引用先:上海市文化観光庁
はじめに
今や、テクノロジーの発展は私たちの生活と密接に関わっており、切っても切れないほど依存しているといっても過言ではないでしょう。あらゆる物事がデジタル化され、利便性が向上していますが、私たち日本のデジタル化は世界と比べ、少し遅れを取っているように思われます。
パクテラ・コンサルティング・ジャパン(以下:パクテラ)は日本のDX化を推進させる活動の一環として、最新のテクノロジーに関する考察や事例をレポートさせていただいております。
今回は中国市場にフォーカスし、そこでのDX化の現状や事例をご紹介させていただきます。
デジタル領域における中国市場の現状
出典:中国ネットワーク情報センター(CNNIC)第45回「中国インターネット発展状況統計レポート」
早速ですが、中国のインターネット普及率とデジタル化の市場現状を考察していきます。
2020年3月時点まで、中国インターネットの普及率は64.5%まで成長し、インターネットユーザ規模は9.04億人となり、2018年同期比7508万人となりました。また、インターネットの普及により、製造業、小売り、教育など、各業界にデジタル化が浸透しつつあり、様々な新業態も登場してきました。
さらに新型コロナウィルスの影響の下、オフラインからオンラインへのビジネスモデル転換が更に加速され、デジタル化の浸透が目まぐるしく進展すると言えるでしょう。
実際に、新型コロナウィルスの影響の下、様々な日常シーンの「オンライン化」が進んでいることが分かります。在宅勤務の広がりと共に、オンライン契約への需要が増大する状況と一連政府政策支持の下、電子契約が広く各業界に利用されるようになり、業界の発展が促されました。
政府を中心としたデジタル化への取り組み
出典:中国政府政策情報サイトより整理
インターネットが著しく普及し、生活面でのオンライン化も見られる中国では政府を中心に各業態へのデジタル化が推進されています。教育業界では「オンライン授業」の推進、不動産業界においては「不動産オンライン販売プラットフォーム」が設立されるなど、今までデジタル化がされてこなかった業態も、政府主導で推進していくことで、スピーディーな変革がなされています。
出典:中国ネットワーク情報センター(CNNIC)第45回「中国インターネット発展状況統計レポート」
各業態のデジタル化が発展するとともに、中国行政サービスのオンライン化も急成長を遂げています。
中国政府が「インターネット+行政サービス」を呼びかけ、オンライン行政サービスプラットフォームの利用と、オンライン・オフラインの融合を促したことをきっかけに、2020年3月までで、中国のオンライン行政サービス利用者数は6.94億人に達し、ネットユーザー全体の76.8%にまでのぼりました。
オンライン申請、予約、審査結果などの情報をインターネット経由でリアルタイムで確認することが可能となったことで、中国政府は更なる資源の集中、統一管理、高品質の情報、規範的なサービスの実現に取り組んでいます。
各業態におけるデジタル化の事例
中国が著しいスピードでデジタル化に取り組んでいることが分かりました。
続いては中国市場でのデジタル、ペーパレス、オンライン化の事例をいくつかピックアップしてご紹介させていただきます。
教育業界におけるオンライン化の事例
出典:CNNIC 第45回「中国インターネット発展状況統計レポート」より整理
前章で教育サービスのオンライン化には少し触れましたが、2017年から、中国政府は「インターネット+教育」を積極的に発展させ、良質な教育資源のバランスのとれた配置や有効活用を推進しています。
新型コロナウィルスの影響で、「休校だが学びは止めない」政府方針の下、オンライン教育の発展が促され、中国オンラインユーザ規模は4.23億人に達し、2018年同期比2.2億人の増加となりました。
日本でもオンライン授業は浸透しつつありますが、中国のような急激な利用者数の増加は見られません。
リアルアイムが重要視されてきた教育業界とオンラインの融合が顕著に表れた事例でした。
教育サービスのオンライン化が発展すると同時に、オンライン教育プラットフォームも成熟しています。
アリクラウド 「在家学」教育ソリューション:
アリクラウドは自身のプラットフォームをベースに、一体型コミュニケーションおよびモバイルオフィスサービス「DingTalk(釘釘)」と「YOUKU」のライブ配信、録画、レコメンデーションサービスを融合し、更にはアリババのエコシステムの力を通じて、異なる教育・学習ニーズに応える総合的なソリューションを提供する。
極課ビックデータ オンライン教育・宿題プラットフォーム:
極課ビッグデータは教師・学生向けの双方の教育ソリューションを提供する。宿題プラットフォームでは、ビッグデータアルゴリズムによる、学生の学習状況に応じてカスタマイズした宿題が自動生成される。紙ベースの宿題内容もモバイル端末で自動識別し、オンラインでの宿題添削が可能。
医療業界におけるデジタル化の事例
政府政策の後押しの下、中国国内の医療業界の情報化は急速に発展しています。IDCのデータによると、中国の医療情報化市場の総支出規模は2010年の124.41億元から2020年の430.55億元まで成長し、年平均の複合成長率は13.22%になると予測されています。
広大な国土を持ち、都市部と周辺地域との医療格差が大きい中国では、もともとオンライン診療をはじめとしたデジタル医療が広がる土壌があります。COVID-19の流行や、5G 環境の整備やIoT技術などの最新技術の採用によって、医療業界のデジタル化が進み、中国のオンラインヘルス市場はさらに成長するでしょう。
医療業界におけるデジタル化の初期フェーズとして患者情報のペーパレス化が挙げられますが、浸透率は5%未満と低い数字となっております。
しかしその現状をブルーオーシャンと捉え、音声識別と言語処理技術に注力する企業、雲知声(云知声智能科技股份有限公司)が音声入力で電子カルテを作成できるソリューションを提供しています。
雲知声のUiHealthソリューション:
医者・看護師が話した内容が自動にPC・iPad・病室巡回の際に使用するモバイル設備などに入力される。医療機関のHIS、 PACS、CISなどのシステムとシームレスな連携が可能で、約35%の人工入力時間が節約できる。
製造業におけるデジタル化の事例
実は中国製造業のデジタル化の進展はすでに数年前から始まっていました。
IoT技術、MESシステムの導入により、データの利活用が促進され、生産計画から生産・加工実施までのプロセスにおいて、図面や文書など情報伝達のペーパーレース化が実現されました。また、可視化ダッシュボードなどにより、データの可視化展示とリアルタイム監視の実現も生産現場におけるペーパーレース化の実例の一つであります。
終わりに
本レポートをお読みいただきありがとうございました。今回は中国市場のデジタル化をテーマにリサーチを行い、考察や事例を紹介させていただきました。
目まぐるしいスピードで経済成長を遂げる中国ですが、その裏側であらゆる方面でデジタル化が促進され、業務効率化やサービスの質の向上が図られています。
今後も私たちパクテラはグローバルカンパニーである利点を活かし、日本だけでなく世界のマーケットに目を向け、トレンドとなるテクノロジーやそれに関する事例やインサイトを本レポート通じて提供させていただきます。
是非、よろしくお願いいたします。
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