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ストアカ史上、最大の挑戦!「月額サービス機能」リリースから2ヵ月、今だから語れる“開発秘話”そして“狙い”とは?CEO・CTOを直撃してみました!

―代表取締役 CEO 藤本 崇/CTO 森田秀幸

2020年2月。コロナ禍をきっかけに、対面のみならずオンラインでも学べるまなびのマーケットへと進化を遂げた『ストアカ』。時流に合わせたサービスの拡大は多くの先生・生徒から支持され、その4ヶ月後にはオンライン講座の受講数が44,000件を突破。その後も伸長を続けています。

そして、2021年1月。新たに提供を開始したのが「月額サービス機能」です。従来の単発・コース形式に加え、月額課金による講座展開を可能にし、“継続性のある学びの場”を創出しました。

今回は、代表取締役 CEO藤本 崇とCTO森田 秀幸に、新サービスの開発の経緯や秘話、リリースの狙いなどを直撃しました。

コロナ禍に急増した“リピート受講”が「月額サービス機能」開発のきっかけに

―まず、改めて今回の新機能開発に至った経緯から聞かせてもらえますか。

藤本:オンライン講座を開放してから、同じ先生の講座を何度もリピート受講する生徒ユーザーが急増したんです。対面講座に比べ、自宅から手軽に受講できるようになったことがその大きな要因だったと思いますが、その他の仮説として「人となかなか会えない状況下において、誰かとのつながりを切望しているのではないか」とも考えられて。

このようなニーズに応える形で“継続性のある学びの場”をつくるべく「月額サービス機能」の開発に乗り出しました。

―創業以来、単発講座をベースにサービスを展開してきた『ストアカ』にとっては、かなり革新的な取り組みですよね。

藤本:そうですね。これまで単発講座をメインにしてきたことで「気軽にいろんな学びを得られる」「講座での出会いが刺激になる」といった好意的な声が、特に生徒さんたちから寄せられていたことは確かです。しかしその一方で、以前から社内で議題に挙がっていたのが、この単発講座によって生じる「制約」でした。

例えば、生徒側の視点でいうと「講座内容が初心者向けに偏っている」「一度受けた内容をさらに深く学びたいと思っても、次のステップが用意されていない」など。先生側の視点だと「新規の生徒を単発講座で集客し続けるのが難しく、収入の安定性に欠ける」など。『ストアカ』の収入で生計を立てられている先生も少なくないので、マネタイズの仕組みについては常に社内でも議題に挙がっていました。

もともとこうした経緯があった上に、コロナ禍によって生徒からの強い要望が寄せられたので「サブスクリプションサービスに向けて動きだすタイミングが、いよいよ来たな」と腹を決めたんです。

『ストアカ』はあくまでも“まなびのマーケット”。その世界観を守ることが大切

―開発をスタートするにあたって、最も大切にしたことは何でしたか。

藤本:『ストアカ』はあくまでも「まなびのマーケット」。どこまでいってもライブで提供されるまなびの場が前提にあります。そこから逸脱しないように仕様を決めることは強く意識しましたね。

そのため、2021年3月現在「月額サービス機能」は、講座開催数や受講数、生徒からの評価が一定数ある「シルバーバッジ以上」の先生が利用できる規定にしています。

というのも、一度も「おしえる」プロセスを踏まずに「継続課金の手段が欲しい」という目的のみで、不特定多数の人が利用してしまうと、どうしても学びのプラットフォームとの齟齬が生じてしまう。そうすると利用者全員からの学びへのこだわりも薄れてしまうのではと考えました。

参考:バッジ獲得の条件

先生に対しても「シルバー以上のバッジを維持する」を条件とすることで、質の高い単発講座を開催し続けることにもつながりますので、生徒側は以前と変わらず「気軽なまなび」を得ることができる。これまで築いてきた『ストアカ』の世界観をどう守っていくかが、今回注力したことの1つでした。


先生へのヒアリングで発覚した“潜在ニーズ”と“新サービスの可能性”

