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お客様を知り、継続したお付き合いをしていくために ユナイテッドアローズの統合データマーケティング事例

2017年8月より、トレジャーデータの提供するカスタマーデータプラットフォーム「TREASURE CDP」と、アプリの成長支援ツールReproとの連携が可能となりました。2つのサービスを連携することで、スマートフォンアプリの行動ログとWebの閲覧ログが一元化され、顧客をより正確かつスピーディに理解し、マーケティング施策に反映することが可能となります。

今回は、TREASURE CDPのユーザーである株式会社ユナイテッドアローズ デジタルマーケティング部の安藤彩子様を訪問しました。オムニチャネルでの顧客データ統合を実現したユナイテッドアローズ。安藤氏はそのソリューション連携要望を率先されました。今回はReproとTREASURE CDPを導入した目的と利用用途、今後の展望についてお伺いしました。


「データを集めて分析する、その究極の目的はひとつ。お客様を知るためです」

堀内  安藤さんはユナイテッドアローズでデジタルマーケティング部のリーダーを務めていらっしゃると思いますが、改めて御社のご紹介と安藤さんの所属する部門と役割について、お話いただけますか?

安藤  ユナイテッドアローズは、全国でセレクトショップを展開するアパレル企業です。現在18のブランドで245の店舗を持つ他、アウトレット・自社オンラインストアも展開しています。

デジタルマーケティング部は、デジタル活用分野におけるブランド横断統合型マーケティングを行うための部門です。構成は、デジタルコマース、デジタルコミュニケーション、そして4月に新設されたアナリティクスの3つのチームから成ります。私はその中で、デジタルコミュニケーションとアナリティクスを兼務していますが、コミュニケーション領域ではメールやLINE、アプリ内メッセージ、ポップアップ、また会員のマイページ内メッセージなど、多岐に渡る顧客接点を適切にプランニングし、実施することをミッションとしています。デジタルコマースチームはUNITED ARROWS LTD. ONLINE STOREのフルフィルメントとメディアの両面の運用管理を行っており、アナリティクスチームは様々なデータを分析し、部内に改善提案や新規取り組みの提案を行うことを目的をしています。

堀内  今回、TREASURE CDPを採用していただきましたが、その経緯を教えていただけますか?

安藤  ユナイテッドアローズではお客様とのコミュニケーションに際して、MA(マーケティングオートメーション)を活用しています。MAのシナリオ構築にあたり、当初はCRMから会員属性と購買データだけを使っていました。というのも私たちは、Webサイトの閲覧ログデータを取得できていなかったんですね。MAでお客様にコミュニケーションを取るにあたり、会員属性と購買データだけではタイミングの最適化をはかることもできず、リッチなシナリオにはならない。Webログのデータを使いたい、データを取得し、MAのシナリオに活用したいという背景があって、トレジャーデータのTREASURE CDPにたどり着きました。

堀内  WebにJavaScriptのタグを貼り、ログデータをTREASURE CDPに貯めることによってお客様を理解して、最適なコミュニケーションを取るということですね。

安藤  はい。データを集めて分析する、その究極の目的はひとつです。まさにお客様を知るためです。WebのログとMAのシナリオをうまく紐付けることで、当初の目的はスムーズに実現できたと思っています。


アプリのカスタマーエクスペリエンスを動画で確認、改善

堀内  一方で、ユナイテッドアローズでは昨年8月よりスマートフォン用アプリの分析ツールとして、Reproを利用していらっしゃいますよね。 導入のきっかけは何だったのでしょう?

安藤  アプリをリニューアルするにあたって、それまでのアプリでプッシュ通知ができなかったので、まずはプッシュ通知のできるツールとして導入しました。「施策のPDCAが早く回りそう」というところが決め手でした。

堀内  なぜアプリのプッシュ通知を検討されていたのですか?

安藤  モバイルにおけるアプリはWebよりもお客様にとって使い勝手がよく、より身近な存在なので、その点でもアプリのプッシュ通知が有効だと考えたからです。

堀内  小木曽さん、改めて、プッシュ通知も含めて、Reproの特徴をご紹介いただけますか?

小木曽  Reproは、アプリユーザーが使いにくい箇所や、つまずきの起こる箇所を把握するといった、アプリ分析のためのツールからスタートしました。単なる画面遷移だけではわからない情報を把握できるのが特徴でした。

現在はそれに加えて、マーケティングのための機能を追加しています。特徴的なものとして、ひとつはプッシュ通知、もうひとつはアプリ内メッセージです。我々はアプリ内マーケティングと呼んでいますが、追加で開発をせずに、管理画面から簡単にマーケティング施策が打てるツールです。こういった機能追加によって、Reproは分析のツールからアプリの改善を行う事ができるツールへと進化しました。

安藤  Reproの分析は「リアルな現状把握」ができるのが良いですよね。私たちはReproで得られるデータを基に、アプリ内のつまずきがある部分に対して、アプリ内メッセージやプッシュ通知などで解消する施策をスピーディーに回すように使っています。開発で改修すると、時間と費用がかかってしまいますから。


散在するデータが、お客様理解を妨げる

堀内  アプリ自体のログ分析は確かにできるようになりますね。アプリ以外のWeb、店舗での購買などそれぞれのチャネルで収集されるデータについては、どのような状況だったのですか?

