データとAIでカスタマーサポートを変革するRightTouch、シリーズAラウンドで8億円の資金調達を実施し累計調達額は14.2億円に |株式会社RightTouch
株式会社RightTouchのニュース詳細ページです。
https://righttouch.co.jp/news/FpF1waA5
※この記事は2025年6月に『RightTouch公式note』に掲載した記事を転載しています。
RightTouchは2025年5月に、プロダクト3周年記念を迎え、この度シリーズAの資金調達を行いました。
3周年記念と資金調達記念として、RightTouchではリレー形式でのブログ投稿を行っています。
はじめに
RightTouchのプロダクトとロジックの関係について
既存技術を前提としない解決アプローチ
プロトタイプを確実に成功させる
1. デモやPoCで顧客に刺せる完成度を目指す
2. 高品質なフィードバックを得られる土台を作る
実データをもとにロジックの汎用性を高める
1. 大量のデータを観察してパターンを把握する
2. 未知のパターンを想定してロジックを設計する
顧客に触れてロジックをアップデートし続ける
おわりに
こんにちは、RightTouchでデータサイエンティストをしている古賀 (corgi)です。現在はRightVoCというプロダクトを中心に、機械学習やLLMまわりの開発に携わっています。
このnoteを書くにあたってみなさんに価値を感じていただける内容を考えたのですが、色々考えた結果このnoteのタイトルにあるように、私なりのプロダクトのロジック開発のこだわりを書くことに決めました。
(このnoteでは、AI/LLMや独自のアルゴリズムを用いたデータ分析機能のことを「ロジック」と呼びます)
そこで、このnoteでは日々の業務で考えている事を振り返り、プロダクトを0から作って、それを育てていく上で大切だと思っている事を皆さんにお話ししたいと思います。
本稿の構成について簡単に説明させてください。本稿はプロダクトのフェーズに合わせる形 (+α)で以下のようにしました。
最初の1つは話の導入のようなものですが、プロダクトのロジックについて語っていく上で、RightTouchの性質に触れる必要があると思ったため、書きました。RightTouchのプロダクトとロジックの関係について、私が現在担当しているRightVoCを例に挙げたので、RightTouchのプロダクトについてイメージを持っていただけると思います。
そして、以降の前半2つはプロダクトの0→1のフェーズに関する内容で、後半2つは0→1以降の内容として書きました。全体として結構なボリュームになってしまいましたが、皆さんの役に立つ内容があれば嬉しく思います。
RightTouchのプロダクトには以下の2つの特徴があります。
私は入社して約一年の間、主にRightVoCというプロダクトに関わってきました。RightVoCは「顧客の声を"聞く"から"活かす"へ」というコンセプトのもと、クライアントが顧客の声を経営に生かせるようなプロダクトを目指しています。
このRightVoCにおいても単体としての価値と、コンパウンドの1プロダクトとしての両面を考える必要があり、ひとつのプロダクトにおけるロジック設計の汎用性と、他のプロダクトとの連携における拡張性の両方が重要になります。
この汎用性と拡張性を両立するためには、これからお話ししていくような要素が重要になってくると考えています。
プロダクトで顧客に価値を届けるために大切なのは「どんな技術を使うか」よりも、「顧客の課題をいかに解決できるか」です。
なぜなら、実際に顧客にとって価値となるのは、必ずしも先端技術を使ったアプローチではないからです。私たちが提供すべき価値は、顧客を日常の煩雑な業務から解放し、本質的な価値創造に集中できるようにすることで、結果として顧客企業がエンドユーザーに届ける価値も向上することにあります。
一方で、AI・LLM分野の急速な発展により、さまざまな技術リソースがすぐに手に入り、試せるようになりました。これはプロダクト開発者にとっては非常に恵まれた環境です。
しかし、それらにただ頼るだけでは、「技術的に⚪︎⚪︎なら実現できる」と技術的制約による線引きをしてしまい、顧客の複雑かつ微細なニーズを取りこぼしてしまいます。
その結果、「一部の条件では動くが、現場で十分な価値を感じられない」中途半端なプロダクトになりかねません。
重要なのは、顧客が直面している本質的な課題を起点とし、それらをプロダクトの機能として正しい形でアウトプットすることです。
こうした考えから、私はロジックを構築する際には、「技術を探す」より先に「課題起点で考える」ことを大切にしています。
それによって、既存技術の枠組みにとらわれることなく、解くべき課題と真正面から向き合うためです。
解くべき課題と本気で向き合えば向き合うほど、これまで見えていなかった課題特有の難所が浮き彫りになります。そうした隠された壁に対して、独自のアプローチを織り交ぜてロジックの詳細まで詰めていく。その繰り返しが、小さなブレイクスルーとなり、現場で本当に動く仕組みを作り上げることができます。
実際、顧客のニーズに真剣に応えようとする過程でこそ、新しい価値やアプローチが生まれると日々の業務を通じて実感しています。顧客が「これなら本当に使える」と感じられるベースをつくることが、プロダクトを提供する企業のデータサイエンティストの役割だと考えています。
プロダクトの初期フェーズは、自由度が非常に高く、柔軟にニーズを反映できるチャンスです。そして、この段階でコアロジックをどう作るかによって、プロダクトで解決できる課題の幅や将来の拡張性が決まります。