―開発に際し、先生への事前調査を定量・定性の両面から入念に行なっていましたよね。具体的にはどのような内容だったのでしょうか。

藤本:Webアンケート調査を数百名単位で2回、個別のユーザーヒアリングを10名×各6~7回ほど行いました。特に個別ヒアリングに関しては、得られるものがものすごく大きかったですね。

1名の先生に対し、開発チーム全員がインタビュアーとなって、現状のビジネスプロセスや「月額サービス機能」で想定する活用法など幅広い内容をヒアリング。最終的にはアイデア出しのようなセッションになる事が多かったのですが、想像以上にユースケースが多岐にわたる上、思ったよりも多くの先生にニーズがありそうだという手応えが感じられたんです。

例えば、ビジネス系の講座は、ワンタイム性が高いので、、回数を重ねて学んで行く趣味系の講座に比べて、サブスクリプションとの親和性は薄いと思い込んでいました。

でも実際に先生方と話をしてみて「コーチングやメンターをする」「技術を向上させるためにフォローアップする」など月額の関係で提供できるユースケースが意外にも多数挙がってきて。「月額サービス機能」が秘めるポテンシャルを実感できました。

月額サービス機能で実現できるサービス事例

PM不在のチームだからこそ育まれた、1人ひとりのオーナーシップ

―「月額サービス機能」は要件や仕様の決定までに2カ月、実装に3カ月の計5カ月が費やされました。チーム作りにおいて、どんなポイントを意識しましたか。

藤本:そもそも今回のプロジェクトは、プロダクトマネージャー不在のまま私たち2人とエンジニア4名、デザイナー1名が全員「プロダクトマネージャーの帽子をかぶらなければならない」という使命感でスタートしました。かなり厳しい船出だったからこそ、より意識を高く持って取り組めたように思います。

一方で、私自身は代表としての他の業務も並行して行なっており、プロジェクトが前に進むにつれてだんだん細かいところにまで目を凝すことが難しい状況に陥ってしまって。

しかし中盤から、元マーケティング担当の城本さんが、ディレクターとしてジョインしてきてくれて、私の仕事をどんどん巻き取って前へと進めてくれたんです。

森田:確かにこの異動はタイミング的にも渡りに船という感じでしたね。城本さんには仕様がある程度決まった時点で入ってもらったので、プロダクトの細かな決め事や開発状況のキャッチアップやフォローを、他部署とうまく連携しながら進行してくれて非常に助かりました。

新しいメンバーがジョインしたことで、エンジニアやデザイナーなど他のチームメンバーそれぞれが“オーナーシップを持ちつつも、力を発揮できる環境”となり、実装に向け加速できたと感じています。

「CtoCサービスとしてどうあるべきか」が、常に議論の中心

―城本さんが入る以前の、要件や仕様を決めるフェーズがなかなか大変だったとも聞いていますが、最も議論を重ねたポイントは何でしたか。

藤本:まず、「いつでも誰でも利用できるサービス」であることが『ストアカ』の大前提としてあり、加えて、このサービスを9年間継続してきた歴史もあります。そこに“今までなかった概念”を載せること自体が、非常に難しいんです。プロダクトとしても、運用システムにおいても。

森田:そうですね。プロダクトやシステムのつくり以前に「サービスとしてどうあるべきか」という社内のすり合わせには、かなり時間をかけたように思います。

その中でも私が特に印象に残っているのが、

  • 月額サービスページの公開ステータスは公開・非公開の2通りで良いのか
  • 新規加入者の受け入れを先生に制御させる設定を設けるか

について、意見が分かれたことですね。決定までに2カ月ほどかかったと記憶しています。

一見「どちらでもいいのでは」と思える内容かもしれませんが、例えば、ある先生の「月額サービス機能」に加入したユーザーが、しばらく経ってまたそのページを見に行った時に非表示になっていたら「自分が加入しているはずのサービスが存在しない?」と混乱してしまいますよね。ユーザー間の信頼を形成するためには機能としてどうあるべきかについては、多面的な議論を交わして納得感を形成していきました。

