はじめに
はじめまして。テコテックCTOの川人です。
今回は僕自身のことについて書かせていただこうと思います。2019年の6月にCTOとしてテコテックに入社しましたが、これまで何をやってきた人間で、どういう想いで入社して、いま何を考えているのか、についてリアルな声をお届けしたいと考えています。
いまテコテックで働いている皆様、そしてこれから働くことになる皆様へ、赤裸々な気持ちが伝われば嬉しいです。
――これは、テコテックに骨を埋める決意をした男の物語である。
フリーランスになるまで
会社員時代の話からはじめようと思う。時は2011年まで遡る。当時ITコンサルティング会社に勤めていた僕は勢いで会社を辞めた。入社から3年半たった頃だった。これといった明確な理由はなく、30歳までに独立する、と社会人になる時に決めていた期限が来たからだった。
当時の会社では異色の部署に所属していた。業務系という重厚なシステムにモダンな開発を適用できないか、といった実験的なプロジェクトで研究開発的な活動をしていた。小さな部署だったので、インフラからアプリまで一通り経験させてもらい、アジャイルやDDDといった考えにも触れさせてもらった。
話を戻そう。先ほど勢いで辞めたと書いたが、さすがにノープランだった訳ではなく、一緒に辞めた同僚とサービスを立ち上げよう、という話をしていた。
しかし全く上手くいかなかった。いま振り返れば覚悟が足りてなかったんだと思う。いくつかのインキュベーションプログラムに参加したり、プロトタイプを作ってみたりしていたが、そこに確固たる意志はなくサービスは迷走した。貯金もあっという間に底をつき、あえなくチームは解散することとなった。
この先どうやって生きていこうか、なんて考える暇はなかった。生活費を稼がなければならない。再就職するつもりはなかったから、僕はフリーランスの道を歩むことにした。
スライム商会
税務署に開業届を出して、個人事業主となったわけだが、肝心の仕事がなかった。営業の仕方もわからなかったから、とにかく何でもやります、というスタンスで周囲をあたり、なんとか仕事をいただくことができた。
本当になんでもやった。スタートアップのお手伝いから大手クライアントの二次請け三次請けまで、キャンペーンサイトから広告配信のバックエンドまで、はじめての技術でもとりあえずできますといって、そこから必死でキャッチアップした。
仕事が軌道に乗り始めたころ、スライム商会、というフリーランス集団を立ち上げた。今でいうギルド型組織に近い。個人で仕事をしていると営業力が一番の課題だ。ノウハウも属人化する一方である。
そこで、知名度および営業力の一本化とノウハウの共有を目的として作ったのが前述の組織だ。集まって強くなる、というコンセプトでスライム商会という名前をつけた。個人的にこのネーミングは非常に気に入っていて、クライアントの受けも良かった。
この時に考えていた組織への思いは今の自分にも繋がっているが、それはまた後の話だ。
技術ドリブン
フリーランス3年目となった2014年、法人化することにした。仕事にもだいぶ慣れてきていたので、何か新しいことを始めよう、そして法人化がその節目となれば、と思ったのが大きな理由だ。
これまでずっとクライアントワークをやってきたので、新しい取り組みとしてサービスを作ろうと思った。エンジニア気質だろうか、ただ作るだけでなく知的好奇心も同時に満たしたかった。そうして出来上がるサービスは完全に技術ドリブンだった。当時ディープラーニングが注目を集めていたので、画像認識を使って麻雀の点数を自動計算してくれるアプリを作ってみたり(結局精度が思うように出せず、手計算アプリとして公開した)、DQNを使ってゲームを解かせたりしていた。音声認識が出始めた頃には、音声メモアプリを作ってみたりしていた。
この頃は適度に忙しく適度に自由で平和な時間を過ごしていたが、ある男との出会いをきっかけに、人生が少しずつ動き出していく。
