被災地で誓った挑戦。大容量ポータブル蓄電池「タメルラボ.」誕生から、電力を分かち合う未来へ。
日々の生活の中で、私たちはどれだけエネルギーの恩恵を感じているでしょうか。蛇口をひねれば水が出るように、スイッチを押せば当たり前に灯りが点く。この豊かさがどれほど人々の安心を支えているか、当たり前の事すぎて考えた事もない人も多いはず。
しかし、日本は世界でも有数の災害大国。激甚化する自然災害において、停電は長期化・広域化の一途を辿っています。
エネルギーが途絶えた時に、初めてその大切さに気づくのでは遅いのです。
事前の備えがどれだけ重要であるかを伝え、これまでの「非常用電源」の常識を覆す新たなパワーソースを届けること。そして、有事の際にも誰もエネルギーに困らない世界を創り出すこと。
株式会社タメルラボ.は、ある「被災地支援」での悔しさと無力感から誕生しました。今回は、私たちの製品開発の裏側にある「原点」と、私たちが描く未来についてお話しします。
1. 暗闇の被災地で知った「電気がない」という本当の恐怖
すべてのはじまりは、東日本大震災でした。
震災後、甚大な被害により
停電が長期化していた被災地。
私たちは
「夜の街を少しでも明るく照らし、人々に安心を届けたい」
という一心から、
LED投光器を持参して
現地に赴くプロジェクトに参加しました。
震災後の被災地では停電が長期化し
灯りのない夜は、暗いという不便さだけでなく、
犯罪の増加や避難されている方々の
深刻な精神疾患を引き起こす要因になっていました。
「灯りという日常を取り戻すだけで、救われる心がある」
その一心で被災地に到着した私たしは
過酷な現実に直面します。
持参したLED投光器を光らせるための「電源」が、
現地にはどこにもなかったのです。
街は完全に停電。
普及していたはずの燃料発電機は、
肝心の燃料が尽きており使用ができませんでした。
私たちが持ち込んだ
A4サイズのソーラーパネルも、
蓄電性能があまりにも弱く、
夜間にわずか2時間ほど灯りをともすのが限界。
さらに、建物の自家発電設備は燃料切れ、
太陽光パネルは津波に飲み込まれてしまっていました。
これまで当たり前に頼りにしていたすべての電源が、
いざという時に何一つ使えない。
この絶望的な光景を目の当たりにしたとき、
ひとつの強い想いが芽生えました。
災害時に持って逃げられる軽さで、
大人数が長時間使える圧倒的な容量。
そして、
持ち運べるソーラーパネルでその場で充電できる
新たなパワーソースが必要だ
キャリーケースのように引いて移動できる形状。
非常時でも直感的に使えるデザイン。
この揺るぎないコンセプトこそが、
大容量ポータブル蓄電池「タメルラボ.」の設計図となった瞬間でした。
2. 構想4年。泥臭く世界を駆け巡った開発の日々
東京に戻った私たちは、
すぐに技術の人間と
製品化に向けた会議を何度も何度も行いました。
しかし、当時はまだ
大容量のポータブル蓄電池という概念自体が
日本に定着していなかった時代。
私たちが求める
スペック(高出力・大容量、軽量)を
実現するのは極めて困難でした。
私たちは
求めるスペックを形にできる
製造パートナーを求めて、
日本国内だけでなく
海外の製造工場まで何度も何度も足を運びました。
現地の製造ラインを直接見て確かめ、
担当者と熱く議論を交わし、
試作を繰り返す日々。
妥協のないものづくりを突き詰め、
構想から4年が経った2016年。
ようやく私たちの想いが詰まった「初号機」が完成しました。
3. 待っていたのは「門前払い」の冷たい現実
「自身は待ってくれない。1秒でも早く、この安心を届けたい」
そんな思いから営業活動をスタート。
太平洋沿いの東京から愛知県に至る数々の自治体へ、
レンタカーに初号機の実機を積んで
飛び込み訪問を開始しました。
しかし、待っていたのは
私たちの期待とは真逆の、
