森の力で都市部の人と企業を健康にする町
長野県信濃町は、北信五岳に囲まれ、国立公園の中の風光明媚な高原盆地帯にあります。町内にある野尻湖湖畔は日本の三大外国人保養地と言われ、避暑地としても人気です。その信濃町も2000年代には合併の波が押し寄せましたが、住民アンケートで過半数を超える住民が市町村合併しない自立の道を歩むことを選択しました。それをきっかけとして、自立した町を目指すなら目玉となる事業が必要だと感じた住民有志8名が立ち上がり様々な事業を考え、彼らが行き着いたのが、C.W.ニコル氏が提唱した森林セラピーによる保養型観光地づくりの構想でした。
当時の町行政もその構想を認め「癒しの森事業」と命名され、ドイツのクナイプ療法を見本に森林メディカルトレーナーの養成、専門宿泊施設である癒しの森の宿の育成、バリアフリーに対応したロード整備等、官民協働で取り組みを拡大しました。その結果、平成18年第一期森林セラピー基地に認定され、2020年には日本初の森林セラピー基地☆☆に昇格を果たす等、発展を続けています。森の「癒し効果」の研究、森林療法の手法、トレーナー育成のカリキュラムといった、信濃町が独自に築いてきたノウハウは、現在日本の森林セラピー基地を取りまとめるNPO法人森林セラピーソサエティの仕組みのモデルとなったほか、海外からも先進事例として注目されています。
さとゆめは、癒しの森事業開始当初より伴走を始め、事業計画の作成や、事業全体の進行管理、地域ブランド化への道筋づくりなど一体的な支援を実施しています。特にマーケティング手法を用いて、町の限りある資源を有効活用した町全体の活性化に取組んできました。
具体的には、主に都市部企業のメンタルヘルス対策に対応したプログラムを用意し、マーケティング手法を用いたプロモーションを通じて、35社(令和2年2月現在)もの企業との提携を成立させています。森林セラピーを取り入れた企業研修の導入等により、3年内離職率が大幅に下がった企業が出てくるなど、提携企業への影響も出てきており、町の交流人口も拡大しています。また、提携した企業従業員が町の新鮮な高原野菜などの特産品を積極的に購入できるようなシステムを構築し、観光以外の産業にも貢献しています。さらに、癒しの森事業に関心のある医師が町立病院に集まるなど、産業以外でも町全体にその効果が広がってきています。
2016年4月にはさとゆめの長野支社を信濃町内に設置し、更に伴走支援を拡大しており、森林メディカルトレーナー等で組織する「信濃町森林療法研究会〜ひとときの会〜」、及び癒しの森事業の発案者C.W.ニコル氏が代表を務める「C.W.ニコル・アファンの森財団」と協力し、「しなの町Woods-Life Community」を設立しました。癒しの森事業のさらなる発展を目指し、お客様の受け入れをはじめとして、町と「しなの町Woods-Life Community」が協業して事業を推進しています。