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物流の面白さは、生活のすべてに触れる当たり前を生み出すこと。僕がPALを設立した意味

「物流の仕事ってなにをしているの?」と自分の娘に聞かれて、こう答えました。

「スーパーでおかしを買うときに、いつでも欲しい商品があるでしょう。そんな風に、商品がいつでもある状態をつくるのが、お父さんの仕事だよ」と。幼い娘にどこまで伝わったかはわかりません。

「なんかすごそう」とはいいつつも、ぽかんとしている娘を横目に、僕はふと商品が並んだ店を見渡します。どの陳列棚にも、商品がずらりと並んでいます。

物流の仕事は、僕たちが暮らす上での「当たり前」を生み出しています。当たり前のようにお店で買い物ができて、当たり前のように宅配便が自宅に届くこと。

僕らは、その当たり前が当たり前であり続けるために奮闘する毎日を過ごしています。

営業に携わっていたサラリーマンが、物流と出会うまで

改めまして、こんにちは。PALの社長を務めている辻と申します。


■辻有吾(つじ・ゆうご)
 代表取締役

2000年にPALを設立して、今年で会社は19期目を迎えました。今回は、僕が物流の世界に飛び込んだきっかけと、この業界で将来目指している夢をお話しようと思います。

僕の社会人人生は、通信系の企業で営業を担当するごく普通のサラリーマンからはじまります。特別な愛社精神もなく、3年くらい勤めたら辞めると決めていて。実際に3年間働いて、スパッと退職しました。

退職して起業の準備をはじめますが、事業ドメインがまったく決まっていない段階からのスタートでした。ただ、前職でつながりがあった人から「これからどうするの?」と気にかけてもらう機会があって、ある人を紹介してもらいました。

会いに行ってみると、その人は人材アウトソーシング企業の社長でした。「会社やる気なら事業資金を貸すよ」と、起業にあたっての資金を工面してくれたんです。「10ヶ月で返済してみせろ」と、条件付きで。

その後、なんとか本当に10ヶ月で借りていた資金はすべて返済したのですが、手元の資金はすっからかんで。そんなときに「仕事先を紹介してください」と紹介してもらったのが、佐川急便株式会社をまとめるSGホールディングスの社員でした。

さっそく紹介してもらった担当者を訪ねてみたところ「なにやるん?」と聞かれたので、とにかくまずは「明日から来ます」と、何も考えずに物流業界に飛び込んでいきました。

そんな縁から人材派遣業を行います。どこに、誰を、どれだけ派遣するのかということを考えていましたね。

だんだんと事業は軌道に乗っていましたが、2006年に派遣業に関する法律の改正をきっかけに人材派遣業から請負へと転換します。下請け企業の請負業をはじめて、物流をいかにスムーズに回すのかということにコミットしていたんです。

そこで感じたのが、物流業界の“負”の部分でした。当時すでに、業界を見回すと意思決定を下す物流企業の経営陣の平均年齢は60歳を優に超えていたので、システム導入ひとつ取ってもスムーズに進まなくて。地道に説明し、社内で浸透させることからはじめて、ノウハウを少しずつ貯めていきました。

物流業界がデジタルシフトを求める時代がきっと訪れる

経済は10年ごとに大きな転換期が訪れると言われています。物流業界では、2010年が世代交代のタイミングでした。つまり、次の10年後である2020年には再び大きな動きがあるのだろうと考えています。

2020年には、都市部に人口が集中して郊外の人口が減少するなど、大きな人口の変化があるとされています。労働力人口は減少するけれど、日本全体の流動人口は変化しないことも、データとして発表されています。

そうなったとき、僕らの業界はもっともっと変わり続けなければいけない。そう考えて、まずは物流システムを開発し、利用することで物流業界を省人化に向けて変えて行くムーブメントを起こしたいと考えました。

そこで、外部からエンジニアを招いて、自社倉庫を借りてEC出荷代行サービスを立ち上げたんです。しかし、大コケしてしまって。
今では、事業の作り方やドライブの方法などを蓄積する期間だったのだと考えています。

失敗を通して気がついたのが、ひとまず物流業界全体にデジタル導入できるような土壌をつくらなければならないのだということ。世の中の多くの人やモノがネット社会で生きているのであれば、物流業界全体もデジタルにシフトするべきなのだろうと思ったのです。

ただ、当時の社内にWebの知識を持ったエンジニアはほとんどいませんでした。そもそもの基幹システムからして脆弱だったんですよね。そこからは、徹底的にデジタルシフトするための準備に入りました。Webマーケティングからはじまり、最先端テクノロジーをとことん研究し尽くすような日々でした。

リサーチを続けていると、産業用ロボットの進歩が著しいことを知りました。これまでテクノロジーの進歩はハードウェアによって引き起こされるものだと思っていましたが、実はソフトウェアが重要であると、そのときに初めて知ったんです。

産業用ロボットを作っている企業に足を運んで「一緒にやりましょう!」と説得して、なんとか連携を進めていきました。ほかにも、いずれ物流倉庫内のロボット制御に強固な通信環境が必要になると見越して通信事業者の方々にもお声がけして。

PALは、これまでに構築した連携や繋がりを武器に、テクノロジーとテクノロジーの接着剤のような存在になることを目指しています。物流業界のハブになるために今できることを全力で推進していきたいと思っています。

流動人口は増えるけれど、労働人口が減少する未来に僕らができること

日本は、ある意味運の良い国だと思っています。これから先の時代、人口オーナスで労働力人口が80万人ほど減ると言われています。しかし、外国人観光客の増加など流動人口は圧倒的に増える。つまり、人口は変わらずに労働力のみが減少していく未来になるかもしれないんです。

人口減少を経験した先進国はないので、それをいち早く体験できる日本は運が良いんです。

流動人口は増えるのに、労働力人口が減った未来では、今よりももっと生産性を高めなくてはなりません。阻止しようがないイベントなので、時代の流れに合わせて僕たちはコツコツと手を打っていく必要があるでしょう。きっと、2025年頃には、社会も大きく変わっているのだろうと思います。

来たる時代のために、今できることをひとつずつ準備して、時代が来る前に旗を立てて業界の最先端を走る努力を続けなければなりません。今までマンパワーでなんとかしてきた物流業界なら、とくにデジタルシフトをすることで、人でなくてもできることと人だからこそできることを上手に切り分け、省人化を図ることができると思っています。

また、2020年には通信環境が4Gから5Gに変わって生活が激変することが予想されます。公衆回線を用いたビッグバンがきっと起こることでしょう。そうなった場合に、生活の根底にある僕ら物流業界が誰かのためになるソリューションを提供できるようになれば、今後の生活のあり方も大きく変わるはずです。

たしかに人口オーナスによって、日本は変化を求められるタイミングが訪れます。しかし、むしろ経済が成長するための大きなチャンスなのではないかとも思うのです。未来に訪れるであろう人口減少のタイミングで日本経済全体が強くたくましくなったら、この先にどんなことがあっても乗り越えていけるはずです。なぜなら世界を見回しても日本ほど経済力がある国で人口減少を経験し、乗り切った国はないのですから。

そして、未来の日本は、今を生きる僕たちがいなくなってしまってからでも輝き続ける国であると思うんです。多くの外国人が訪れて、芯を持って輝き続ける日本の存在を、僕は物流業界の目線から作っていきたいと思っています。

スーパーを見渡せばなんでも揃っている国、日本。当たり前を作り出した物流業界の担い手のひとりとして、僕はこれからも誰にも気づかれることなく当たり前を生み出す存在でありたいです。


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