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【BCエンジニアインタビュー】「エンジニア」という枠にとらわれずに働く、生きる。

こんにちは!スタートバーンの水野です!

さて、前回の投稿ではCTOを紹介させていただきましたが、引き続きスタートバーンの個性豊かなメンバーをどんどん紹介していきたいと思います!


スタートバーンでは、ブロックチェーンを用いて、アートのためのインフラやサービスを開発しています。アート業界のための事業を推進している会社なので、日々の何気ない会話に、美術展示やアートイベントなどの話題が度々持ち上がります。ビジネスや営業のチームだけでなく、普段はコードを書いてプログラミングをしているエンジニアチームにも、アートや芸術に関心を持つメンバーが揃っているんです!

なかでも今回は、スタートバーンでブロックチェーンエンジニアを務めながら、週末は日本舞踊の稽古に励む、松本年矢(愛称:トシさん)にインタビューしてみました!



***

—— トシさん!よろしくお願いします!今日は、お着物で来ていただいてありがとうございます!めちゃくちゃお似合いですね!!全部ご自身で着付けされたんですか?

そうです!このくらいだったら全然自分で着られますね。笑

—— いや〜素敵です! 後ほど、トシさんのご趣味についても教えてください!


目次

  1. スタートバーンに決めた5つの理由
  2. 人生を豊かにしてくれる「芸術」
  3. 芸術は、ブロックチェーンによって進化する
  4. ブロックチェーン学習に必要なのは、柔軟性と適応力の高さ
  5. エンジニアの枠を超えて働く
  6. 【 新しいメンバー募集中! 】


スタートバーンに決めた5つの理由


—— 最初にスタートバーンとの関わりについて教えていただきたいのですが、トシさんがスタートバーンに入社されたのはいつ頃ですか?

2018年の4月からスタートバーンに入社しました。なので、今のところ2年と3ヶ月くらいここで働いていますね。

—— トシさんは、社内でも特に古株のメンバーですよね!今はどういった内容のお仕事を担当されているんですか?

Startrail APIの開発を行っています。その中でも特にここ最近は「SDK」という部分ですね。

—— SDK...?

例えば、水野さんが自分のサービスを運営していたとして、そこにブロックチェーンを接続したいと思ったとき、事前知識がないので何をどのようにすればいいか分からないですよね?それは一般のエンジニアも同じなんですよ。ブロックチェーンは新しいので、扱い方を知っているエンジニアはまだまだ少ない。それを外部の一般的なエンジニアでも簡単に接続できるようにする、というのがSDKの役目で、僕はそこの開発をメインで担当しています。

—— なるほど!より多くのサービスに、スタートバーンの構築しているブロックチェーン「Startrail」へ繋がって欲しい。だから、ブロックチェーンのことを知らなくても簡単に接続できるようなツールを作っているんですね。

—— スタートバーンに入社しようと思われたきっかけや決め手はなんでしたか?

大きく5点ありますね。

前職では、4年くらい自社アプリの開発に携わっていて、そこでウェブに関する知識を得てきました。ただその会社は、「新しいことにチャレンジしよう!」という気風が少なかった —— 。もっと新しい知識や経験が得られる機会が欲しいと思っていたのが、1点目です。

2点目は、ブロックチェーンです。技術系の記事を読んで、ビットコインやブロックチェーンのことを知りました。世界をまた一つ前進させる一役になれるのでは?という使命感に惹かれたんです。

3点目は、英語ですね。僕は留学経験があるので、そこで得た英語能力を仕事に活かしたかったし、もっと伸ばしたかった。あと、英語を使いながら働けるような国際性のある会社であれば、社内の多様性やカルチャーが充実していると思って —— 。面白い発想や柔軟な議論が生まれやすい環境なんじゃないかなと思いました。

あと、オフィスが東大にあるという点ですね。優秀な人が集まっていそうだし、アカデミックに新しい価値観が受け入れられやすい環境なのかなと —— 。それまでいた、赤坂のコンクリートジャングルとは全然違いますね。笑

最後にすごく重要なのは、僕自身すごく芸術が好きという点です。だから、芸術に携われる仕事がしたかった。

人生を豊かにしてくれる「芸術」


—— 芸術というと、具体的にどのようなジャンルのものに関心があるんですか?

