デザインコンサルティングファーム・SEESAWのプロデュース部で部長を務める白尾さん。制作の現場にも立ちながら、チームマネジメントやアサイン、工数管理や見積もりの作成まで幅広く担う、まさに「クライアントと社内のハブ」として活躍する存在です。
入社から8年。アート活動や海外経験といった異色のバックグラウンドを持ちつつも、未経験からディレクションの世界へ飛び込み、今ではプロデューサーとして組織全体を見渡す視点を持ちながら日々の業務に向き合っています。
今回は、そんな白尾さんに、これまでのキャリアやSEESAWでの仕事、プロデューサーとしての面白さ、そしてこれから挑戦したいことについて伺いました。
現代アーティストからの転身。ディレクターを経てプロデューサーに
── 白尾さんはSEESAWでどんなお仕事をされていますか?
SEESAWではプロデューサーとして、そしてプロデュース部の部長として働いています。今の仕事は、現場で直接プロジェクトに関わるのがだいたい4割、残りの6割はマネジメント業務が占めています。
現場では、制作のディレクションや進行管理を担当することもあれば、UI/UXデザインまで手を動かすこともあります。いわゆる「プロデューサーだからこれだけやる」という枠はあまりなくて、プロジェクトに必要なことがあれば柔軟に動くようにしています。クライアントと直接やり取りする機会も多く、課題の整理から提案、実行まで、一連の流れに深く関わっています。
マネジメント業務では、プロデュース部全体の稼働状況を把握したり、誰をどの案件にアサインするかの調整、見積もりの確認などを日常的に行っています。また、部内メンバーの勤怠管理や工数の把握も担当していて、現場と経営のちょうど中間に立つような役割ですね。チームが気持ちよく、健やかに働ける状態を保つことも、大切な仕事のひとつだと考えています。
── SEESAWに入るまではどんな経歴ですか?
新卒で入ったのは、映像制作会社でした。ただ、そのときは自分の中でどう働くかのイメージがまだ固まっていなくて、1年も経たずに退職しました。その後はドイツの大学院に進学し、現代芸術を専攻。芸術活動を通して、人との関わり方や表現の多様性について深く考えさせられる時間でした。
SEESAWに入社したのは、31歳でした。今では在籍8年目になります。
── 入社した当初はどのような仕事をしていましたか?
SEESAWに入った当初は、正直Web制作のことはほとんど知らない状態でした。入社してからWebディレクションや制作進行のスキルを身に着けました。
とはいえ、Web以外の制作に関しては全くの未経験というわけではなかったです。大学時代は音楽制作やコンサート企画や制作進行、印刷物のデザイン制作などを行っており、大学院時代には現代美術作家としての活動もしていたので、“何かをつくる”ことに関しては自らの経験から理解していました。また、父がグラフィックデザイナーだったので、感覚的にわかる部分も多かったです。
そもそも「制作会社に入りたい」と思ってSEESAWを選んだわけではなく、当時はとにかく仕事をしないといけないという状況で、「自分のスキルで入れる会社はどこか」と考えたときに、制作会社がいちばん身近で現実的に感じた、というのが正直なところです。
最初は初めてのことばかりで大変なことも多く、慣れるまでに時間を要しましたがそれでも仕事を積み重ねていく中で、徐々に自分なりの手応えが持てるようになっていきました。
── 作家時代から活かせていることはありますか?
すごくあると思います。作家活動をしていた頃は、展示の企画から予算の見積もり、技術面の調整、実際の設営や広報まで、ほぼすべてを自分ひとりでやっていました。いわば、ディレクションからプロデュース、実制作までを丸ごと担っていたような感覚です。だからこそ、段取りを組んだり、予算を管理したりといったスキルは、今の仕事にもそのまま活かされています。
実際に手を動かしていた経験から、デザイナーの気持ちもなんとなく想像できます。どうして今その作業が難しいのか、どこに時間がかかるのかといった肌感覚は、やはり実体験があるからこそ共有できる部分かなと思っています。
SEESAWに入って間もない頃、「過去の制作経験が活きてるね」と言われたことがあり、それがすごく励みになりましたし、経験がちゃんと評価される場所に来られたんだなと実感できた瞬間でもありました。
── SEESAWは入社時から比べると変化していますか?
入社してから今に至るまで、会社は本当に大きく変わったと思います。メンバーも入れ替わりがありますし、関わる案件の内容や働き方も年々変化しています。特にここ数年で、現場に浸透している価値観がかなり変わってきたなと実感しています。
昔は、もっと感情的なつながりで物事が動いていた印象があります。「この人と一緒にやりたい」「この案件は誰々の思いが強いから」といった”情熱ベース”の判断が多かった。しかし最近は、もっと“組織としての視点”を持って動ける人が増えてきました。もちろん冷たくなったというわけではなく、自分の立場や価値を認識した上で、ロジカルに行動できる人が増えて「大人な組織」になってきた気がします。
扱う案件にも変化があります。当初はいちデザイン制作会社として、クライアントから依頼された制作物を制作する仕事が中心でした。しかし今ではより上流の設計やブランドコミュニケーションに関わる仕事が増えていて、「制作会社」という枠にとらわれない動きをしています。チラシも「作れるけど、それだけじゃない」という、守備範囲の広さがSEESAWらしいところだと思います。
── 特に面白かった、印象的な仕事はありますか?
