あたらしいCIの発表とともに、婚礼業界を中心とした「祝祭市場」創出に挑むTAIAN。どのような事業でそれを実現し、どんな変化を巻き起こすのでしょうか。TAIAN代表の村田磨理子さんと、COOの米倉元気さんに、今の思いと具体的な事業の構想などについて聞きました。
PROFILE
村田 磨理子 代表取締役 CEO
株式会社リクルートスタッフィングへ新卒入社後、株式会社ギブリーに転職。両社にて関わったITエンジニアへのHR支援をきっかけに、日本企業の成長とエンジニアリングの融合に関心を持つ。COVID-19感染拡大直前に実施した自身の結婚式でWeb招待状を開発し、時流に後押しされ事業化。2020年6月にTAIANを創業。
米倉元気(よねくら・げんき)取締役 COO
筑波大学人間学群心理学類卒業。新卒で株式会社リクルートスタッフィングに入社。人材派遣事業で8年間で大手アカウント営業、マネジメント、新規事業開発の経験を経て、TAIANにジョイン。セールス、マーケティング、組織マネジメントを担う。
CI刷新を経て、「祝祭市場」の創出と牽引の決意をあらたに
──ついに新しいCIが発表されましたね!今回のCI刷新を振り返っていかがでしたか。
米倉:新しいワードやビジュアルができたことで、TAIANという社名が、六曜の「大安」という意味を超え、ポジティブな概念として解釈され直していることに感動しました。
村田:社外にリリースされる3日前に、取引先の会社の方々への感謝を示すために開いているイベントで新しいCIのお披露目をしました。その意図を説明したところ、たくさんの方に共感をいただき、中には涙してくださる方も。あらためて、ブライダル業界を含めた「祝祭市場」を牽引していかなければならないと気持ちが引き締まりました。私たちの存在そのものが頼もしいと言ってくださる方もいてとても嬉しかったです。
「祝祭市場」を支える、ふたつのプラットフォーム構想
──このインタビューでは、TAIANがCI刷新と同時にあらためて定義した「祝祭市場」についてお話を聞きます。ウェブサイトでは、このような図で表れていますね。
米倉:この図が表すように、「祝祭市場」は、1.8兆円の婚礼市場と隣接するおもてなし産業の市場を合わせたもので、20兆円という大きなインパクトを持っています。また、それらを単純に足し合わせるのではなく、それらを掛け算することで、人と人が祝い合う時のポジティブなエネルギーが増幅していく、可能性のある市場であることが特徴です。
──TAIANは、この「祝祭市場」そのものを作り出し、牽引していく存在になることをこのCI刷新で決意表明しました。具体的には、どのような構想があるのでしょうか。
村田:人と人が祝い合う時のポジティブなエネルギーや感動体験は、データに落とし込み、科学することができます。つまり、データを活用することで作り出したり、さらに底上げすることができるのです。TAIANはそれを叶えるプラットフォームやプロダクトを提供することで、この「祝祭市場」をつくっていくつもりです。
米倉:現在提供しているプロダクトの強化に加えて、ふたつのプラットフォームを構想しています。ひとつは、ホテルなどの、複数業態をまたぐ事業者様向けのプラットフォームです。ホテルなどの、婚礼、レストラン、宿泊などの部門をまたぐ複合施設などは、それを横断したデータを活用したサービスができていないことが多いんですよ。TAIANが個社ごとにプラットフォームを提供し、データを連携して、より良いおもてなしを可能にしたいと考えています。これにより、質の高いサービスの提供とLTVの向上が期待できます。
この部門を横断したおもてなしの考えはすでにホテルなどにあり、結婚式でホテルを利用する顧客に「ずっと帰ってこれますよ」とその良さを伝えてきました。しかし、実際には手動で顧客情報を突き合わせていたり、データの連携はできていなかった。それを可能にするイメージです。
村田:このデータの中には、利用履歴だけでなく、食べ物のアレルギーやお花の好み、来店サイクルや記念日といったさまざまな情報が含まれます。例えば私にとって向日葵はとても大切な意味を持つ花なのですが、お祝いの日にそのブーケを用意されていたらとても嬉しいですよね。このプラットフォームがあれば、記念日の食事にパートナーが食事を予約してくれた時、それをサジェストしたり、店側がサプライズで用意したりすることができます。そのような体験をすれば、私はきっとまたそのお店を使うでしょうし、人に勧めるかもしれません。このように、データを活用したサービスの向上が、事業者様には売上の向上を、エンドユーザーにはより良い体験を提供できるのです。
米倉:もうひとつは、エンドユーザー向けのプラットフォームです。お祝いをする時、すでにそのプランや手段が思い浮かぶ人もいれば、そうではない人もいますよね。しかし、「誰か/何かを祝いたい」という気持ちは誰もが持っているものです。そこで、ひとつのプラットフォームにアクセスすれば、レストラン、会場、移動手段などを横断してさまざまな「祝祭」を誰もがつくることができるものを構想しています。お誕生日会、納会、結婚式、金婚式、家族の大切な記念日など、さまざまなタイミングで、負荷のないオペレーションを提供できれば、それまで諦めていたお祝いができるようになります。
村田:このように「祝祭市場」を作るために、おもてなし業界だけでなく、「祝祭」を楽しむエンドユーザーも巻き込んでいくところが重要なポイントです。結婚式で誰かの幸せな人生に思いを馳せたり、会社の納会で力が湧き上がってくるような瞬間を共有したりと、ポジティブに心が動く瞬間を、事業者様とエンドユーザーと一緒につくっていきたいのです。
TAIANが巻き起こす変化で、顧客の数も、LTVも、やりがいも増やす
──「祝祭市場」の具体的な姿が見えてきました。この創出により、エンドユーザーにはどのような変化があるのでしょうか?
