良い校区に住む。評判の良い私立に通わせる。レベルの高い予備校を選ぶ。親であれば、子どもにできるだけ良い教育を受けさせてあげたいと思うことは、当たり前のこと。
しかし、地域によっては、そうした切実な願いが叶わないこともあります。自分の住んでいる地区の学校が荒れていたり、私立に通わせるには遠い距離だったり、近くに予備校がなかったり。日本教育の現状では、まだまだ物理的な距離や場所に縛られることも多いのが実情です。
こうした問題解決の一助になっているのが、小学生から高校生、社会人までを対象とした学習動画配信サービス「スタディサプリ」です。
国際結婚をし、子供の教育を考えていたエンジニア・富士大輔にとって、Quipperとの出会いが、自分の子どもの教育における可能性を広げるブレークスルーになりました。
教育に興味を持ったのは国際結婚がきっかけだった
富士のファーストキャリアは、携帯電話やスマホのソフトウェアエンジニアから始まります。
富士大輔(ふじ・だいすけ)
Quipper Ltd. Engineering Manager, Mobileエンジニア
富士:大学を卒業してからは、ガラケーのソフトウェアをつくる会社でエンジニアをしていました。当時は日本企業にも勢いがあり、ガラケーのOSを統一しようとする動きがあったんです。僕はそこでOSの高速化を中心にやっていました。ところがご存知の通り、スマホが開発されてガラケーは勢いが弱くなり…(笑)。そこでアンドロイド開発にシフトし、あるアプリを開発するためアメリカに出向しました。
しかし、会社の予算は徐々に削減され、出国組も帰国を促されます。様々な選択肢がある中、最終的に、富士は日本に戻ることを決意しました。
富士:アメリカ滞在中に、今の妻と結婚したことで、自分が生活する場所にとらわれなくなっていました。帰国するか、アメリカ国内で転職するかはもちろんのこと、メキシコ人である妻の母国であるメキシコや、EUで働くことも話し合いました。日本に行ったことがないから一度住んでみたい、と妻に言われたことが決め手となり、2020年のオリンピックまでは東京に住もうかと、軽い気持ちで帰ってきました。
帰国後は転職することなく、そのまま前職で仕事を続けていた富士。たまたまSNSでQuipperの求人広告を見かけたことをきっかけに、転職を決めます。
富士:アメリカ出向の前任者であり、上司でもあった人がQuipperのアンドロイドエンジニアを募集していて。ちょうど、教育に関心が向いていた時期で、興味が湧いたんです。というのも、国際結婚をした僕たちに子供が生まれたらどこの国で、何語でコミュニケーションをとるべきかを考えていた頃で。普段、自分と妻のコミュニケーションは英語ですが、そもそも妻はスペイン語ネイティブで、僕は日本語話者。それに、Quipperのグローバル拠点はフィリピン、インドネシア、メキシコにあり、妻の出身国が含まれていたことも、興味を持った理由ですね。そんなわけで、いろいろと縁を感じ、転職を決めました。
教育サービスだからこその責任感とやりがい
現在、富士はスタディサプリの動画配信を支える仕組みづくりやメンテナンスに携わっています。
富士:動画ならではの難しさややりがいは、いかにさまざまな環境で安定して配信できるか。スタディサプリを使うユーザーは、MacやWindows、iPhoneにアンドロイドと、さまざまなデバイスやOS、ブラウザで動画を見ています。通学時間の隙間時間に利用する人も多く、オフラインの動画再生が重要になったりします。多くのユーザーが使うアプリですので、新しい機能のリリースはまず一部ユーザーのみに向けて行うなど、慎重に行なっています。何か問題が起きたときは、実際に動画が再生できなかった学校に直接確認しに行くこともあります。例えば、エンタメの動画サービスであれば、障害が起きて、再生できなかったとしても『まあいいか』と諦めがつきますが、スタディサプリはそうはいきません。ユーザーの中には、大学入試を数日後に控えている受験生も含まれますので、『今このとき』に動画が見られないことは、深刻な問題に繋がります。そういった意味で、ユーザーの人生に影響を与えるサービスに携わることは、やりがいでもありプレッシャーでもありますね。
