が詰まっています。そこから情報を得られるようになれば、これまでにない新しい商品やサービスを提供することができる。そう考えて、新規プロジェクトを生み出しました。立ち上げ当初はチームには私ひとりしかいませんでしたが、開発本部とチームを編成し、生体情報で本質的な価値を発見する共生社会研究所も巻き込みながら、ひとり、ふたりと仲間を増やしていきました。

このプロジェクトがきっかけで、後のMDX本部組織が設立されることになったのです。

新たな技術とDXの力を掛け合わせ、可能性を拡張していく

――新規プロジェクトでは、具体的にどのような調査や研究をしていったのでしょうか?

今川:当社の調査によれば、妊活中の女性の約8割が様々な悩みを抱えており、特に「妊活に適したタイミング(排卵時期を含む約6日間)」を把握することは大きな悩みであることが分かりました。そこで私たちは、普段通りの生活を送りながら、「妊活に適したタイミング」を予測できる方法を研究していきました。そして、プロジェクトが始まって約3年後、“おりもの”には、妊活タイミングを知るうえで重要なサインをもたらす「妊活おしらせ物質」が含まれることを発見したのです。

――それから商品の開発が進んでいったのですね。

今川:はい。そこからは、短期間で実行と検証を繰り返すアジャイル組織を編成し、プロジェクトの取組みもどんどん加速していきました。そして、開発に10年かかると言われていたところを約7年で完成させ、ようやく今年の秋に、「ソフィ」から『妊活タイミングをチェックできるおりものシート』を発売することになりました。

※『ソフィ妊活タイミングをチェックできるおりものシート』のパッケージ。2023年11月7日に全国で発売を予定。詳しくはニュースリリースをご覧ください。

今川:さらに生理管理アプリ『ソフィ』と連動することで、『ソフィ 妊活タイミングをチェックできるおりものシート』を使用開始するのに最適な日がわかるようになり、妊活に適したタイミングである「排卵時期を含む6日間」をより把握しやすくなります。また、使用状況や体調を記録することによって、一人ひとりに適したフィットした妊活アドバイスもお届けします。

――新技術とDXの掛け合わせによって、妊活中の女性が抱える悩みも大きく改善されていきそうです。今後はどのような動き方を考えていますか?

今川:MDX本部は、こうした新規事業をよりスピード感を持って推進していくために誕生した組織です。今後は、外部のパートナーも含め、様々な専門的な技術や経験を持つ人材をどんどん取り入れて、いわゆる出島的な組織にしていきたいですね。そうして得た成果を全社に還元して、イノベーションを起こしていきたいと考えています。

ユニ・チャームだから、世界にインパクトを与えていける土台がある

――日本有数のグローバル企業としても知られるユニ・チャーム。今川さん自身も中国の現地法人やグローバル戦略を考えた経験がありますが、そこで得た視点はMDX本部にも反映されているのでしょうか?

今川:もちろんそうです。生理にまつわる様々な葛藤に悩んでいる女性は世界中にたくさんいます。だからこそ、グローバルな視点を持ちながら一人ひとりに向き合い、消費者の生活の質を向上して、付加価値の高い独自性のある商品やサービスを届けることも、MDX本部の役割でもあると考えています。

――国や地域によって生理の考え方も異なるため、難しさもあるのではないでしょうか。

今川:難しさはありますが、それに対応できる体制がユニ・チャームには整っていると思います。私自身も、ブランド共通の土台となる「WHO(だれに)・WHAT(何を)・HOW(どのように)」を考え、国や地域ごとの価値観に合わせた「WHO・WHAT・HOW」を決定していくという、2段構えの体制を経験してきました。だからこそ、会社とともに成長できたのだということを実感しています。

今川:中国の現地法人では、実際に現地のスタッフとたくさん話すことで、日本との価値観の違いが見え、たくさんの発見がありました。たとえば日本では、薬局の奥の棚に隠されるようにナプキンが置かれ、購入すると紙袋に包まれるなど、長きに渡り生理がタブー視されてきました。一方、中国は生理に対して非常にオープンで、SNSでも生理に関する情報が活発に発信されています。ナプキンにおいても、ライフスタイルに欠かせないグッズのひとつという感覚なので、中国は「簡単で楽ちん」「コスメみたいにデザインがおしゃれ」というポジティブなアプローチの方が消費者に受け入れられています。MDX本部ではこうした環境の違いを捉え、テーマごとの検証スピードを落とすことなく、その国や地域に適した商品やサービスを展開していきたいと考えています。

目標にまっすぐであれば、大胆な挑戦ができる環境

――今後どのような方々とMDX本部のプロジェクトを推進していきたいですか?

今川:「共生社会」の実現を目指していく上で、今後MDX本部が手がける女性の健康に関するプロダクトやサービスはあくまで起点であり、そこに閉じられるものではありません。ゆくゆくは全ての人を対象に展開していく予定です。そのため、ユニ・チャームとして大切にしている「NOLA&DOLA」の精神に共感してもらいながら、このプロジェクトを面白いと思ってくれる方と一緒に推進していきたいです。

MDX本部は女性にとってのマイナスの部分を見つけ出し、それをプラスにしていくためのアイデアを、商品やサービスに還元できる部署です。さらに、商品やサービスを世の中にリリースして終わりではなく、その成長を考え、育てていくこともできる。そのために、事業計画を立てる人、リサーチからコンセプトをつくる人、商品やサービスをつくる人など、それぞれの役職を設け、ブリッジ人材も加えて、専門性の異なる多様な人たちと上流から全部一緒にやっていきます。このようにアジャイルな組織であるため、無駄な作業もあるかもしれませんが、皆で同じゴールに向かって、どんどん進化していけるような組織にしたいと考えています。

また独立性のある組織として、組織文化も一からつくっていきたいと考えています。組織文化をデザインする経験をされてきた方は特に、メンバーに加わってもらえると嬉しいですし、これまでの経験もぜひ共有してほしいです。

――最後に、MDX本部に参加を希望する方へ、メッセージをお願いします。

今川:ユニ・チャームは、ライフ・タイム・バリューの考え方を浸透させ、企業価値を高めている会社です。私たちが行っていることは、考え方や価値観を伝えるだけでなく、商品やサービスの提供まで幅広いです。グローバルでの強みを活かして、「人の暮らしを変えていきたい」と心から願う方と共に、目標に向かって伴走できることを願っています。


ユニ・チャーム株式会社の企業に関する情報はホームページでご紹介しています。ぜひご覧ください。

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