特に音楽が好きだったので、バンドサークルに入っていたし、映画もめっちゃ好きだったので、レンタルビデオ屋さんでバイトしてました。映画は本当にめちゃくちゃ観ていて、一時期は映画の批評家を志していた時もありました。笑

—— えー!そうだったんですか!

マニアックな映画が好きで、60年代の大映の映画とか、小津安二郎とか、フランス映画とか —— 。自分で映画を作ったりもしていました。

でも、この分野でどうやって手に職を付けたらいいか分からなかったし、これで生きていける気がしなくて —— 。将来に対する不安がずっとありました。現代はレールが無いじゃないですか?だからこそ自分が将来何をしたいのか、ずっと見つけられずにいました。最終的にITという分野に出会ったんですが、それでもやっぱり芸術活動は本当に好きで —— 。芸術は、仕事と別の人生として、ずっと持っています

—— 芸術は、どうして好きなんですか?

良いものに出会うと、そのルーツを辿りたくなるんです。背景や根本にある「意味」を探りたくなる。真面目に芸術を考えたがるタイプなんですよね。単なる娯楽としてだけじゃなくて、その歴史や背景を知りたくなります。

例えばロックは、60年代にビートルズやローリング・ストーンズのような白人が始めた音楽として捉えられがちですが、実はアフリカ系アメリカンの音楽にルーツがあるんですよね。さらに、なぜアフリカ系アメリカンたちがそういう音楽を作っていたのかを調べてみると、当時の奴隷制による植民地での生活があって —— 。その曲ひとつひとつが、彼らの生活に根ざしていたことが分かるんです。

音楽自体の意味はもちろんですが、その背景にある歴史や文化のようなものを知るのも面白いです。それらを知ることで、作品そのものの意味にも深みが増してくるというか —— 。

—— なるほど!単純に格好良いというよりも、その背景や歴史を調べたり思考したいという気持ちの方が強いんですね!

そうですね。でも、純粋に素晴らしくて格好良いものに出会った時の心が動かされる瞬間は、何ものにも代え難いです!

芸術を鑑賞することは、仕事に必要な技術や知識への直接的なプラスにならないかもしれない。ただ、確実に感性は磨かれていく。それによって周りの人の気持ちを分かってあげたり、苦しみに寄り添ったり、共感する心が成長していくと思います。

芸術に触れていると、人生が豊かになりますよね。嫌なことがあっても、芸術に触れることで心が洗われるとか。そういう心を持つことは大事だと思います。仕事だけが人生ではないし。



—— 見ての通り、トシさんは歌舞伎や日本舞踊が特にお好きなんですよね!

色々なジャンルの芸術に触れているなかで、特に日本のものに惹かれるようになりました。古典とか落語とか—— 。なかでも江戸文化には、今の日本のルーツがあるという点が面白くて。

—— どうして日本のものに惹かれるようになったんですか?

大学時代、外国人の留学生と仲良くしていたんです。当時、海外の友人と接していたことで、自分のアイデンティティを改めて考えることができました。自分が生まれた国の文化を見つめ直したくなったし、昔の日本人が作ったものや、そのノスタルジックな雰囲気に惹かれて—— 。そんななか、歌舞伎に出会いました。

仕事においては効率性や生産性が重要ですけど、それとは全く異質な雰囲気がある。日本の伝統芸能の世界には、先人達から受け継いだ型や礼儀を大事にするような、ある種神聖な空気が流れていると思うんですよね。

—— 週末は、日本舞踊のお稽古をされているんですよね?

歌舞伎を初めて観たとき、衝撃を受けたんですよね。すごく格好良くて!「この格好良い踊りを自分もやってみたい!」と思ったんです。もうそこに飛び込んで実際にやってみたくなって—— 。

毎週土曜日に日本舞踊の稽古をやってます。週末は伝統芸能にどっぷり使って、平日はウェブの開発に専念する。頭をスイッチしながらやってます。

芸術は、ブロックチェーンによって進化する


—— そんな芸術とは、まさに対極にありそうなブロックチェーン。スタートバーンを選んだのも、ブロックチェーンに携われるという点が理由とのことでした。そもそもブロックチェーンに惹かれたのはなぜですか?