富士:スタディサプリのミッションは『世界の果てまで最高の学びを届けよう』。テクノロジーの力で、あらゆる人々へ最高の学習環境を届けられるよう、学びの新常識として定着することを目標にしています。首都圏に住んでいる人は良い予備校が周りにあることも多いですが、地方や離島だと、そもそも通う予備校すらないこともあります。こうした地域ごとの教育格差を、いつでもどこでも見られる学習動画を介して変えていきたいですね。
人の人生に大きく影響を与えるサービスに関わっている。その自負があるからこそ、より良いサービスに成長させようと、ユーザーとの接点を多く持つようにしています。
富士:前職と大きく違うのは、ユーザーの顔が直接見られることですね。以前はメーカーや携帯キャリアを通じてサービスを提供していたので、直接的なクレームがない代わりに、褒め言葉もありませんでした。今はユーザーとの距離が近いので、『ユーザーが(勉強を)頑張っているんだから、僕も頑張ろう』と気が引き締まります。Quipperでは、年度末に大学受験の合格祝賀会を開いているのですが、僕たちもそこに参加しています。喜んでいるユーザーさんや、ずっと動画で見ていた先生と楽しそうに話す生徒さんを見て、頑張ってよかったなと感じますね。
Quipperで仕事をすることで人生の選択肢も増えた
Quipperでは、社内におけるエンジニア以外ともフラットな関係性を築くことができるのだと、富士は嬉しそうに話します。
富士:Quipperでは、トップダウン的に何をつくるかがあらかじめ決まった状態でタスクを割り振られるのではなく、問題が起きた時にどうすればいいか、まず、現場にいる自分たちで解決方法から考えます。入社したときに驚いたのが、ビジネスサイドの人たちが問題となる前段階の話から共有してくれること。大元のところから話に参加できるので、議論の争点もずれません。かつて、ユーザーの学習モチベーションを上げるための施策会議が行われた際には、いかにユーザーの達成感を引き出すか、根本から徹底的に話し合いました。最終的には、ユーザーがどこまで動画を見たか、どれだけ問題を解いたかと、その正答率がパッと見てわかるような表示形式にすることになりましたが、上流から課題解決できる状況があったからこそ、より納得感のある開発に繋がったと思います。
Quipperは、自分で考えて動ける、主体性のあるエンジニアに向いていると言えます。根本から課題と向き合って開発を行なうため、どんな経験でも入社後、生かされうるでしょう。
富士:会社のファイブバリューのひとつでもありますが、僕たちはダイバーシティーを重視しています。というのも、教育サービスを開発しているにも関わらず、極論ですが、特別教育に興味がない人も社内にいるわけです。ただ、重要なのは、メンバーの全員が、ちゃんと社会的に意義があるから必要だと意識を持っていること。メンバー全員の目線はちゃんと同じ方向を向いているんです。だからこそ、大筋がブレなければ、今までのバックグラウンドで得た知識を生かし、ゴールに向けて貢献できることがしやすい環境なんです。
富士にとって、Quipperでの仕事は、自分自身の人生の可能性を広げることにもつながったと言います。
富士:オンラインの教育サービスがこれだけ考えてつくられていることにびっくりしたんです。同時に、こうした良いサービスがあるなら、どこでだって子どもを育てられると思って、安心しました。たとえ、妻の母国に移住して、子供がいわゆる日本語教育を受けられなかったとしても、国を超えて、オンライン上で高いレベルの教育を受けさせてあげられることができます。自分や家族の未来の姿も、より一層自由に、可能性に満ちたものとして考えられるようになりました。
地域や、国を超えて、一定以上の教育を届けることができる。
デジタルで整備された教育インフラは、次代の子供の可能性を広げる大きなサポートツールになりつつあります。生まれや育ちに縛られない、自由な教育を全ての人に。Quipperは、そんな未来を現実にするべく、今日も、業界へ風穴を開け続けます。