こんにちは、まちづくりスタートアップ PIAZZA 代表の矢野です。
今年のゴールデンウィークは BBQ を封印し、最近話題のAIエディタのCursor とキーボードだけを友に 3日間で30時間、モック開発 を敢行しました。
非エンジニアとしては若干アドレナリン過多な連休。失敗も学びもぜんぶネタにしてお届けします!長文となりましたがご笑覧ください。
0. なぜ社長がコードを書くのか
4 月の全社会で「会社のすべてを AI ファーストに!」と大声を張り上げたものの、ふと我に返ると——
"え、僕自身が AI ファーストになってるって胸を張れる?"
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という初歩的な疑問がチクっと。
毎日ChatGPT 使って考えたり、議事録はまとめてるし、AI ニュースも追ってる。でも “事業価値” を創出できているかというと、、、、、、
ちょうど会社として、次の打ち手や事業内容を考え初めて、いくつかアイディアが浮かび始めた頃に 始まったGW。
世のレジャー客が渋滞にハマる横で、私は “ 非エンジニア社長 × AI エディタ” で未開の地へ旅立ちました。
1. 30 時間・2000 行の成果物
モックとして作ったもの以下。
1/ 自治体 HP 要約&英訳メディア(初プロダクト!)
- Backend:FastAPI / OpenAI
- Frontend: React / Material UI
- Deployment: Render / Vercel
Cursorの力すごい!v0のモック力もすごい!
ここまででで、約10時間ちょっと。3回プロジェクトを破棄して、4度目の挑戦でなんとか動くものに。これがGW前半戦。
数日空き少し自信(過信)がついたののか、もう一つ顧客ニーズからやってみたかったことを試すことに。ChatGPT曰く簡単に作れそうな感じだったので、試してみたら全く、違かった、、、、
2_ Raspberry Pi + BLE 活用した人流カウンター
- Backend:Python / Supervisor / Cron
- Frontend: HTML5 / Chart.js
※ ハードウェア増えると難易度5xな体感
うん、ハードウェアわからん。データ送信の授受むず過ぎる
苦労の果てに、なんとか動くデモまで漕ぎ着け、社内 Slack でドヤ顔リリース。もちろん “製品版” にはまだまだ高い壁がある。でも「やれば動く」を証明するには十分でした。
2. エラー山脈とメンタルジェットコースター
実際にやってみるとこんなに進まないものかと体感しました。
- ターミナルなに。今、私はどこにいる?無言だけど、コマンドで動いてる??
- ひとつ直すと、別の何かが壊れる。この世界は繊細すぎる。
- ちょっとした変更でも、すごい量のコードを書く。え、AIエディタがない時代はは全部手書きだったの??
- 生命線であるCursorのChatで、「非エンジニアにもわかるように、ステップバイステップで教えて」とプロンプト連打しまくる。。。そして最後はキレる。
- 脳死状態で、CursorのCursorの指示通り、“Accept All” を押しまくった結果、収集のつかない複雑なバグのデカ盛り丼が完成して、終わる
深夜にもうできないかもしれないと思いながら、一行ずつ直し続け、朝 5 時に LED が光った瞬間、脳内ドーパミンが花火。
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3. 学びと気付き(箇条書きで失礼)
- Cursor は単なる GPT ラッパーじゃない。 エンジニアリングの“加速器”。Devin や Windsurf も試したくてウズウズ。
- 「エンジニア職なくなる説」は 100% デマ。 本質理解ゼロだと AI が生成するのは瓦礫。最後の痒い所はまだ届かない。
- “非エンジニア” というラベルが薄まる未来。 好奇心と課題さえあれば誰でも戦える。
- 熱量 > スキル。 解きたい課題が強いほど、エラーもギャグになる。
4. AIファーストのススメ(自戒を込めて)
- 「動く」ということの重みを、改めて実感しました。
まず、エンジニアへのリスペクトが何倍にも増しました。たった数行のコードを直すだけで、全体が崩れることもある。「動いている」という状態は、当たり前ではなく、ひとつの奇跡なんだと痛感しました。 - 非エンジニアの皆さんこそ使って欲しい
なにか課題を感じたら、まず AI を開いてみてください。そして勇気を出して Cursor やエディタを立ち上げてみてください。エラーが出るかもしれないし、うまくいかないかもしれない。でも、顧客課題を一番深く知っているのは、ステークホルダーに向き合っているあなたです。あなたが動かなきゃ! - 経営としてAIファーストな会社になれるよう、必要な環境整備にコミット
この数日で、AI ツールの環境整備はもはや「福利厚生」ではなく「事業投資」だと確信しました。日々生まれるAIサービスを現場で試すには、時間も費用もかかります。会社として、それを試行できるだけの「土俵」を整えておくことが必要不可欠です。
「採用だけが解決ではない。人を採用する以前に、本当にAIで代替できないか?どうしたら目の前の壁を突破できるか?」そうした問いを一人ひとりが持ち続けることが、組織全体の思考を深めていくとも思いました。 - 「よしやろう」の精神
課題を見つけたら、まず GPT に相談してみる。プロトタイプを自分で動かしてみる。
**“考える前に動く”**をクセにしてみるだけで、現実が変わりはじめます。
そして、結局大事なのは、現場とチームワークの力