安藤  ユナイテッドアローズのアプリは、それまで自社オンラインストアとハウスカードの2つの機能を持たせたものが、別々に存在していました。ですが去年のリニューアルの時にそのふたつを統合した際に、我々が保有しているデータではアプリユーザーを特定することができなくなってしまったんです。

アプリの利用とロイヤリティには因果関係があるので、アプリを使っている方が誰なのかを知る必要がありました。Reproで会員IDを取得できることは可能でしたが、会員IDと購買データ、会員属性データが散在しているため、そこから会員ひとりひとりの行動を把握し、ニーズを読むことができません。

ReproとTREASURE CDPが連携することにより、データを全てTREASURE CDPの一箇所に格納し、統合ができるようになりました。具体的にはReproの取得する行動ログと会員ID、CRMから会員属性と購買データ、そしてTREASURE CDPの収集するWebログです。データの一元管理と統合が容易になることによって、アプリもしくはWebでログインしている会員について、Webやアプリでどのように情報収集を行っているか、その利用の状況、リアル店舗に行って購入しているのか、Eコマースにしてもオンラインストアから購入しているのか、もしくはアプリからの購入なのかを知ることができます。お客様の趣味嗜好を知り、より理解を深めることが一気通貫で可能になりました。

堀内  すごいですね!オムニチャネルの教科書のような活用例ですね。

安藤  統合以前は、断片的に取っているデータを私たちの脳みそで繋いでいるようなものでしたが、仮説を立てたとしてもそれが本当に正しいかの検証もできなくて。把握しきれていない部分が多いのではないかと。お客様理解の正確性は高ければ高いほうがいいですよね。

堀内  ReproとTREASURE CDPの連携によって、さらにお客様理解がすすむということですね。


データ統合は、お客様を知り適切なコミュニケーションを行う第一歩

堀内  今後統合されたデータを分析していく中で、どういった点に注目していますか?

安藤  アプリとWebがどうやって併用されているかというところです。もちろんアプリしか使わない方もいるでしょうし、Webしか使わない方もいて、そういったシングルユースの方たちそれぞれと、アプリもWebも併用している方たちについて、情報接触頻度が異なるのかどうか。

仮説としては、情報接触頻度が違えば購買頻度も違ってロイヤリティも違うと単純に思っているのですが、それが本当に違うのかということと、情報接触頻度の高さとロイヤリティが関係するのか、ということの検証ですね。情報頻度が高く接していただいている方がロイヤリティの高いお客様になっていくということが検証できるとするなら、どこにどういう情報を配置していくべきか、情報の見せ方はどうすべきか。

そういうところを検討していくのが、今すごくやりたいことです。アプリとWeb両方のデータが統合されることでやれるのではないかと期待しています。

堀内  ちなみにデータの分析はどなたがされてらっしゃるんですか?

安藤  部内のアナリティクスチームで行っています。ただ、チームは現状プロのアナリストが在籍しているわけではありません。デジタルマーケティングの運用経験者が、ビジネスの視点をもってデータを視ることで、仮説が定義でき、分析手法を計画することができると考えています。

堀内  一般的にリアルに接客をされてきた方たちは、直接お客様の顔を見てお話をすれば、そのニーズを汲み取ることができますよね。だけど今はデジタルでお客様との間に画面を挟んでしまうので、お客様の表情や行動がわからなくなってしまった。TREASURE CDPを使っていただくことで、リアルな接客でニーズを正しく汲み取るように、デジタルでの顧客理解をサポートしていきたいと思います。

安藤  そうですね。お客様を正しく知ることが出来れば、その方にとってもニーズに即した提案をすることができるようになります。

施策について効果検証するにしても同じことで、検証する目的って「お客様を知るため」なんですよね。扱えるデータが増えることでお客様理解の正確性を高めることができれば、私たちが提供できる商品やサービス、情報コンテンツや施策などが、できるだけお客様が求めていることに近づくことができる。それによってお客様のエンゲージメントが上がって、私たちが目指している「継続したおつきあい」ができるようになっていくと思っています。

堀内  最後に、今後について抱負を教えていただけますか?

安藤  ここまで整えるのに、大分時間はかかりました。やっと、やっとですね。これからです。面白いだろうなと言ったら語弊はありますが、今まで想像するより他なかったことをこれからデータという形で現実として見ていくんだっていうことに、非常に期待は高いですよね!

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