だからこそ私は、この段階でのロジック設計には強くこだわるようにしています。
プロトタイピングを成功させるためには以下の2つが重要だと思っています。
新規プロダクトにとって最初の壁は「導入のきっかけをどう作るか」です。
このフェーズでは、顧客デモでプロダクトの価値を一発で伝えることが重要で、ロジックにもそれだけの完成度が求められます。
「これなら自社の課題も解決できそう」という手応えを実感してもらえるかどうかが、次の一歩につながるかの大きな分かれ目になります。
プロトタイピングの目的は、できるだけ早く、価値のあるフィードバックを得ることです。
特にAI等の分析機能は、挙動の不透明さから検証が複雑になりがちで、意識しなければいくらでも開発スピードが落ちてしまいます。
だからこそ、私はこの段階でできる限り多くの課題を、仕組みとして潰しておくことを重視しています。
そうすることで、顧客からの反応に芯が通り、リリース後には表層的な改善ではなく本質的な問いに開発リソースを集中させることができます。
RightVoCチームでは速攻でプロトタイプをつくり、高速でPDCAを回す開発スタイルをとっていますが、その中でも初期段階から精度や品質に妥協せず、スピード感との両立を意識しています。
RightVoCチームの開発の雰囲気を言語化してくれてるtakkenさんの記事もぜひ見てみてください。
ロジックの汎用性とは、つまり幅広い実データにどれだけ適合できるか、です。それを高めるために、実データの観察と解釈は欠かせない作業です。
私自身も、開発の初期からできるだけ多くの実データに触れ、定量・定性の両面から観察するよう心がけており、その積み重ねが、現場で機能する仕組みの品質と汎用性につながると実感しています。
特に意識しているのは、以下の2点です。
定量分析だけでなく、個々のデータに直接目を通すことで、現場特有のニュアンスや揺らぎへの理解が深められます。ノイズに見えるような異常パターンや特殊ケースの存在を把握することは、ロジックの汎用性を高めるために重要です。
現場では、開発時に想定していなかったケースが当たり前のように現れます。そのため、現在のデータに存在しないパターンを想像し、事前に対策を仕組みに組み込んでおくことが重要です。
こうした先回りの設計により、実運用で想定外のケースに遭遇しても、ロジックが破綻することなく継続的に価値を提供できます。
だからこそ私は、初期の検証段階から精度指標だけでなく実用性を重視し、ロバストなロジック設計を心がけています。
これが後々のプロダクトの安定性と成長可能性を大きく左右すると実感しています。
ここまで0→1のフェーズにおける話をしてきましたが、プロダクトとして継続的に価値を届け続けるためには、ロジックのアップデートを止めないことが不可欠です。
そしてそのアップデートの起点となるのが、顧客との継続的なコミュニケーションです。
特に、エンタープライズ向けSaaSでは、顧客の業務に“裏方”として深く入り込み、日々の業務に対する解像度を上げ、課題を正しく理解する姿勢が欠かせません。
顧客に向き合うことの重要性は、RightVoCの開発チームリーダーの giinyo さんの note でも紹介されていますので、ぜひ見てみてください。
私自身も、データサイエンティストという立場から、顧客との対話でしか見えてこない背景や文脈の重要性を日々痛感しています。
また、私がこういうことを強く意識した背景としては、RightTouchのカルチャーが強く影響しています。
RightTouchには、「RightTouchマインド」という価値観・行動指針がありますが、そのなかに「全員プロダクト担当、全員顧客担当」というものがあります。そのマインドの示す通りRightTouchでは、エンジニアが商談に出て直接ヒアリングしたり、デモをしたりする文化が根付いています。
一方、顧客の声を真摯に受け止めようとするほど、個別事情に引きずられるリスクもあるため、要望の本質を見極め、プロダクトのコンセプトや汎用性とのバランスを保ちながら、方針を判断することも問われます。
大切なのは、個別の要望を多くの顧客に価値をもたらす汎用的な仕組みにつなげ、これまで作ってきたロジックを正しく拡張する形でアップデートし続けることだと考えています。
本稿で話してきたことを振り返ってみると、最初に課題に正しく向き合ったロジックの基礎を作り、それを実データで強固なものにするといった土台が重要だと改めて感じました。
それがあって将来的により高度な顧客の要求に応えるロジックに拡張するといったことが可能になるのではないでしょうか。
こうした一連の流れを実現することに、プロダクトに関わるデータサイエンティストの責務があると思っています。
これからも、良いと思っていただける機能をつくり続けられるよう、顧客と共にプロダクトを育てていく姿勢を忘れずに、日々取り組んでいきたいと思います。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
日々の試行錯誤のなかで感じていることを、率直に言葉にしてみました。書いてきたような取り組みも、すぐに形になることばかりではありませんが、ひとつずつ手応えを感じながら、確実に前進していければと思っています。
これからも、実態と向き合いながら価値を育てていくような開発を、RightTouchの一員として粘り強く続けていきたいと思います。
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