極めて冷ややかな反応でした。
「うちには昔からある燃料発電機があるから十分だよ」
「ポータブル蓄電池?そんな得体の知れないものはよくわからないね」
「事例がないものは導入できない」
どこへ行っても、提案しても、
返ってくるのは同じ言葉ばかり。
当時は燃料発電機が圧倒的な主流であり、
実績のない「新しい技術」に対して、
前例を重んじる自治体が
慎重になるのは当然の反応だったのかもしれません。
しかし、
ほぼ門前払いで商談にすらならない日々は、
心身ともに険しい道のりでした。
4. 浮き彫りになった燃料発電機の限界と、タメルラボ.の躍進
しかし、時代が私たちの製品を求め始めます。
近年、日本各地で激甚化する自然災害と大規模停電。
その中で、少しずつ問い合わせが増えてきたのです。
理由としては2点でした。
1)クリーンエネルギーの採用を検討
2)従来の「燃料発電機」だけでは補えない状況
という事でした。
実は、
自治体の備蓄倉庫にある燃料発電機のうち、
実に約4割が「定期メンテナンス不足」により
発災時に動かないというデータがあります。
さらに、
燃料発電機は一酸化炭素中毒の危険があるため
避難所(体育館など)の室内では使用できず、
夜間に使用すれば騒音で
避難者の睡眠を妨げてしまうという
課題もありました。
これに対し、
室内で安全・無音・無排気で使え、
ボタン一つで誰でも動かせる
「タメルラボ.」は、
避難所の環境を改善する
ソリューションとして注目を集めることになります。
今までは燃料発電機VSポータブル蓄電池
という位置付けになっていましたが
弊社の考えとしては
燃料発電機とポータブル蓄電池が
手を組んで被災地をバックアップする
パートナー関係であると考えております。
日中や屋外は燃料発電機
夜間や室内はポータブル蓄電池
燃料発電機でポータブル蓄電池を充電し
必要な箇所で使用する
のように
お互いの長所と短所を尊重しながら
支え合っている存在です。
発売から10年。
現在、タメルラボ.は
日本全国の避難所800箇所以上への導入を達成。
さらに、医療機関やボランティア団体、
その圧倒的な安全性と強靭性から
自衛隊や建設業界といった
過酷な現場での使用実績も急増しています。
5. 私たちが描く「電力の新しい文化」と、これからの挑戦
私たちは、
単に蓄電池を製造・販売するだけの
メーカーではありません。
私たちがつくっているのは、
製品の先にある「電力の新しい文化」であり、
日本中の人々が“自由にエネルギーを使える社会”そのものです。
日常的に無電力地域での
作業を強いられる現場に電力を届ける。
限られた資源を守り、
環境に相応しいエネルギーの在り方を提案する。
平時の課題にも向き合いながら、
私たちは常に新しい挑戦を続けてきました。
そして今、
私たちが目指しているのは
「エネルギーの相互扶助ネットワーク」の構築です。
各自治体の財政状況を考えると、
単独ですべての避難所に
十分な蓄電池を配備することには限界があります。
そこで活きるのが、
タメルラボ.の強みである「可搬性(キャリー型)」です。
平時から全国の自治体や民間企業に
タメルラボ.を配備しておき、
もしどこかの地域で災害が発生した際には、
周囲の自治体や企業が持っている
タメルラボ.を被災地の避難所に
迅速に集約・融通し合う。
そんな電力を分かち合う仕組みを、
日本の新しい防災インフラとして
定着させたいと考えています。
ただ製品を提案するのではなく、
「日本の新しい防災の在り方」を企画し、
社会に実装していく非常にやりがいの大きい仕事です。
・「社会貢献性の高い仕事を、自らの手で動かしたい」
・「枠にとらわれず、営業もマーケティングも貪欲に挑戦したい」
・「日本のエネルギーの未来を、自分たちの製品で進化させたい」
そんな熱い想いを持った方々と共に仕事ができる日を楽しみにしております。