広告宣伝物などの企画・編集・ライティングを行うコンテンツプロダクションのPlayceは、現在、設立18年目。2025年4月には5名の新卒社員が入社し、新たな仲間を迎えて、さらなる飛躍を目指しているところです。
そして2年後には、節目となる設立20周年を迎えます。変化の激しい時代の中で、Playceがさらに成長していくためには、どのような取り組みが求められるのでしょうか。時代の流れに合わせて働きながら、スタッフ一人ひとりが自己実現を果たすために必要なこととは――。
そこで、会社の軌跡をたどりつつ、20周年に向けた目標や未来に向けての思いを、Playceの代表・秋山にインタビューしました。
仕事を長く続けるため、
自身のステップアップのためにPlayceを設立
――秋山さんがPlayceを設立して18年になります。まずは設立時のきっかけや思いを振り返っていただけますか?
秋山:Playceを設立したのが2007年で、私が30歳のときになります。会社を設立する前はフリーランスの編集ライターとして活動していました。
当時は女性が今ほど社会に出て働き続けられる環境ではなく、周りの先輩も、結婚・出産すると仕事を辞めてしまったり、あるいはフリーランスになって子育てに集中したりする方が多かったんです。私自身「この仕事をずっと続けていくのって、どうやったらできるんだろう?」という思いを抱いていました。
フリーランスとしての活動は順調ではあったので、このまま一人で続けていくか、それとも同じような課題を感じている友達や知人とユニットを組んで活動するかを考えました。そこで複数の知人に相談したところ、「法人化した方がいい」と言われて。
それなら「みんなで場所を借りて、同じ空間で仕事をしよう。自分自身もステップアップしていこう」と、あまり身構えずに会社を始めました。当時は一人で仕事するのに飽きていたということもあったし、ちょっと寂しかったので(笑)。
――その後、会社はどのように変化していきましたか?
秋山:設立して3年目くらいには、大学案内の制作など、個人では受けられないような大きな仕事が舞い込むようになりました。業務内容も取材ライティングだけではなくて企画から入ってほしい、撮影や編集もやってほしい、常駐してほしいなど要望が多様化し、フリーランスの頃と比べて仕事の幅が広がっていきました。
さらに5年たつと、スタッフも増えてきて、設立当初よりも会社が組織らしくなりました。
会社が成長していく一方で、私自身は結婚によって生活が変わったり、不妊治療を検討していたりと、ライフステージの大きな変化が生じていました。そのため、これ以上の会社規模を拡大すると、仕事と家庭のバランスが取れないのではと考えることもありました。
それでも、「仲間とともに長く仕事を続けていくためにも、会社を成長させよう」と心に決めました。編集ライターとして、経営者として、時にプライベートのことも考え、スタッフのみんなに相談しながら、決断すべきことを一つひとつ判断して道を切り開いてきたように思います。
2018年に開催した、社内の研修旅行にて
――18年間で、会社の節目になったような出来事はありますか?
秋山:2017年に日本創発グループに参画したことが、一番大きな節目になりました。
グループへの参画を考えた一つ目の理由は、私の妊娠出産や、スタッフのご家族の介護など、ライフステージの変化による出来事が重なったこと。「私が子育てをしながら会社を成長させるにはどうすればよいか」「自身や家庭の事情で仕事を離れなければいけないスタッフに対して、会社としてどのようにサポートできるか」と考えた末に、豊富な経営資源を持つ企業グループへの参画を考えました。
加えて、私が過去に多忙で体調を崩し、半年くらい仕事ができなかったときの経験も影響していると思います。そのときに、「個人がド根性で頑張っても組織は成り立たない。どのような状況下にあっても、みんなが安心して働けるような、ちゃんとした組織にしていきたい」と切実に感じたことも大きかったですね。
二つ目の理由は、私自身が経営のノウハウを学べる環境に身を置きたかったこと。フリーランスの延長で会社経営を始めたので、経営の知識や経験が足りませんでした。そんな中で頑張り続けても、大きな成長は望めません。「新しい世界を切り開きたい。新しいことにチャレンジして、ステップアップするために、経営の知識やノウハウを学びたい」という強い思いも、大きな動機になりました。
これまでお話しした2つの理由から、Playceに価値を感じ、会社の成長のために経営のアドバイスをくださる企業グループと協業するためにM&Aを選択。そんな中でPlayceを深く理解し、共感してくださった日本創発グループにジョインすることになりました。グループ傘下に入ることは、スタッフにも相談したうえで決断しました。会社の価値や成長に対する意識が高まり、団結力まで強まったように思います。
目指すことを言語化し、
一人ひとりが自走していける会社へ
――あと2年で創立20周年を迎えますね。今、秋山さんが感じていらっしゃることをお聞かせいただけますか?