あらためて、本当のインプットは現場にしかありません。遠くから見ているだけでは、課題の本質は見えてこない。そして、複雑なものを動かすには、結局チームの力が必要です。
だからこそ、
- 自分でやってみること
- 現場に出ること
- 仲間と連携すること
そのサイクルを地道に回すことこそが、
これからの街づくりにも、社会づくりにも通じていると感じました。
5. リードエンジニア佐々木さんの感想
開発したモックを真っ先に見せたかったのが、弊社のリードエンジニアの佐々木さん。今回のアウトプットや、プロセスをどうみていたのか感想を求めたら、胸熱なコメントをいただきました(涙)
まずはエンジニアリングのバックグラウンドなしの純粋なバイブコーディングで実際に動くところまでプロダクトを作り切ったという事実がなによりも素晴らしいと思いました。また、社内Slackにシェアされていたそのプロセスの中で得た学びの臨場感や解像度がエンジニアの自分の視点からみても非常に高く、共感できるところが多いことに正直なところ少し感動すらしました。
エラーの連続に悶絶したり、一箇所直すと他の場所が動かなくなったりとかのプログラマーあるあるを高速に体験し、しかしそこで折れずに動くところまで作り切ったという事実とそれを可能にした気概に純粋にリスペクトを感じています。
会社としても生成AIを組み込んだプロダクト(チラデジ)のリリースをはじめ、開発やその他の業務を生成AIネイティブなプロセスにアップデートしていくことを模索しているこのタイミングで、トップ自らがこのような試み(自ら手を動かすこと)を実践し、そこでの試行錯誤や学びが社内にシェアされる環境あるということを、「生成AIすげーよ」と騒ぎ続けてきた自称AIおじさんとして単純にとても嬉しく感じています。
6. 今後の展望: まちづくりをテクノロジーでフルスイングする
今回の経験を経て、まず自社のプロダクトを技術レベルの理解の解像度を高めることで、今後の意思決定に役に立てたいと思いました。(早速Githubに入らせてもらいました!)
また自分の手でプロトタイプを作ってみて改めて思ったのは、テクノロジーの力はすごい、そしてまだまだまちづくりには活かしきれていないということ。
今回開発した2個目モックの人流カウンターの可能性に手応えを感じています。
まちづくりには「データの空白地帯」がある
現状の人流データの取得方法は、課題が多いと思っています。
- 人手によるカウント:コストが高く、継続運用が難しい。そもそもデータ信用できる???
- AIカメラ:初期費用が高額(数十万)、ユーザー側でプライバシーへの懸念で導入が進まないケース
- GPSデータ(通信キャリア提供):数百万円規模の導入コスト
大型なプロジェクトで予算もあれば導入できます。ただそういうケースは稀で、本当に欲しい場所・タイミングで、現場レベルのデータを取るのが難しい。実際、弊社も複数のリアル拠点を運営したり、再開発プロジェクトに関わる中で、データ不足の課題を肌で感じています。
だったら、自分たちで作ってしまおう
BLE × Raspberry Pi のモックでも、安価で・簡易に・実用できる人流データが取れる可能性があることがわかった。(とはいえ、まだデータの精度は十分ではないので精査は必要だし、実用化するにはまだまだ長い道のりがある)
ただの人流カウンターだけだと事業価値はそれほど大きくない。
ただ、弊社が展開するローカルSNSとも連携できれば——
リアルとデジタルが融合した、本当の意味で「まちづくりプラットフォーム」がつくれるかもしれない。
構想はまだラフですが、社内でもしっかり時間をとって、プロダクトチームと一緒に本格化させたいと思っています。(これ以外にもまだまだアイディアたくさんあるし)
共創パートナー募集中です!
- 「一緒にわちゃわちゃ作りたい」というプロダクト好きな方
- 「うちの拠点、実証フィールドに使っていいよ」という現場の方
- 「これサービス化してスケールさせよう」とピンときた事業開発パートナ
どんな角度でも大歓迎です。
ぜひ気軽にお声がけください! → @kohei_yano
7. 個人感想:事業家は “MMA” の時代へ
もはや、「営業だけ」「企画だけ」「技術だけ」「ファイナンスだけ」では戦えない。生成AIの登場で、事業づくりは“総合格闘技(MMA)”になった。
必要なのは——
マルチスキル × 行動力 × チームワーク。
どれか一つだけでは勝てない。全部を“ある程度”やれる人が、最速で価値にたどり着く。
ボクシングのつもりでリングに上がったら、いきなり寝技を仕掛けられた。
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それが今のリアル。
えぐい。でも、こんな時代だからこそ、武器を増やしてリングに立つ意味がある。
そしてそれは、個人にも、チームにも、まちづくりにも通じる話だと感じています。
8. 余談:Suno でこの体験を綴ったラップ
最後の2行が最高に好き。
社長だけどキー叩く、フローはトラップ
30 時間ぶっ通し、缶コーヒーでラップ
Cursor 開けば人生アップグレード
“Hello World” から word、未知のフロアへ invade
Raspberry Pi 熱帯夜、LED が赤く blink
BLE パケット拾って、人の流れを sync
「全然わかんねぇ」— それが武器
知らぬまま dive して掴む lucky ✨
(フル尺はこちら → https://suno.com/song/2e492fd1-5091-4dc8-af22-1468894e9460)
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