米倉:レストラン、旅行、ギフト、ホテル、宴会、会議のそれぞれの市場が顧客の入口であり、受け皿になっていくことで市場全体を大きくしたいと考えています。どれかの業界から一方的に送客するのではなく、データとAIを活用して適切なレコメンドを行うことで相互にエンドユーザーが行き交う状態をつくりたいと思います。
村田:企業のオフサイトや合宿を企画するとしたら、会場や食事だけでなく、バスを手配したり、贈り物を考えたりとさまざまなロジスティックが必要ですよね。これまでは分断されていたそれぞれの体験を、ひとつの「祝祭」としてTAIANが伴走したいと考えています。
米倉:TAIANが「祝祭」にまるっと伴走することで、エンドユーザーのオペレーションを簡略化し、そのハードルを下げることも可能になります。例えば結婚式を挙げない理由のひとつに、オペレーションの煩雑さがあります。ある程度共通のオペレーションや、データによるサジェストを用意することで結婚式準備が簡略になれば、結婚式を挙げる人を増やせるはずです。
村田:結婚情報誌を手に取る前にTAIANを思い浮かべてもらえるような「祝祭」の第一人者になっていくつもりです。
──事業者様の変化についてはいかがですか?
米倉:先程お話したLTVや付加価値の創出による売上アップだけでなく、あらたなやりがいを提供できると思います。例えば、式場プランナーの方にとって、結婚式はカップルとのお付き合いの最後の日でした。しかし、結婚式を起点にその後のお二人の全ての「祝祭」に伴走すると考えれば、結婚式を始まりの日にすることができます。実際に、結婚式を終えたカップルがレストランに再び訪れるイベントの設計をしてみると、実際にカップルが帰ってきてくださったことがわかりました。その後のインタビューで、「仕事によるつながりを感じられて、プランナーという仕事に誇りを持つことができた」とお話してくれました。
村田:「祝祭市場」のさまざまな業界のおもてなしを見ていると、その素晴らしさに心が震えます。そのやりがいを増やし、売上を増やして給与に還元する世界を作れたらいいなと思います。
成功の鍵はチームワークとテクノロジー×独自データ
──「祝祭市場」を、なぜTAIANが牽引していけると考えていますか?
村田:まず、チームワークです。TAIANは、働く人全てにビジョンと自分のやりたいことを紐づけた「WHY TAIAN(なぜ、TAIANで働くのか)」を語れる状態になってから入社していただいています。そのため、ひとつのビジョンに向かう仲間同士の強い結束で新しい市場の創出を進めていきます。
さらに、そのビジョンを語れるのはビジネスサイドだけでなく、プロダクトチームもで、この存在自体が肝だとも思っています。接客力に代表されるビジネスサイドの強さが我々の領域の中心でしたが、TAIANはこの領域にAIをかけ合わせ新しいイノベーションを起こしていきます。これらにより、私たちが「祝祭市場」を創出することができると考えています。
米倉:また、プランナーさんがカップルから引き出した、細かいインサイトデータやブライダルならではの人間関係のデータを持っていることも優位です。これらのデータは紙でやりとりされていることがほとんどで、それをデータとして保持しているTAIANはとても稀有な存在です。エンドユーザー自身も自覚していないような細かい情報から家族、勤め先の関係までを包含したデータは「祝祭市場」をつくるのに大きく寄与するはずです。
社会からの期待を背負い、市場を創出する覚悟を決めた
──「祝祭市場」の創出による、これからの展望を教えてください。
米倉:これまでTAIANがより良くしようとしていたのはブライダル業界単体でした。それを「祝祭市場」全体に広げ、さらにその市場そのものを創出しようとするのは大きな覚悟が必要でした。それをしたからには、全力でこの市場を完成させたいなと思います。
僕は、「祝祭市場」の創出により日本の高いレベルのおもてなしを世界に発信し、そのプレゼンスを上げたいと考えています。海外から日本に「祝祭」のために訪れる人を増やすなど、この市場創出を通じて日本そのものを底上げしていくつもりです。
村田:私や米倉が働いていたリクルートは、”女子会”という言葉を作って女性の居酒屋利用率を上げたと言われています。私たちは「祝祭」という言葉によってあらたな市場を作っていきたいと思います。これからのTAIANと「祝祭市場」に期待してください。
(写真・文:出川 光)