秋山:思えば遠くへ来たもんだ、という感じがします(笑)。
Playceを経営する中で、うれしいことと同じくらいトラブルもいっぱいありましたし、スタッフのライフステージの変化に対応した組織運営の難しさを実感することも多かったです。そんな中で、「自分も壁にぶつかりながら成長できた」っていうとちょっとおこがましいんですけど、会社を始めた頃よりも多少は知見が積み上がりました。個人的にもたくさん勉強できて新しい経験も得られた20年弱でした。
――20周年に向けて、成し遂げたいことや目標にしたいことをお聞きしてもよろしいですか?
秋山:まず、社内のリレーションを深めたいと考えています。スタッフが増えてくると年齢の幅が広がり、いろんなバックグラウンドをお持ちの方も増えてきて、価値観もライフステージも人それぞれ異なってきます。
そのため、“これからPlayceが目指していくこと”を共通言語化したり、経営ビジョンをみんなで相談したりする必要性を感じています。同時に、人事評価制度や会社の仕組みをもう少し整え、次の10年、20年と会社が持続していけるよう、さらに土台を固めたいです。
2025年入社の新入社員と
また、Playceが所属する日本創発グループ は、印刷やセールスプロモーション、ノベルティグッズなどのプロダクト制作といった、多種多様なグループ会社が60社以上※参画しています。各グループが持つ特色を掛け合わせてグループシナジーを発揮できるよう、グループ会社間の交流や協業体制をより強化したいと考えています。
※2024年12月末実績
今後は、グループ会社の理解や協業を積極的に推し進め、日本創発グループが掲げる「多様性の底力」に貢献していきたいです。グループ間協業が進んでいけば、Playceだけでなく、各グループ会社にとって、イノベーションや新しい事業の可能性も、より大きく広がるのではないかと思っています。
例えば、グループ内の印刷会社が顧客の営業サポートや印刷業務を担当し、Web制作会社がデジタルプロモーションのプランを練って、さらにPlayceがコンテンツの企画・編集・制作を担当する。このように、各社の専門性を持ち寄って密に連携しながら協業することで、クライアントの課題を解決するインパクトの大きな仕事ができるのではと考えています。
――事業がスケールしていくことを考えたときに、今から5年先を見据えて、どのようなことを目標にしたいですか?
秋山:Playceが20周年を迎えた後は、事業をしっかりと拡大させるフェーズだと考えています。お客さまを増やしたり、企画やコンテンツ制作に目を向けながら新しい事業に取り組んだり、スタッフのモチベーションが高まる仕事や環境づくりにも取り組むなどして、事業の幅を広げていきたいです。
そのために、スタッフ一人ひとりが「自走すること」が目標かもしれません。マネジメントの適切な業務差配は行うものの、スタッフが仕事を自分事化し、自ら社内で提案したり、案件を獲得したりと、やりがいを感じながら、いきいきと仕事をしてほしいですね。
編集ライターの仕事が好きで、やりたくて入社した人がほとんどだと思うので、仕事を始めた頃のコンテンツを形作るときの楽しさや、「制作物を社会に届ける」というやりがいを忘れないでほしいんです。
そのために必要なのは「仕事を自分事化して、自走すること」だと思っていて、それができるようになると新しいアイデアや動きが生まれてくるのではないかと思っています。そして、一人ひとりが自走して得た成果を、チームや会社全体の動きにもつなげてほしいと思います。
――Playceは「人とともに、よいコンテンツをつくり続けます」というステートメントを掲げています。そのような観点からも、今後はどのようなことに取り組んでいきたいと考えていますか?