まず、人間は社会で生きる上で可能な限り自分らしくあるべきだと思っています。みんなが自由に表現できて、個性が尊重される、すると面白い社会ができる。

これまで、絶対王政によって権力が一人に集中していたような時代から、だんだんと国民一人一人にも権利が与えられるようになってきました。そして今は、新しいブロックチェーンの技術によって、その流れが最大化されようとしている。

—— インターネットの時代では、大きなプラットフォームや個々のサービスが、ユーザー個人の情報を管理していますよね。

そうですね。一方、ブロックチェーンの時代では、複数のプラットフォームの間で情報を共有し合っているので、個人が権利を証明・執行することが可能になる。それは、自分がこの世界で生きているということの証明でもあるし、存在の確認みたいなものでもある。

これまでの長い歴史のなかで権利が個々人に分散されてきた。その次のステップとして、さらに世界を一つ押し進めるのがブロックチェーンなんです。ブロックチェーンに携わることで、自分がその流れの一役になれるという使命感に、面白さを感じています。

—— 特にとしさんの好きな「芸術」は、「個人が自由に表現して生きる」ということの象徴のように思えます。ブロックチェーンを通して、そういった芸術活動が広く活発になって欲しいという思いがあるのでしょうか?

そもそもウェブ業界に入ったのは、「自分が今まで見聞きしてきたことを表現したい」という気持ちがあったからでした。特にウェブ制作は初期費用がかからないし、それでいて全世界に発信ができる。

スタートバーンは、アートとブロックチェーンという全く異質であるように見える2つを扱っています。この2つを掛け合わせることで、面白いものが生まれると思っているんです。これまでアートは、新しい技術によって、新しい表現が生まれてきていたし、これからもどんどん進化していくと思います。そういったアートの広がりを手助けしているという点も、面白いと思っています。




ブロックチェーン学習に必要なのは、
柔軟性と適応力の高さ


—— ブロックチェーンには携わるのは、スタートバーンに参画されてからですよね?ブロックチェーンならではの知識や技術は、スタートバーンで働きながら習得されたんですか?

最初は文献をあさり、自分でDappsを作ってみたりして必死でしたよ。情報も目まぐるしく変化するので、毎日Twitterを追ってます。

加えて、実際に社内で議論することで得られることも多いですね。ブロックチェーンに詳しいエンジニアも増えてきたので、「これを使えばこういうことが出来るらしい」みたいな情報をチームの誰かが持ってきて、みんなで調べながら議論していきます。ブロックチェーンの技術は新しいので、メンバーの誰かが既に知っている情報を共有するというよりは、みんなで一緒に調べて知っていくという感じです。

—— スタートバーンは、開発チームが使っている開発環境も、かなり最先端ですごい!という話を耳にしたのですが —— ?

そうですね!従来のウェブ開発環境は、基本的に1つの場所に集約されているものなんですが、僕たちは複数の環境を組み合わせて開発をしています。「マイクロアーキテクチャ」というスタイルで、時代の潮流に乗っていると思います。具体的には、Nuxt.js、Firebase、Contentfulなどを組み合わせ、インフラ面ではKubernetesを使っています。

その他、イーサリアムのウォレットやトランザクションの管理など、分散化を推し進めている世界各国の企業とも積極的に連携して、一緒にサービスを育てています。

—— 大企業だと、デザイン環境や開発環境は保守的なものを使う傾向にあるのかなと思いますが、スタートアップだからこそ色々積極的に取り入れやすいんですかね?

そうですね。さらに、先述した「マイクロアーキテクチャ」だと、各環境ごとに代替ができるので、新しいものを取り入れたりや入れ替えたりが容易です。こういった柔軟性や適応力の高さは、スタートバーンの特徴でもあります。すごく良い環境だと思っています。

—— 開発そのものや環境について、チームみんなで議論しながら進めているんですね!としさんはスタートバーンのなかでも古株のメンバーだと思うのですが、参画された時からこんなスタイルだったんですか?

