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エンジニアが製品戦略に関わることの必要性とCTO室の設立について

トークノートでCTOをやっている藤井です。

このたび弊社ではCTO室を設立することになったので、その件について書きます。

どんな企業でも存続し発展するためには以下の3つの概念が欠かせないと考えます。

  1. 理念、その企業が本質的に備えている価値観
  2. ビジョン、その企業が実現したい具体的なゴール
  3. 戦略、ゴールを達成するための仮説としての計画

弊社ではすでに理念とビジョンは昨年度にあらためて明確化し、社内で共有していたので、それに沿う形で業務は回っていたわけですが、現場ではそのビジョンを達成するための道筋が見えない、という声があったり、各タスクの優先順位の判断が適切に行えない、という課題がありました。

つまり、戦略がない、または見えない、という意見ですね。

どんなに経営層やリーダーが大層な戦略を描いたとしても、現場に浸透していない、理解されていない、判断基準や行動基準に使えない、組織として実行されていない、となれば絵に描いたモチ以外の何物でもないわけで、まあ、由々しき事態です。

そこで今年度、私は製品戦略の見直し、というか明確化にかなりの時間を割いてきました。
私が思うに、組織が戦略不在、または不全に陥る理由の大部分は、組織上のコミュニケーション課題に起因しているのではないでしょうか?

ただ戦略を立てるだけなら、じつはそれほど高い論理思考能力は必要はない、というのが私の考えです。
少なくともある程度の規模のシステム設計をこなしてきたエンジニアならば、その設計能力を応用することで戦略を立案することは十分に可能です。
なぜなら、戦略もまた一つのシステムだからです。
(まあ、きっちりと重要課題を特定し、分析することができれば、という前提条件はありますし、大抵はそこが難しい)

組織の戦略がITシステムと違うところは、後者はサーバが動けばその上で具現化されますが、前者はその組織に所属する人たちの行動によってでしか実現しない、という点です。
人はそれぞれ価値観も考え方も違います。また人には必ず認知の歪みがあり、個人ごとに見えている現実も違いますし、同時に自分には見えていない現実がある、ということにすら気がつくことが難しいという生物固有の制約を抱えています。
そういった人々の行動をある目的に沿って調整することが大変なのは言うまでもありません。

そこで重要になってくるのが組織設計です。

当然のことながら、組織の構造は業務やコミュニケーションに大きな影響を与えます。
組織の構造そのものが、そこに所属する人たちの判断基準、行動基準の一部になるからです。

これまで弊社の開発体制は以下のように、機能開発/改善を専門に取り組むユニットと、SRE的な業務に取り組むユニットと、製品企画を専門に行うユニットが並列に分かれていました。

今回CTO室を設立したことで開発部門の組織図は以下のようになりました。

企画のユニットを廃してCTO室に統合し、またCTO室付きのエンジニアも配属しました。
私は開発部門の部門長であると同時に、CTO室の室長を兼任している状態ですね。

組織図の配置からもわかると思いますが、CTO室の担当業務は主に開発部門の上流を取り扱うものです。

これまでは企画のユニットがわりとそれに近いポジションだったのですが、エンジニア経験がない担当者が開発プロセス全体に対してガバナンスを効かせることが難しかったり、そもそも企画の段階でエンジニアを交えた議論が不足していたりと、まさにコミュニケーション上の課題が出ていたので組織構造を見直した、という側面もあります。

また、今後はプロトタイプ開発や技術検証により力を入れていくため、その責任部署を明確にしたという背景もあります。
いずれは様々な研究開発を行うため専門部署を立ち上げたいところですが、今はまだCTO室という組織としては未分化な状態でよいと判断しました。

CTOに期待される役割は企業によって異なるでしょうが、私がCTOの責務として捉えていることの一つに「技術領域で事業や企業にとって最悪な判断をしない/させないこと」というのがあります。

昨今の技術の進化速度は目を瞠るばかりですし、また様々な分野に及びます。我々のようなSasS企業にとって技術は重要な一要素ですが、アンテナを貼っておかないと、あっという間に取り残されて、知らぬ間に事業面で大きなリスクになっているということが実際に起こります。

とはいえCTO一人でそれらにつねに気を配っている、というのは現実的ではないので、組織構造として機能を社内にインストールしておくことにしたのです。

CTO室は現在私以下3名とまだまだ小さな組織ですが、今後はさながら高見櫓のように、社外にあっては技術の動向について、社内にあっては製品開発のプロセスについて、今まで以上に我々に高い視座を与えてくれるはずです。

なお、まだまだ増員する予定なので、製品戦略に関わりたい方、新しい技術が大好きな方は絶賛募集中なので奮ってご応募ください。

Enjoy!

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