こんにちは。ロボケン社員のNTです。本日の池袋は、春の陽射しがやわらかく街を包み、七分咲きだった桜もいよいよ満開に近づいてきました。西口公園にはシートを広げて花見を楽しむ人々の姿も。さて本日は火星をテーマに書きたいと思います。
先々月、2年ぶりに火星が地球に接近したこともあり、赤い星を探して夜空を見上げた方も多いのではないでしょうか。その火星に関して先日、大ニュースがありました。フランス国立科学研究センターが、火星探査車「キュリオシティ」の採取した岩石試料から、これまで火星で見つかった中で最大の有機分子を発見したと報告したのです。
メタンの発生源
火星で観測されるメタンは、わずか1ppb(10億分の1)という微量ながら、
- 季節によって増減する
- 一部では突発的な大量放出も観測されている
という不思議な特徴を持っています。
このメタンの発生源には、大きく2つの仮説があります。
- 地下の鉱物と水が反応して生成される
- 熱水活動、火山の名残などが関係している可能性
- メタン生成菌のような微生物が地下に存在する可能性
- 生命活動の副産物として放出されているかもしれない
NASAのローバー「キュリオシティ」やESAの「TGO」などがメタンの分布を継続的に観測しており、その濃度は年単位・日単位で変動していることが確認されています。
火星で最大級の有機化合物を検出
さらに先日、火星探査車「キュリオシティ」の採取した岩石試料から、これまで火星で見つかった中で最大の有機分子を発見したとの報告がありました。2013年にゲール・クレーター内「イエローナイフ湾」で採取された岩石「カンバーランド」を、新たに装置「SAM(サンプル分析モジュール)」で再分析した結果、デカン、ウンデカン、ドデカンなどの炭素数10~12の直鎖アルカンが検出されたのです。
これらは地球では脂肪酸の分解によって生じることがある分子で、生物の細胞膜を構成する要素として知られています。そのためこれらは、生命の痕跡の可能性があります。ただし、これらの有機分子が生物由来かどうかは、まだ断定できません。なぜなら、地球でも非生物的プロセスで合成される例があるからです。それでも「これほど大きな有機分子が火星に保存されていた」こと自体が重要な意味を持ちます。この発見は、火星にも生命の起源に必要な化学進化が進んでいた可能性を示唆しています。
AIが火星生命のパターンを読み解く
この謎に挑むためには、膨大なデータと複雑な変数を扱う必要があります。 そこで、AIの出番です。
- メタン濃度の時系列データと地理情報を組み合わせ
- 異常値や季節変化のパターンを検出
- 地質情報と突発放出イベントの関連性を抽出
- 土壌成分や温度・圧力などの環境データから
- 生命存在確率のヒートマップを生成
- 探査ロボットのルート最適化にも活用
- メタン生成に関わる分子反応の再現
- 地球の極限環境生物との比較解析
AIは、火星の“呼吸”を読み取り、そこにあるかもしれない「生命のリズム」を可視化していくのです。
満開の桜が彩る池袋の街角。その空の向こう、赤く光る火星には、まだ誰も知らない生命のリズムがあるかもしれません。