昨年、PM(プロジェクトマネージャー)などの主要なメンバーが、育児休暇などで複数名いなくなってしまったタイミングがあって —— 。今考えれば、あのときが転機でした。僕とハスナイーン(同じくスタートバーンのブロックチェーンエンジニア)だけで積極的に動かなくちゃいけなくなったので、率先してタスクをまとめたりMTGをセットしたりしていました。そこから、一人一人に責任や自主性が生まれたような気がします。

事業開発部やPMに求められたものをエンジニアがつくるというウォーターフォール方式ではなく、エンジニアからも意見を出したり、問題を見つけたら自ら変えていくというような方法にシフトしました。いわゆる「アジャイル」と呼ばれる開発方式ですね。

エンジニアも率先して論点を持ち寄って、全員でプロダクトを作っていくというスタイルが良いと思っています。スタートバーンの特性は、色々な判断や決定が社員それぞれの裁量に任されているというところです。全員が責任感を持って働いているなと思います。

エンジニアの枠を超えて働く


—— 確かにエンジニアってひたすらコードを書いているというイメージでしたが、スタートバーンのエンジニアは議論も活発にされている印象です。

そうですね。なかでも、Startrailの仕様や設計を一からみんなで考えたのが、特に有意義でした。Startrailは、パブリックチェーンっていう、誰でもアクセスできるブロックチェーンを使っています。だから、今後はたくさんのウェブサービスとかアプリとかが接続してくるし、最終的には、アーティストとかコレクター含め、本当に様々なステークホルダーが関わってくる。

パブリックチェーンは、誰でも情報にアクセスできるというところが売りなのに、プライバシーの観点から、特定の情報については開示するべきでないという意見も出てきたりする。「Aさんの要望を達成できたら、Bさんの要望を果たせなくなる」という状況でした。多様なユースケースを洗い出して、技術的な制約と照らし合わせたりして —— 。考えることが無限にあって、ものすごく大変でした。昨年の夏はミーティング三昧で、一日5、6時間くらい議論することもありましたね。笑

—— もはやエンジニアとしての枠を超えてお仕事されているんですね!

議論するということ以外にも、Startrailの思想や設計に関するホワイトペーパーの執筆もしましたし、今は採用にも関わらせてもらっています。エンジニアという枠にとらわれず、自分がやろうと思えばなんでもできるチャンスがありますね。

—— 枠組みにとらわれずにお仕事することで、新しい発見や成長はありましたか?

スタートバーンに入る前は、実はコミュニケーションへの自信がなくて、あまり関わりたくないと思っていました。でも、実際に議論に参加していくうちに、今まで見えなかった自分の一面が見えてきた。英語と日本語が話せるということもあってか、人と人の架け橋になるようなコミュニケーションも、意外と上手くできることに気付けました。

—— これまで気づかなかった自分の能力に気付けるのは素敵なことですね!トシさんとして、あるいはスタートバーンとして、今後の目標や展望はありますか?

僕個人としては、技術者としてプログミングをやるというだけではなくて、アート業界や社会全体において「何が喜ばれるのか」「何が必要とされているのか」「何が課題なのか」をより広い視点で俯瞰できるようになりたいと思っています。

チーム全体としても、物事を的確に分かりやすく伝えられるようになりたいです。以前よりは確実に改善されているとは思いますが、今後も認識の齟齬が生まれないような工夫を続けていく必要があるなと思っています。複雑な事象をモデル化して分かりやすく伝えることは、まだまだ課題ですよね。



—— 最後に、トシさんがスタートバーンで働く上でのモチベーションを教えてください。

アーティストとかコレクターの視点に立ちながら開発を進めたり、何十年先のアート業界のことも考えながら議論していると、やっぱり自分の好きな芸術の世界に思いを馳せている感じがしますね

ウェブやIT技術に触れていること自体もとても楽しいですが、それは手段でしかないと思っています。それを使うことで、世の中が便利になったり人が自由になったり、新しい価値観が生まれていくことが真のゴールです。

次の新しい世界「Web 3.0」への進歩を加速させているし、その扉を開けているような実感があります。それは毎日のモチベーションとして、めちゃくちゃ持っています。

—— トシさん!今日はお忙しいところお時間いただいて、本当にありがとうございました!

こちらこそありがとうございました!


松本 年矢
開発部 ブロックチェーンエンジニア

慶応大学経済学部卒業。Leeds大学DiversityManagement過程修了。WEBエンジニアとしてキャリアをスタート、以後ベンチャー系企業で社内基幹システム(Webアプリ)を再構築するプロジェクトに参加し技術を磨く。芸術とブロックチェーン技術をつなげたいという思いから入社。週末は専ら歌舞伎鑑賞と日本舞踊の稽古に励む。
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