株式会社水星のプロデュース事業部には、多様な専門性を持つプロフェッショナルが集い、日々新たな価値創造に挑んでいます。今回は、2025年3月に入社した、プロデュース事業部の寺内さんにインタビュー。大学・大学院で建築を学び、大手ハウスメーカーでの設計、そして急成長を遂げるホテルデベロッパーでの新規開業担当という、専門領域でのキャリアを歩んできた寺内さん。同業の最前線で経験を積んで来た彼が、次なる挑戦の場として水星を選んだ理由とは?これまでの経歴、入社して感じた水星の組織文化や事業の特徴、これからの展望について話を聞きました。
寺内 稜 | PEOPLE
1995年生まれ、兵庫県出身。京都府立大学大学院修了後、旭化成ホームズ株式会社に新卒入社。設計士として3年間経験を積み、ホテル運営会社の企画開発部署にキャリアチェンジ。スモールラグジュアリーホテルをはじめとした開業準備業務を6件担当。 2025年から株式会社水星に参画し、プロデュース事業部にてプロジェクト進行業務を担当。
大手ハウスメーカーからホテルデベロッパーへの転身
―異業種出身の社員が多い水星で、寺内さんは同業のホテル業界からの転職と聞きき、今日は楽しみにしていました。まずは、キャリアの原点である建築の道に進まれた経緯から教えてください。
寺内:本格的に建築家を志し始めたのは、高校生の頃です。映画、特にSF作品が好きで、『スター・ウォーズ』に登場する独創的な建築群をスクリーンで見て衝撃を受けました。「こうした空想上の建築を、現実世界で構築するとどうなるのだろうか」という知的探究心が芽生え、自然と建築の道を志しました。幼少期からレゴブロックで何かを作ることが好きだったこともあり、建築や設計という行為に対して、他の子より心理的なハードルが低かったのかもしれません。学部時代は比較的大きなスケールの建築を扱っていましたが、大学院に進むにつれて、より人間の生活に密着した住宅の意匠設計へと興味の対象が移っていきました。
―映画が創作の世界の入り口だったのですね。大学院で、「住宅」という領域に興味を持ったのは、どのような心境の変化があったのでしょうか。
寺内:大規模な商業施設や美術館といった、いわゆるハレの建築も非常に魅力的です。ただ、多くの人にとって最も滞在時間が長いのは、やはり住宅ですよね。その空間の質を高め魅力あるものにすることができれば、そこに住まう人の人生そのものもより魅力的になるのではないか…という考えが芽生え、「住宅設計」という分野に強く惹かれていきました。
―なるほど、大学院修了後にハウスメーカーに入社されたのも納得です。就職活動は、やはりハウスメーカーを主軸に検討されていたのでしょうか。
寺内:はい。実際に選考を受けたのは5社程度で、そのほとんどがハウスメーカーでした。数ある企業の中から最終的にA社を選んだ理由は、設計における自由度が最も高いと感じたからです。一般的に大手ハウスメーカーの設計は、決められたグリッド(設計単位)に基づいて部材をパズルのように組み合わせていく手法が主流です。A社は、そうした制約が比較的少なく、アトリエ系の設計事務所に近い自由度の高い設計思想が許容されていたため、自身のクリエイティビティをより発揮できる環境だと考え、入社を決意しました。
―ご自身の設計思想を追求できる環境を選ばれたのですね。そういった強い意志や背景があって新卒で入られた住宅業界から、前職であるホテル業界へのキャリアチェンジは、非常に大きな挑戦だったのでははないかと思うのですが、どのようなきっかけがあったのでしょうか。
寺内:まず、住宅業界からの転職を考えるようになったのは、A社で設計士として一定の経験を積む中で「自分が培ってきた建築の専門スキルを、何か別の業界で活かすことはできないだろうか」と模索し始めたのが、きっかけです。ただ、当初は特にホテル業界を目指していたわけではありませんでした。
僕が転職活動を始めた頃は、コロナ禍が収束に向かい、インバウンド需要の回復が見込まれ始めたタイミング。ホテル業界では、単に宿泊機能を提供するビジネスホテルや、画一的なラグジュアリーホテルといった、既存のテンプレートから脱却し、宿ごとに独自の個性を打ち出す動きが加速していました。ホテルの多様化が進む一方で、表面的なデザインだけで差別化を図った施設は淘汰され、本質的な価値を持つ、本当に質の高いものでなければ生き残れない、という厳しい競争環境が生まれつつあることも感じていました。いわば、業界全体が大きな変革期にあったと思います。その緊張感の中、クリエイティビティが試される環境であるホテル業界に非常に大きな面白みと可能性を感じ、ホテル業界を明確に意識し始めました。
前職である株式会社温故知新の「明確なコンセプトを持つスモールラグジュアリーホテルを主に地方に展開する」という強い信念と姿勢に強く共感し、応募しました。
―時代の大きな変化を背景に、ご自身のキャリアを活かせる次のステージとして、ホテル業界に新たな可能性を見出されたということですね。
寺内:結果的にはそうなりましたね。というのも、ここでまた意図せぬキャリアチェンジがあって。温故知新では、僕の3DCADスキルを活かせる、設計会社と社内をつなぐパース制作兼OSE検討担当として採用されました。ところが、入社直後、「新規開業の現場で人手が全く足りていないからお願いできないか」という話を持ちかけられ、そのまま岡山に3ヶ月間赴任することになり、全く予期せぬ形で新規ホテル開業担当としてのキャリアがスタートしたんです。
長期間現地入りすることも多かった温故知新時代
(写真は、長野県の白馬村・北海道の礼文島・長崎県の五島列島)
―大胆なキャリアチェンジの後、前職で活躍される中で、水星とはどのようにして出会ったのでしょうか?
