コロナウィルスが猛威を振るう中、今後、木材業界にどのような影響を与えるのか、収束後はどうなるかを探っていきたいと思います。
この記事を書くにあたり、複数の林業家、製材業、流通業の方にお話を聞きしました。まず、実務的にどれぐらい影響を及ぼしているかで言うと、現状ではまだ影響が少ない企業が多かったです。サプライチェーンが複雑で長くなっているのが、ある意味プラスに影響したとも言えます。建設業の影響が製材業や林業等の川上に与えるのは、一定の時間がかかるものと思われます。
しかし、見積りの件数が減っている。GW後の案件が止まってしまったなどのも見られており、今後2〜3カ月後に影響が出てくるのは間違いないと思われます。このような状況から、今後木材業界がどうなっていくのかを予測します。
木材事業者の廃業が加速
林野庁統計によると、小規模製材工場は年率6%のペースで減少しております。
引用元:農林水産省「木材統計調査(1990年8,613社から、2016年3,030社まで減少)
このままのペースでも2030年には1,200社まで減少しますが、この流れが一気に加速すると考えております。小規模製材所や材木店は、跡取りがいないケースが多く、今回のコロナウィルスをきっかけに廃業の決断をする会社も多いのではないでしょうか。
下げ止まりの会社数が2,000社なのか1,000社なのかわかりませんが、短期間で一気にその数字まで下がる可能性はあると思っています。
中小木材事業者の廃業による影響
一見、統廃合が進み、よりサービスレベルの高い企業のみが生き残るので、良いのではないか?と思うかも知れません。しかし、一般的に大規模工場は、効率化を重視する為、一点物や小ロットの材料は扱わない傾向にあります。
つまり、インテリアデザイナーや設計者が個性のある木材を求めたとしても、画一的な木材しか手に入らなくなる時がくるかも知れません。この流れは既に現実になりつつあります。この数週間で、弊社にも木材事業者から何か仕事はないか?という問い合わせが増えました。この2~3ヵ月で多くの材木屋が倒れていく。と言っている方もおります。
弊社としては、従来の木材流通に縛られない新しい販路を提供することで、何とかこのコロナ危機を乗り越えるお力になれればと考えております。
また、木材業界が混乱したとしても、設計者には、これまで以上のサービスを提供できるように、しっかりと準備をしていきたいと思っています。この危機の中、林業・木材業界発展のため、微力ながら力を尽くして参りたいと思います。