秋山:まずは「チームコミュニケーションのあり方を考えたい」と思っています。
Playceはスタッフ同士の仲がよくて、本当に素敵なスタッフばかりがそろっていると思っています。ですが、テレワークを導入していることもあり、気軽に雑談する機会が減ったことで、お互いについて深く知らないことも多いと思うんですよね。
加えて、Playceではチーム制を取っているものの、制作案件はスタッフの適性や希望を重視してメンバーアサインをするため、必ずチーム単位で行動しているわけではありません。そのため、チーム単位で行動する機会が少なく、所属意識を築きにくいという課題もあります。そこで、チーム運営に関する課題を会社として整理し、チームがより機能するための組織づくりを進めていきます。
第一ステップとして「もっと、お互いのバックグラウンドや価値観、考えを理解すること」が必要だと思っています。業務上の会話をする際も、相手のバックグラウンドを分かっていると、「この人はこういう価値観を持っているから、このようなことを言ってくるんだな」と腹落ちすることが増えてくるはずで。もっと相互理解を深めたうえで「会社として何を目指していくか」を話し合える環境を整えたいですね。
社内環境の整備と並行して、研修などでもお互いの理解を深めたいと考えています。社内のスタッフが自ら講師となり、それぞれのノウハウを共有できる研修がもう少しできるようになれば、さらなる相互理解につながると思っています。
――Playceのスタッフである私も、新卒スタッフを対象としたタスク整理研修の講師を務めました。研修というより、ワークショップに近い形になりましたね。
秋山:新卒と先輩スタッフの交流が深まるような良い研修だったと思います!みなさん一人ひとりがプロで、いろんなノウハウをお持ちです。スタッフがそれぞれのノウハウを持ち寄って研修を企画したり、その場でディスカッションできるような環境が作れると、先ほどお話ししたような「自走」につながる気がしています。
一人ひとりが自分にふさわしい働き方をしながら
100年先も会社を続けたい
――会社や事業、そして一人ひとりの成長を考えるうえで、今、Playceのスタッフに伝えておきたいことをお聞かせください。
秋山:Playceのさらなる成長を意識しつつ、自己実現も目指してほしいと考えています。それには会社のことを考える広い目線と、個人のことを考える小さな目線を行き来しながら、バランスよく考えて行動することが必要です。
数年前から「+1%アクションを追加しましょう」と、みなさんにお伝えしています。仕事がちょっと落ち着いたら1%だけ新しいことをやってみよう、と考えてみる。お客さまに営業資料を送ってアプローチしてみようかな、とか。あるいは、社内で業務に関する勉強会を企画提案してみようかな、といった取り組みも+1%アクションになりますね。
でも日々忙しくて、マインドセットが変わらない方もいらっしゃると思うんです。そのため、+1%の行動をスタッフに促せるよう、経営サイドがバックアップする必要があります。経営サイドもスタッフも、もう少し視野を広くしてやるべきことに取り組んだ結果、よりよいチームや相互理解できるといいなと思います。
つまり、「一緒に、あるべき姿を探していきましょう、頑張りましょう!」ということが、一番お伝えしたいことかもしれません(笑)。
――秋山さんの長期の目標というか、その先に描く未来像ってなんでしょうか?
秋山: 実は設立当初から言っているのですが、「会社をつぶさない」ことが究極のミッションではあります(笑)。
世の中の約95%の会社は設立10年以内に廃業すると言われています。そんな中でも、Playceがこれから先も存続できるようにするには、お客さまに愛され続けなければいけないし、良い関係を築きながら仕事を続けなければいけない。世の中に存続しているどのような会社も、事業のベースやパーパスは不変でありながら、表に出るアウトプットを時代に合わせて変えているので、変革も必要だと思います。長くいきいきと働いていくには、常にチャレンジが必要ですよね。
Playceが存在する究極的な目的、いわゆる北極星のようなところをちゃんと定めておき、そこだけはぶれないようにしたいと思っています。世の中の変化が激しい時代なので、5年後や10年後を明確に考えすぎず、究極的な目的と今年1年ぐらいの目標と行き来しながら、会社経営に取り組んでいきます。
――スタッフが長く働いていくために、何か考えていることはありますか?
秋山:働き方に、もっと多様性があってもいいと思っています。例えば、週3日勤務という働き方があってもいいし、1年間離職して海外で勉強してから戻ってくるということができてもいい。社内体制の調整も必要なので確約できるものではありませんが、そういった自由な働き方も、一人ひとりが何をすべきかを考えて動けるようになったら成立すると思うんです。
高齢の方でも若い方でも、男性でも女性でも、子どもがいてもいなくても、自分の好ましい働き方でしっかりとパフォーマンスを発揮できるようにしたいですし、そういう形でPlayceを100年を目標に続けていきたいですね。私自身も社会に貢献できるうちは、一日でも長く働きたいと思っています。