寺内:Wantedly経由でのスカウトが直接のきっかけですが、正直、温故知新での仕事は非常に面白くやりがいも感じており、元々転職は全く考えていなかったんです。ただ、競合他社の動向をリサーチする中で、もちろん水星の存在は以前から認識していました。特に強い関心を抱いていたのは、事業領域をホテルだけに限定せず、ホテルをプラットフォームとして、そこから派生する多様なカルチャーを創造している点。前職の立場から見ていても、「このホテルという枠組みを超えた事業展開は、一体どういう仕組みで実現しているのだろう」と、その手法にずっと興味があったんです。
転職には消極的ではありながら、純粋に「水星はどのような考えで事業に取り組んでいるのだろう」という知的好奇心から、最初は情報交換をさせていただくくらいの気持ちでカジュアル面談に臨みました。 実際に面談でお話を聞くと、アパレル業界や地方自治体まで極めて多様なステークホルダーと連携しながら、一つひとつのプロジェクトを組成していることが分かりました。また、例えばホテルという空間を使って演劇を上演する「泊まれる演劇」など、業界の常識では考えられないようなユニークで挑戦的な取り組みを数多く手がけている、その事業創造の在り方に、これは非常に面白そうだと直感的に感じました。
―選考の過程で面談を重ねる中、印象的だったことはありますか。
寺内:担当の方々と何度かお話しした後、当時僕が前職で担当していた大阪某所での開業案件の出張時に、プロデュース事業部の方が個別で連絡くださり、京都からわざわざ会いに来てくださったんです。そのフットワークの軽さと、個人に対する真摯な姿勢に、驚きと感銘を受けました。そうやって、皆さんとの対話を通じて、水星が目指すビジョンや事業に対する情熱を肌で感じることができ、「ここで働きたい」という気持ちが確固たるものになり、水星への入社を決意しました。
ロジカルな仕組みと個へのリスペクトがつくる水星の組織カルチャー
―実際に入社されて、外から見ていたイメージとギャップを感じたことはありましたか。
寺内:良い意味で、非常に大きなギャップがありました。若いメンバーが多くて勢いのある会社なので、入社前は「熱量!気合!」といった、いわゆるベンチャー的なカルチャーが強いのではないかと想像していたんです。しかし、入社してみると、驚くほど組織がロジカルに構築されていることに気づきました。
例えば、入社初月のホテル研修に参加した際、オペレーションに関するマニュアルや自社予約システムが非常に緻密に整備されていたこと。また、プロデュース事業部では、ステークホルダーが極めて多いプロジェクトにおいても業務内容が極めて効率化されていること。情熱や勢いだけに頼るのではなく、事業を継続的に成長させるための仕組みや基盤がしっかりとデザインされているという事実に、良い意味で裏切られましたね。一般的にイメージされるスタートアップの雰囲気とは違った、落ち着いたプロフェッショナルな空気感が、水星の大きな魅力の1つだと感じています。
―寺内さんの考える、水星、特にプロデュース事業部ならではの組織的な強みは何ですか。
寺内:複雑なプロジェクトをまとめ上げていく「編集力」、そしてそれを力強く推進していく「推進力」、この2つは水星が持つ際立った強みだと思います。デザイナー、建築家、地域の職人の方々など、強いこだわりとプライドを持つプロフェッショナルたちを、1つのコンセプトのもとに束ね、プロジェクトを前進させていく、この高いディレクション能力は、プロデュース事業部のメンバー全員が共通しているスキルだと感じます。このスキルがどのようにして生まれているのか。そこには大きく2つの要素が源泉となっていると僕は考えています。
1つは、水星の社内コミュニケーションの量と質が、非常に高いレベルにあることです。僕自身、前職と比較して、同僚と対話する時間が圧倒的に増えました。もう1つは、メンバー全員が、共通の価値観、つまり組織としての軸を共有していること。プロデュース事業部でいうと、全く異なるバックグラウンドを持つメンバーは、それぞれ専門性や視点が異なるため、1つの課題に対して、多様な提案や考察が出ますが、不思議と議論が発散することなく、最終的には1つの目的地に向かって収束していくんです。尖った専門性を許容しつつ、組織としての一体感が保たれているこのバランス感覚が、水星の組織としての面白さであり強さの源だと感じています。
―先日、プロデュース事業部のロングミーティングに初めて参加されたそうですが、そこでもそうした組織文化を感じる場面はありましたか。