釣崎との出会い
弊社の社長である釣崎と出会ったのは2017年の夏頃だったと思う。不動産の案件をやっていた時のことだ。当時は本当に人手が足りず、バックエンド、フロントエンド、アプリを全部一人で開発していた。そんな状況の中、クライアントの社長が、技術顧問を連れてきたから、とやってきたのが釣崎だった。正直いま必要なのはコードの書けるエンジニアなのになぜ?と思った。
初めて会った時の印象は、いまと変わらず飄々としていて、掴みどころのない人だった。そんな印象だったし、ここまでの会社を築き上げた凄い人だとは知らなかったから、率直な意見をどんどんぶつけていたと思う。生意気なやつだと思われていたかもしれないが、一つ一つ丁寧に議論に応じてくれた。そして彼の口から発せられる言葉は、ビジネスから技術、デザインに至るまで核心をついていて、面白い人だなと思った。顔をあわせるのは週1回の定例だけだったが、次第に仕事以外の話もするようになっていった。
ブロックチェーンとテコテック
ちょうどその頃、暗号資産が世間を賑わしていて、技術ドリブンだった僕も、当たり前のようにブロックチェーンに興味を持っていた。ただこの時は技術よりも思想に強く惹かれていたと思う。特に、DAO(自律分散型組織)の考えが僕の理想とする世界観と近く、より深くブロックチェーンに関わりたいと思っていた。とはいえ身の回りにブロックチェーン関連の仕事はなかったから、本を読んでサンプルコードを弄ってみたり、ハッカソンに出てみたりしていた。
こうしてブロックチェーンを少し分かったつもりになっていた2018年の夏頃、いつもの雑談の延長で、ブロックチェーンに興味あるんですよね、と釣崎に話した。「え?ウチやってるよ?」「え?まじですか?絶対お役に立ちますからお仕事ください」「いいよ、詳細は追って連絡する」こんな感じの会話をしたと思う。ひょんなことから一つ案件を担当させてもらえることになった。本当に案件あるのかな、と思って家に帰って調べてみると、テコテックは過去に東京ビットコイン取引所を開発していた会社なのだと知った。
担当させていただいた案件は、初期フェーズが比較的ライトだったこともあって、クライアントとのやりとりから設計、開発までお任せしてくれた。とても贅沢な時間を過ごさせていただいたと思う。そのぶん全力で成果にコミットした。無事納品を終えたのが2018年の冬だった。
やりたいことはなんだっけ?
前述の仕事が一区切りしたのが年の瀬ということもあり、僕は一年の振り返りと今後について頭を巡らせていた。正直いまの環境に不満はない、そして食いっぱぐれることもないだろう、でもこのままで良いのだろうか? これは日常ふと我に返った瞬間にやってくる問いだ。平和な時間を過ごしていたから、この問いから常に逃げ続けていたんだと思う。しかし僕もいよいよ後戻りできない年齢となっていた。「本当にやりたいことはなんだっけ?」年末年始を使ってこの問いに向き合うことにした。
「エンジニアがハッピーになる世界を作りたい」
これが僕の出した答えだった。そのために組織や文化を作りたいと思った。これまでやってきたことも全てが繋がる気がした。
この夢を実現したいとして、いまの会社には僕一人しかいない。ここから作り上げるには時間が足りないと思った。考え方に共感できる組織にお世話になるのも一つの選択肢だな、と真剣に考え始めていた。頭の片隅にはテコテックの名前が浮かんでいた。
人生は分からない
そんなもやもやとした日々を過ごしてた2019年の2月、釣崎から案件の相談がある、と会社に呼ばれた。ちょうどその日、とある案件で不具合が発生してしまい、パソコンをカタカタしながら話を聞いていた。ひとしきり案件の話が終わった(申し訳ないことにあまり聞けていなかった)あと、実はもう一つ相談がある、と言われた。
「簡単に言うと、ウチのCTOをやって欲しい」