もともと「モノ」が好きなんです。何かをつくっている時間が楽しいし、特に情報設計やUI設計のような“組み立てる”作業には、すごくやりがいを感じます。UIはまだSEESAW全体の中でも案件としては多くないのですが、私自身はその部分に関わることが好きで、比率としては今も2割くらいはUI設計の仕事に関わっています。
印象に残っているのは、入社して1〜2年目くらいに担当した、大手メーカーの案件です。クライアントがAIを使った新しいサービスを構想していて、「その画面、どう設計すればいいんだろう?」という課題に向き合うことになりました。当時の自分にとっては初めてのチャレンジでしたが、その分スキルも大きく伸びた感覚があります。こういう戦略的な要素が含まれる仕事は、自分の中で特に楽しいと感じる領域ですね。
自分の個性を活かしたマネージャーになる
── 白尾さんは数年前にプロデューサー部の部長になりましたが、ご自身はどのようなマネージャーですか?
私の前にプロデュース部の部長を務めていた取締役の成田さんがビジネスや広告の視点に強いのに対して、私はどちらかというと「つくる側の目線」が強いタイプです。父がグラフィックデザイナーだったり、大学時代にはアート活動にも関わったりしていたので、審美眼や感覚的な判断を自然にしてきた背景があります。その違いが組織の中でそれぞれの視点を持ったマネージャーがいるからこそのいいバランスになっていると思います。
最近では、プロデュース部の研修も行っていて、「良い制作とはなにか」という話をメンバーに伝えています。単に納期を守って納品するだけではなくて、時間・お金・クオリティのバランスが取れたうえで、クライアントが満足できるアウトプットになっていることが大切だと考えています。
プロデューサーは、時間とお金の交渉をしっかりして、デザイナーがベストな状態で作業に集中できるように支えることが重要なんです。制作のクオリティは、現場を整えることで最大化される。そう信じて、日々のマネジメントや判断に取り組んでいます。
── SEESAWのメンバーはどんな人たちですか?
SEESAWのメンバーは、落ち着いていて、地に足がついている人が多い印象です。いわゆる“地頭がいい”人たちが集まっていて、こちらが1話すと、5くらいまで察してくれるような感覚があります。もちろん、全てを瞬時に理解できるわけではないですが、「こういうことですか?」と、自分なりに考えてつなげようとしてくれる姿勢があるのは、すごくありがたいし、一緒に働いていて心地いいです。
協調性がある人が多いのも特徴ですね。チームとして動くときに、誰かが勝手に突っ走ったり、逆に何も言わずに止まってしまうようなことがない。全体を見ながら、自分の立ち位置や役割をちゃんと捉えて動ける人たちが多いです。
また、それぞれが協調性を保ちつつも自分の意見を伝えてくれます。SEESAWでは各自の意見がきちんと尊重されるので、単に上司の指示を待つのではなく、「自分はこう考えたから、こうしたい」と言えたほうが、良い結果につながる環境だと思います。「どうしたらいいですか?」と丸投げしてしまうのではなく、自分の頭で考えて、ちゃんと理由を持って提案できる人が多いですね。
ライフスタイルも会社での立ち位置も一歩前進した今、目指す先は
── 白尾さんはお子さんがいますが、子育てと仕事の両立、リアルなところどうですか?
子どもも5歳になり、仕事とのバランスもだいぶ取れてきたなという実感があります。2〜3年前は熱を出すことも多く、そのたびに予定を調整したり、急遽リモートに切り替えたりと、バタバタすることも多かったですね。
SEESAWは、子育てに対して理解のある会社だと思います。経営陣も最初からそういったことは容認してくれていて、「子どもが熱を出したので…」という理由での遅刻や早退を咎められるようなことは一切ありません。
テレワークに関しても、ちゃんと申請をすれば柔軟に対応してもらえますし、有給も必要なときにはしっかり取れます。ただ、そこは当然ながら「チームに影響が出ないように」という前提はあります。
── これから挑戦したいことや、達成したい目標はありますか?
ディレクションもプロデュースもやって、チームマネジメントにも関わるようになって…ある程度の経験は積んできた実感があります。でもあらためて考えてみると、やっぱりまだやるべきことはあります。
ひとつは、売上への貢献です。自分の目標としても、部門やチームの数字をしっかり作っていくことは、目下の重要なテーマだと思っています。売上が上がらなければ、メンバーの給与も上げられないし、会社としての健全な循環が成り立たない。その責任はしっかり背負っていきたいと思っています。
もうひとつは、視座をさらに高めることです。これまでは案件ごとのスキルや成果に目を向けることが多かったんですが、今は「その先」に意識が向いています。個々の案件については、ある程度のことはもうどうにかすることができる。でも、それ以上に大事なのは、「組織」や「経営」についての視点を持っていくことだなと。
8年働いてきた今だからこそ、見える景色が少し変わってきた気がします。自分がどんな意思決定をするのか、チームや会社にどう影響を与えるのか。そういう“もう一段上の視点”を持って動けるようになりたい。まだ答えは見えていないですが、視座が変われば見えてくることも変わると思っていて、今はそこに挑戦していきたいフェーズに入っているのかもしれません。
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