寺内:まさにそれを実感する場でしたね。僕を含め、初参加のメンバーが何人かいたのですが、非常に意見を出しやすい雰囲気が作られていたことに、まず驚きました。年次や経験で判断するのではなく、新人の発言も一人のプロフェッショナルの意見として真摯に受け止め、議論を深めていく。実際に、僕と別の社員が出したアイデアに対して、その場で「じゃあ、二人でそのプロジェクトを進めてみてください」と、すぐに意思決定がなされる場面もありました。
良いと判断したものは、即座に採用して実行に移す。この寛容性とスピード感は、水星の素晴らしいカルチャーだと思います。これは、会社が一人ひとりのメンバーに対して、また、メンバー同士が互いに、役職や年齢、社歴以前にまずは対等なビジネスパートナーとして、リスペクトし合っているからこそだと思います。僕自身、日々の業務の中で、メンバーへのリスペクトを常に心に置いています。例えば、共にプロジェクトを進めているチームリーダーの荒木さんからは、クリエイティブの0→1を生み出す力、クライアントとの関係構築、プロジェクトの意図を的確に伝えるプレゼンテーション能力…など学ぶべき点が非常に多い、心から尊敬できる方です。
はたまた、インターンの萩原さんからは、卓越したリサーチ能力や、常に先を読んで行動する姿勢に、いつも刺激を受けています。このように、社内の至るところに年次を問わない尊敬できるプロフェッショナルが存在し、互いに学び合える環境がある。これは、何物にも代えがたい財産だと感じています。
―どのような人が水星という組織にフィットすると思われますか。
寺内:突出した「個」の力で突き進むタイプよりも、自身の強固な軸は持ちつつも常にチーム全体の勝利のために行動できるタイプの方が、水星にはマッチすると思います。水星には、組織としての明確なミッションと、守るべき価値観が存在するからです。その大きな方向性の中で、自分自身の専門性をどのように組織にフィットさせて貢献できるかを主体的に考えられる方。そして、短期的な成果に一喜一憂するのではなく、複雑で時間のかかるプロジェクトを、最後まで粘り強くやり遂げる「持久走」のできる方。水星では、そうした資質が求められると思います。「チームで走れるマラソンランナー」といったイメージでしょうか。
ホテル業界全体の未来を見据えた、新たな価値創造への挑戦
―寺内さんが水星というフィールドで、これから挑戦していきたいことについてお聞かせください。
寺内:短期的かつ最重要の目標としては、関わる全てのステークホルダーの方々から、「寺内さんと一緒に仕事ができて良かった」と、心から信頼していただけるようなプロジェクトマネージャーになることです。
長期的な視点での目標は、前職のホテル開発に携わっていた頃から、ずっと構想していたことなのですが、「ホテルという空間を構成するプロダクトやインテリアを自分たちの手で開発したい」という強い思いがあります。これまでの人生でのホテル体験を振り返っても、例えばホテルのアメニティ1つをとっても、「もっとこういうものがあれば、ゲストの体験はより豊かになるのにな」と感じる瞬間が数多くありました。ホテル開発の現場を知る我々がプロダクトを開発すれば、デザイン性だけでなく、オペレーションの効率性や耐久性といった実用的な側面からも、新しい価値を持ったものを生み出せるはずです。
香林居のPB「Petrichor」
HOTEL SHE, のPB「BOY MEETS SHE,」
そのようにして生み出したものが、水星が運営するホテルだけでなく、日本中のホテルでも広く取り入れていただけるようになれば、ホテル業界全体の質の向上に少なからず貢献できるのではないかと考えています。これを、僕自身のキャリアにおける大きな目標・ビジョンと位置づけ、現在も日々企画を練っているところです。
―ホテルを「作る側」の視点からプロダクトを開発する、非常に意義深い挑戦ですね。ぜひ実現していただきたいです。では最後に、未来の仲間となる可能性のある方々へ向けてメッセージをお願いいたします。
寺内:水星には、あなたの専門性を心からリスペクトし、共に成長できる多様な仲間がいます。自分ひとりでは解決できないような困難な課題に対しても、チーム全体の知恵を結集して乗り越えていく環境で、ご自身の可能性を試し、キャリアを次のステージへと進めたいと願う方にとって、水星は最高の場所であると確信しています。チームとして共に走りながら新たな価値を創造できるあなたとの出会いをお待ちしています!
プロデュース事業部のメンバーたち
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