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セミナー参加レポート ~Govtechについて~

みなさんこんにちは!東京インタープレイ(株)企画広報部のうさみです。

2021年8月5日(木)、駐日デンマーク王国大使館主催のウェビナーに参加しました。テーマは「デンマークのGovtechとデジタルデザイン」。「Govtech」とは、日本でいうところの行政DX推進のを指す「Government(政府)」と「Tech(技術)」をかけあわせた造語です。日本では2021年9月にデジタル庁が設立され、5年を目途に行政のデジタルインフラ整備を目指しています。それに先立ち、行政DX推進のヒントになればと、デジタル先進国のひとつであるデンマークの事例の紹介・共有というのがセミナーのコンセプトでした。今回は、そのご紹介と参加レポートです。



●そのまえに、デンマークってどんな国?

デンマーク はヨーロッパ北部に位置し、北はノルウェー、東はスウェーデン、南はドイツと国境を接している国です。総面積は4万3,098平方キロメートル(九州と同じくらい)、,ユトランド半島と407の島々からなり、そのうち70の島に人が居住しています。人口は約560万人 (兵庫県とほぼ同じ)。

「福祉先進国」としても知られており、消費税率25%、国民負担率約70%という、日本と比較して高い税率を誇る一方で、医療費や教育費は無料、各種高齢者サービス等の社会福祉が充実しています。

また、世界有数のデザイン大国でもあります。物質的にはもちろん、概念や観念といったカタチのないものごとにも「デザイン的思想」が根付いており、それが特別ではなくあたりまえというところに、国民の意識レベルの高さを感じます。

街並みがLEGOブロックみたいです。そういえば、LEGOブロックもデンマーク発の知育玩具でしたね。



●行政デジタルインフラ整備の経緯

デンマークは、早い段階から国を挙げてあまねく行政手続きのデジタル化を推進している「デジタル先進国」のひとつです。きっかけは、50年以上前の1968年、国民登録法(National. Registration Act)制定によって個人番号(日本のマイナンバーにあたるもの)取得が義務付けられたこと。時を経て、2011年にデジタル庁が発足し、Govtechを推進する上で、集めた国民の個人番号情報を、整備したデジタルインフラに紐づけ。それにより、医療・教育・納税・各種証明書取得 等々、公共機関の窓口に赴かなくてもあらゆる行政手続きが可能となりました。

個人番号義務化当初は、反対する国民が多く存在したそうです。その国民も今や80~90代となり、彼らも個人番号を保有することの恩恵を実感、個人番号を持つ事が当たり前の社会となりました。



●セミナーに参加して参考になったこと・感心したこと

セミナーは、デンマークデジタル庁の元長官、Govtechのプロジェクトにかかわっている、主にコーポレートアイデンティティやピクトグラムといったビジュアル面のデザインを考案した会社の方、デジタルインフラ整備を担当している技術会社の方等々、様々な方々の講演で構成されていました。一貫していたのは、「よそで〇〇が流行っているから」と安直にマネをするのではなく、自国の強みをよく分析して捉え、それに相応しい選択をするというスタンス。こういう点は是非取り入れるべきだと思いました。

以下に挙げるのは、今回のセミナーで感心した点です。


❶行政のデジタルインフラ、コロナ禍で威力を発揮

整備した行政のデジタルインフラが、図らずもコロナ禍において威力を発揮したという点。例えば、

1)コロナ給付金の支給手続きが数日で完了(=全国民の個人情報がデータベースにあったので)

2)パンデミック時に公務員のリモートワーク移行が数日で完了(=業務に必要な書類がペーパーレース化されていたので)

3)子供たちのホームスクーリング移行が円滑にできた。(=学習教材がペーパーレス化されていた、学生へのタブレット端末やノートPCの普及率が高かったので)

❷官民の垣根を越えて連携

行政のデジタルインフラの整備や運用には、官民の垣根を超えた連携が不可欠で、その垣根が日本と比較すると低いorもはや無いという点。事実、デンマークでのこの取り組みは、政府・デザインのエキスパート・ICTテクノロジーのエキスパートがタッグを組み、知力を結集して取り組んでいるとのこと。国が新たな取り組みをスムーズに推進する上で重要なポイントだと思いました。

❸政府⇔国民間の双方向コミュニケーションが成立

国民の声を定期的に拾い上げて課題を抽出・分析し、改善点があれば迅速に対応できるスタンスでいる点。

❹人材教育を怠らない

技術革新がめまぐるしい中、新たなテクノロジーを積極的に学び、習得した知識を整備したデジタルインフラに反映するための人材教育に注力しているという点。

❺ビジネスとしても展開

結実した行政のデジタルインフラ整備のフォーマットは、国外の自治体を対顧客として輸出し、ビジネスとして成立、展開している点。セミナーではカナダの某自治体での導入事例が紹介されていました。



●感想

今回のセミナーに参加して、デンマークでの取り組みを参考に、日本でも行政のデジタルインフラ整備をすることが急務であることを改めて認識しました。一方で、複雑な要素が様々に絡まっているため、一朝一夕にはいかないものだということもよくわかりました。はたして5年で整備出来るものなのか..

発足されるデジタル庁には、国民が納得いくような行政のデジタルインフラ整備に努めていただきたいものです。また、国民である私たちも、世の中の動向により一層関心を寄せ、必要があれば声を上げることを望まれているようにも感じました。

先述しましたが、国を挙げて大きなことを成し遂げるためには、政府⇔国民間のコミュニケーションが不可欠なのですよね。

行政のデジタルインフラ整備も重要事項ではありますが、デンマークの事例を鑑みると、政府と国民の間の信頼関係構築が、デジタルインフラ整備以前に取り組むべきことの重要事項のひとつでは..とも思えます。(ちなみに、2021年5月時点でマイナンバーカード取得率は30%)

のちに調べたところ、デンマークの国民性の特徴として「性善説」と「信頼」を重んじるというものがあり、それがソーシャルデザインにも表れているそうです。例えば、駅に改札口がないことや、家の窓にカーテンを付けない(!)ことなど。それを実証しているのが、「犯罪発生率が低い国ランキング」「世界幸福度ランキング」の上位に常にランクインしている点。規則やルールと呼ばれるものは、何らかのネガティブな出来事があって、それを是正するために作られるものですが、彼らの思考では「世の中をより良くするために」というのがアクションする上で大前提とのこと。セミナーの受講内容が腑に落ちました。

以上、今回は「デンマークのGovtechとデジタルデザイン」セミナー参加レポートをお伝えしました。また何かのセミナーに参加した際は、レポートをアップしていきたいと思います。

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