新卒で外資系ホテルに入社して以来、約10年にわたりゲストの前に立ち続けてきたS.Nさん。マニュアルの整った巨大組織から、あえて「正解のない」新規事業の立ち上げへと飛び込んだ理由とは。ホテリエとしての視点や、業界の課題に向き合いながら描く「新しいホテリエのキャリア」についてお話を伺いました。
プロフィール:S.Nさん
新卒で外資系大手ホテルチェーンに入社。その後タイのホテルへ異動し、約4年半勤務。コロナ禍を機に帰国し、旅館の仲居や民泊事業の立ち上げ・管理を経験。アパートメントホテル事業の立ち上げフェーズである現在の環境に魅力を感じ、1年前より東急ライフィアに参画。開発チームと共に施設づくりから運営まで幅広く牽引する。
目次
◎外資系ホテル、地方の民泊を経て「ゼロからの立ち上げ」に惹かれた理由
◎現場を知る「ホテリエ」だからこそ、生み出せる価値がある
◎ライフステージに縛られない。ホテリエの「新しい選択肢」を作りたい
◎求めるのは「正解のない環境」を楽しめる人
◎外資系ホテル、地方の民泊を経て「ゼロからの立ち上げ」に惹かれた理由
―現在の会社に入社される前も、ずっと宿泊業界にいらっしゃったんですよね。どのようなキャリアを歩まれてきたのでしょうか?
S.N: はい、新卒からずっとホスピタリティ業界にいました。最初は外資系ホテルで2年ほど働き、タイのホテルへ移って4年半ほど勤務しました。その後は外資系ホテルだけでなく、旅館や民泊などで幅広い宿泊業で経験を積みました。
―10年間ずっとゲストの前に立ち続けてから、現在のような事業の立ち上げに関わる仕事に入るのは、かなり大きな挑戦だったのではないですか?
S.N: そうですね。これまで主に現場での接客業務に携わってきたため、オフィスワーク中心の環境で社外の関係者と連携しながら仕事を進める経験は多くはありませんでした。その分、自分にとっては大きな挑戦ではありましたが、キャリアを見つめ直す中で、これまでの宿泊業の経験を活かしつつ、より広い視点で事業に関わりたいという思いがありました。中でも民泊の立ち上げを経験したことで、より大きな組織の中でこのプロセスを学んでスキルを身に着けたいと思っていました。
―そんな中で、大橋会館に出会ったことがきっかけだったと伺いました。
S.N: はい。普段からゲストとして様々なホテルで宿泊を体験することが好きで大橋会館に泊まる機会があり、コミュニティを作るような取り組みにすごく関心を持っていました。実は大橋会館が東急の事業であることは結びついていなかったのですが、 面接を進める中で「あのプロジェクトを手掛けた人(小池さん)たちがやっているんだ!」と知り、ご縁と面白さを感じたことがきっかけとなりました。
◎現場を知る「ホテリエ」だからこそ、生み出せる価値がある
―現在、さまざまな物件のオープンに関わられていますが、現場での宿泊経験はどのように活きていますか?
S.N: すごく活きていると感じます。今、新しくホテルを作るにあたって家具などを造作しているのですが、そこに「運営側の視点」を持ち込んでいます。 例えばベッドメイクや清掃がしやすい家具の配置はどうあるべきかなどですね。私はフロントだけでなく、レストランやハウスキーピングも経験し、ホテル全体の運営を見てきたので、開発チームと意見交換しながら、ホテルができあがる過程にも携わるチャンスがあることに面白さを感じています。
―お客さんを迎える「前」の段階から関われる面白さですね。
S.N: ええ。ホテリエにとって、目の前でお客さんから「ありがとう」と言われることは大きなやりがいです。でも、構想段階から関わった家具や備品が実際の客室に取り入れられ、ゲストの方に使っていただけることや、SNSでその様子を見ることも、こうした物づくりの喜びがあることに気づくきっかけになりました。動線や清掃のことまで考えながらゲストを想像するのは、宿泊業に携わってきたからこそ持てる視点だと思っています。これまで対面での接客経験を積んできましたが、今後は予約からチェックアウトまで非対面という条件のなかで、いかに人を感じさせるサービスを構築できるか、というゲストサポートの立ち上げに挑戦します。この新たな取り組みにも、非常にワクワクしています。
◎ライフステージに縛られない。ホテリエの「新しい選択肢」を作りたい
―今後の目標や、ご自身のキャリアについて考えていることはありますか?
S.N: ホスピタリティ業界は、夜勤があったり不規則な生活であったりして、ライフステージが変わる中で長く続けていくことに不安を持つ人が多い業界です。私自身も悩みましたし、それが理由で離れてしまう元同僚もたくさん見てきました。
だからこそ、アパートメントホテルのような非対面のサービスや、運営経験を生かしたもっと自由な接客の形を作っていきたいんです。例えば、1ヶ月違う街に滞在しながらオペレーターの仕事ができてもいいはずですよね。接客は諦めたくないけれど、ライフステージに合わせて柔軟に働ける。「ホテリエが好きだからこそ続けられる、いろんな道があるんだよ」ということを、少しでも体現して伝えられたらいいなと思っています。
―現場を離れてもホテリエであることは変わらない。とても素敵な視点ですね!
S.N: 大変だという理由だけで離れてしまうのはもったいない。好きじゃないと働けない仕事だからこそ、どんな関わり方であっても、多様なキャリアの道があって良いのではないかと思っています。
◎求めるのは「正解のない環境」を楽しめる人
―最後に、これからこのチームにどんな人に来てほしいですか?
S.N: 今はまさに立ち上げフェーズなので、正直「正解」はないです。だからこそ、その正解のなさをポジティブに捉えて、チャレンジを楽しめる人がいいですね。私たちは東急という大きなグループのなかで沿線の街づくりをさせてもらっています。これだけ街づくりという面の視点をもって新しい宿泊の在り方、空間づくりに挑戦できる機会はそうありませんし、その環境で大いに自分の可能性を広げてみたいと思えるくらいの人が向いていると思います。ゲストサポートや管理業務をベースにしながらも、自分の興味関心に合わせて、挑戦できる環境があります。新しいことに前向きで、自分のこととして楽しんで行動できる方と、ぜひ一緒に働きたいです。
あとがき
国内外のラグジュアリーホテルから地方の民泊まで、最前線でホスピタリティを追求してきたS.Nさん。彼女の言葉からは、これまでの経験に裏打ちされた説得力と、「ホテリエという仕事への深い愛情」が溢れていました。 業界の課題から目を背けるのではなく、アパートメントホテルという新しいビジネスモデルを通じて、働く人たちの多様なキャリアパスをも切り拓こうとする姿勢に胸が熱くなります。