そんな重要なことを簡単に言わないでくれ、と突っ込みはさておき、僕は心を見透かされているような感覚を覚えた。このタイミングでこのオファーなんてこれは夢だろうか。ふとパソコンに目を落とすとまだエラーログが吐かれていた。紛れもない現実だった。この時点で心はすでに決まっていたが、変なプライドだろうか、考えたいので1週間時間をください、と僕は答えた。そしてかっちり1週間後、オファーを内諾した。
僕の人生の転機は一瞬で訪れた。人生は分からないものだ。
後日談になるが、なんで僕だったんですかね?と聞いてみたことがある。ご飯を残さず食べるところ、という答えが返ってきた。これまでの人生、ずっと少食でやらせてもらっていたつもりだったが、人生は本当に分からない。
だれもが知るテックカンパニーになる
なぜテコテックにジョインしたのか?僕がどこかの組織にお世話になるとして、明確な基準が2つあった。「エンジニア組織であること」「成長していく組織であること」だった。社長自身エンジニア出身でありメンバーのほとんどがエンジニアの組織だったし、対話を重ねる中で成長への道筋も見えた、というのが決め手だ。入社後、オフィスのいたるところに貼られているビジョンをみて、それは確信に変わった。
「だれもが知るテックカンパニーになる」
これが弊社のビジョンだ。素敵な言葉だと思う。その実現に向けて、僕はテコテックに骨を埋める決意をした。
コミュニケーションは大事
そして2019年6月3日、テコテックへの入社日を迎えた。
簡単な入社挨拶を済ませたあと、さて技術戦略でも考えますか、と意気揚々と机に向かった。が、10分でやめた。危ないところだった。仮に僕が華麗な戦略を立てられたとして、ポッと入ってきた人の言うことを誰が聞くだろうか。逆の立場だったら絶対に嫌だ。
それ以来、僕は席から離れ、コミュニケーションを取る日々を過ごした。可能な限りの打ち合わせに参加させてもらい、色々な人を捕まえては話を聞き、飲み会という飲み会には全て参加した。
当たり前のことだが組織や社会は人と人との繋がりでできている。その橋渡しをするのがコミュニケーションだ。常に接点を持つことが大事だと思う。だからコミュニケーションを取り続けるスタイルは今後もずっと続けていきたい思っている。
テコテックの強み
さて、ここで弊社の事業や体制について簡単に紹介させていただこうと思う。
事業の柱としては大きく、「ブロックチェーン」「投資管理」「決済認証」「コンテンツ」の4つの領域に取り組んでおり、事業部制をとっている。
それぞれ10人から30人程度の規模感で、扱う技術も幅広い。お客様にとって最適な選択をするという大前提のもと、最新技術へのチャレンジも行なっている。
そして、これらの事業や技術のバランスがテコテックの強みだと思っている。たとえばゲームで培ったノウハウを金融領域に適用するなど、他には真似できない価値を提供できるからだ。
CTOとしての役割
その中でCTOとして果たすべき役割は何か? 入社以来ずっと考えていた。しかしこの問いにはまだ明確な答えを出せていない。そして今後も出ることはないだろう。なぜなら事業の状況や組織のフェーズによって求められるものが変わるからだ。ビジョンの実現に向けて、日々進化していく会社の最優先事項を自分の最優先事項として捉え、一歩一歩進んでいこうと思っている。
――「だれもが知るテックカンパニーになる」その物語はまだ始まったばかりだ。
おわりに
本稿は以上となります。長文お読みいただきありがとうございました。
最後になりますが、弊社では「だれもが知るテックカンパニーになる」ビジョンの実現に向けて力を貸していただける仲間を募集しています。 まだまだこれから成長していく組織ですので、ぜひ皆様と一緒に作り上げていきたいと心の底から思っています。
まずはカジュアルに話を聞きたい、というエントリーも大歓迎ですので、少しでもご興味を持っていただいた方は、ご連絡いただけますと幸いです。