こうした1つひとつの小さな機能が、ユーザーに与える影響って意外と大きいんです。結果として、上記の機能はすべて設けることになりましたが、ここにこぎ着けるまでの道のりは非常に長かったですね。

リーンスタートアップ手法で臨んだゼロイチ開発 フォーカスしたのは「決済機能」

―今回の開発は、ユーザーの反応を見ながらニーズに合った機能に近づけていく「リーンスタートアップ」の手法で進めているとも聞いていますが。

藤本:そうですね。ユースケースが想定以上の数に及ぶ可能性があったので、まずは汎用性ある形でリリースし、実際にユーザーに利用してもらいながら、機能拡充をしたほうがベターだという結論になったんです。例えば、リリース後2ヶ月の2021年3月現在では、導線や検索、レビュー投稿機能などは設けていません。いずれ必要だとは思っていますが、ユーザーの利用頻度や機能のフェーズに応じて検討していきたいと考えています。

―森田さんにお聞きしたいんですが、今回0→1の機能開発をするにあたって、特にエンジニアチームのマネジメントにおいて心がけたことはありますか。

森田:「システムの土台をスムーズに築く」ことに最も注力しました。ここ数年は既存機能の拡大や改修が多く、1人ひとりがゼロベースのものづくりに慣れていなかったため、場面場面で不安の声が出てきてしまって。

マネージャーとしてみんなの不安を払拭するためには、システムにとって一番大切な土台をしっかりと固め、スムーズな構築を目指すことが不可欠であると考えたんです。これまでのやり方と違う部分は多かったですが、結果的に、土台を先に作ったのは短期開発をスムーズに進める上で良かったと思っています。

さらに技術面において力を入れたのが決済機能です。先ほど先生のマネタイズの話をしましたが、毎月定額を課金できることが「月額サービス機能」の最大のポイントだと捉えていて。

カード決済代行会社でもサブスクリプションビジネスを想定した、いわゆる便利機能がオプションで設けられていたのですが、今回はあえて自前で決済の仕組みを作りました。

最初はオプションサービスを利用した方が素早く作れそうだったのですが、意外と連携で注意しないといけないポイントが多いこと、そこまでオプションサービスから得られるメリットが大きくないと言う判断をして、最終的に自前で実装する方が迅速かつコストの削減を見込めたからです。すでにシステムが動いている今の状況を鑑みても、この選択で間違っていなかったと感じています。

継続的な学びを通じて「人と人のつながり」「先生の収益性」をより強固なものに

―「月額サービス機能」がリリースされて早2カ月が過ぎようとしていますが、すでに手応えは感じられましたか。

藤本:生徒ユーザーへの認知導線は最小限に抑えていたにも関わらず、リリース初日から数多くの取引が発生していたので「ああ、やっぱりニーズがあったんだ」と嬉しく思いました。その後も順調に推移しているので、先生や加入者の声を聞きながら、少しずつサービスを育てていければと。具体的には、先生が加入者に対してもっと丁寧にサービスを提供できるために、運営のアシスト機能を拡充したいですね。

森田:そうですね。単発講座向けの生徒管理ツールはすでにあるので、そこに月額サービスの加入者を統合して、トータルで管理ができるような仕組みづくりを実現させたいと考えています。

―最後に、このサービスにおいて期待していることを教えてください。

藤本:人と人とのつながりをより強固なものにできたらいいな、と。

これまでの『ストアカ』は一過性の出会いを生み出していましたが、これからは継続性のある学びを通じて、先生と生徒、もしくは生徒同士の関係性を発展性のあるものにしていきたいです。

森田:「月額サービス機能」によって先生の収益を確保できる仕組みを生み出せたことが『ストアカ』におけるレベルアップ。今後はさらに「先生が価値を提供しやすい環境」を整えるべく、今回の開発で培った課金の技術も積極的に応用しながら、先生にとって収益アップにつながるシステムづくりを加速させたいですね。

―藤本さん、森田さん、ありがとうございました!

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