自分が住んでいる街でも、病気にかからなければ行く必要がない医療機関。
病院や診療所、クリニックのイメージは「お医者さん」。
仕事内容は病気を治す為に、診察から診断・処方まで色々してくれる。
一方、薬局のイメージは「薬屋さん」。
仕事内容は・・・薬を出す。だけ。
世間一般ではこのようなイメージだと思います。
普段、処方せんを提出した後の薬局の中での動きや流れというのは、あまり知られていないと思いますし、外側からだと見えない部分だと思います。
そのようなこともあり、薬剤師は「処方せんに書いてある薬を収集して出す」だけの業務と思われている方も少なくないかもしれません。
そこであまり一般的に知られていない、調剤薬局の裏側~薬剤師の仕事~について少しご紹介します。
【調剤薬局の裏側~薬剤師の仕事~】
実は薬剤師というのは「処方せん通りに薬を集めて出す」という業務のみではなく、その他の様々な業務を順次行っています。
◆処方せん鑑査◆
処方せんには氏名、生年月日、保険者番号などの個人情報を始め、受診した医療機関、医師、処方内容などが記載されており、処方せんの有効期限の確認や医薬品、ジェネリックの可否と有無、用法、用量などが正確であるか全てを確認します。
◆調剤業務◆
処方内容にある医薬品を取りそろえたり、粉末や液体の薬品などを調合したりします。
また場合によっては、一包化といって、多種類の医薬品を一回で投薬できるように一つの包みにまとめたりする作業を行うこともあります。
それらが完了後、調剤鑑査を行います。
◆薬歴との照合◆
薬歴といういわゆる個々人の薬のカルテが薬局にも存在し、過去の処方薬や併用薬、アレルギー・副作用歴などと照らし合わせて、今回処方された薬との安全性を確認します。
◆お薬手帳との照合◆
お薬手帳は煩わしいと思う方も少なくないかもしれませんが、実はこれによって同じ種類の薬・多量の薬の受領、他の薬品との飲み合わせの危険性の有無などの確認をしています。
◆疑義照会◆
「ギギショウカイ」と言って、処方せん内容の記載漏れや、他から同じ薬が出ていた場合、飲み合わせが悪い場合、以前と異なる処方内容で処方内容と患者さんの状況から見て不都合の可能性がある場合などには、処方せん発行元の医療機関・医師に確認をします。
◆服薬指導◆
医薬品名、服用/使用方法・用量についての指導、服用上の注意、保管上の注意などを説明します。
◆投薬(医薬品の受け渡し)・会計◆
医薬品を渡す際にご本人もしくは家族等代理人を確認し、薬袋などと一緒に医薬品の説明や服用上の注意などを伝えます。
◆薬歴の記載◆
個々人の薬のカルテに毎回処方された薬と投薬時の状況など、次回来局時のために記録として残しておきます。
以上、ざっと簡単に説明をしましたが、薬剤師は患者さんお一人お一人に対して、これらを毎回行っています。
医療機関が発行する処方せんは、言わばオーダーメイドになっています。
オーダーメイドの服を作るように、その時の症状や状態、身長、体重、生活習慣、アレルギーに至るまで、それらを包括的に把握して、その方にピッタリのものを処方しています。
そういったこと全てを確認し、安心・安全にお薬を使用して頂けるように努めるのが薬剤師の業務でもあります。
特に小さいお子さんがいらっしゃって、薬の味によって飲む・飲まないがあったりする方は、飲ませ方の工夫(バニラアイスなどに混ぜたりできるものもあります。)について質問してもらえればと思います。
何かお薬などの疑問や不安があれば、お気軽にご利用されている薬局の薬剤師までご相談下さい。