初めまして。経営企画室、生成AI推進担当の荒巻です。
生成AIを活用して業務効率化や、事業価値を高めることを目標として活動しています。
趣味はPodcast、歴史を面白く学ぶコテンラジオを聞くことです。
2025年の夏、大袈裟にいうと、私たちの会社に黒船がやってきました。
個人的には決して大袈裟ではなく、ワクワクする夏となりました。
当時の吉田松陰が手漕ぎの船で黒船に乗ろうとした気持ちもわかります。
黒船から降りてきたのは、カリフォルニアのリバーサイドから来た、一人の学生インターンの坂本くんです。
彼は、たった2ヶ月で自社AIプロダクトをひとつ、まるっとリリースしたのち、アメリカに帰っていきました。
そんな彼のすごさと、AIが可能にする開発のスピード感についての話をしようと思います。
ナードな第一印象と、その実力
第一印象はというと、まあ、はっきり言ってNerd。つまりはオタクです。
最初のランチで話したことなんて、ほとんど日本のアニメとかカルチャーの話ばっかり。ちなみに彼は大学で遊戯王のサークルに入り、大会を主催するくらいのデュエリストです。
「どの年代のカードでもプレイできるんで」と言われたので私がプレイしていた時代のカードで実際にたくさんデュエルしました。
彼はテクニカルなプレイをしてくるので読めなくて、一気に負けます。
![]()
2004年環境でデュエルした時、彼にまっさらなフィールドにされました。
わずか2ヶ月。彼が成し遂げたこと。
彼が作ってくれたのは、提案の質を上げ、私たちのサービスレベルを引き上げるための自社AIプロダクトです。
その開発のプロセスは、まさに職人技でした。
まず、社内に散在する膨大なデータを丹念に前処理し、モデルが学習できる形に整える。モデルには、表形式データに強い最新 の「FT Transformer」を選択し、私たちのビジネスに特化させるためのファインチューニングを施していく。
損失関数(Loss)の値を睨みながらパラメータを少しずつ調整し、仮説を立てては試す、という試行錯誤を猛烈なスピードで繰り返していきました。
そして本格稼働までにかかった期間は、わずか2ヶ月。
社内でツールを使うメンバーへのヒアリングから、業務内容とデータの使い方の理解、そして、それを画面に落とし込み、バックエンドを考え、自作AIモデルと接続させてサービスを完成させるまで。
つまり、画面設計、サーバー連携、認証。
そのほとんどが、彼にとって「これまでやったことがない」領域でしたが
私たちはあえてすべてを託す選択をとっていました。
![]()
AIエージェントと雑談しながら開発する時代
どうしてそんなことができたのか?
その1つにAIコードエディターのCursorを使い始めたことに理由があると思います。
これは、AIエージェントに、自然言語で指示を出すだけでコーディングを爆速で進めてくれるツールです。
ドキュメントの参照能力が非常に高く、設計書を書けばそれ通りに動いてくれます。
それまで開発って黙々と画面に向かうイメージでしたが、彼との開発風景は、ちょっと不思議な感じです。
二人でcursorに指示を出して、AIエージェントを待たせている間に遊戯王の話をする。エージェントが作業を終えたらレビューをしてまた指示を出す。
私たちは正直、待っているだけ。もちろん、待ち時間に別の仕事もしてました。サボってはいません。
そうこうしているうちに、サーバーはどれがいいか、データベースはどうするかという構成も決めて、ツールは無事リリースにこぎつけました。
画面も、サーバー周りも、認証も、そしてもちろん核となるAIモデルも、学生がわずか2ヶ月で仕上げてくれたんです。
開発とデュエル。
彼と開発を横で見ていて、強く感じたことがありまして
開発中の彼のテンションが、遊戯王をしている時と一緒なんですよね。
「AIエージェント、神っすわ」「はっや!」
「見てください、もうこの機能できた」
「画面イケてません?」「モデルの数値、また上がったっす」
ヤツは仕事中こんな感じです。デュエルしていて、私の戦略を潰していくときの彼のニヤニヤとした顔と一緒です。
私はものづくりやテクノロジーってこうやって楽しいものなのかとハッとさせられましたね。
開発という大海原
私はこれまで「あれ作りたい」「これ作りたい」って思うことがありましたが、開発ってやはり大きな壁に感じていました。
幕末の日本人にとっての目の前に広がる太平洋みたいなものかもしれません。
黒船が来て「海を渡ったその先に行けるかもしれない」「というかこの船ってどうやって動いてるの???」みたいな。
ただ今となっては「あ、こんなワクワクする創作活動が、AIのおかげですぐ手の届くところにあるのかも」って思っています。
彼との開発を通じて、海の渡り方が少しわかった気がしました。
黒船来航。
2025年の夏、会社に訪れた黒船こと坂本くん。
AIに何ができるのか、その可能性を彼は見せてくれました。
彼は現地の大学を卒業後、黒船ばりの再来(就職)をしてくれる予定です。
坂本が黒船としてやってくるなんて、歴史的にはちょっと矛盾してるけど。
かの日本の江戸を終わらせたように、弊社にも明治維新ならぬ令和維新が始まろうとしています。
黒船が来航したときに詠まれた狂歌、
「泰平の眠りを覚ます 上喜撰 たった四杯で夜も寝られず」
これを弊社流にすると、
「停滞の眠りを覚ますLLM たった二月で夜も眠れずに」
そんな変化を感じています。
![]()
ジョン万次郎さながら、沖縄での社員旅行を楽しんでいる坂本くん
最後に
この記事で紹介したのは、単なる学生インターンの成功体験談ではありません。
一人のプロが事業の課題に挑み、わずか2ヶ月でAIプロダクトをゼロから生み出した、これは私たちのチームが日々取り組んでいる挑戦そのものです。
そして彼が、意図せずして示してくれたこの姿こそ、私たちが今後のインターンシップで目指すロールモデルとなりました。
しかし、誤解しないでほしいのは、彼が一人きりでこの偉業を成し遂げたわけではない、ということです。
それはさすがにハードモードですから。
私たちのチームには、リーダーの竹之内がいます。
プロジェクトの指針を示す彼は、いわば英語も話せるし国際情勢にも詳しい坂本龍馬。
黒船来航時にいたらさぞ心強かったでしょう。
そして私、荒巻も、来る日も来る日もXに張り付いて最新のAIツールを遊び倒しているので、実践的な情報提供ならお任せください。
大学で専門知識を磨いてきた方なら、坂本くんや彼以上に活躍できるポテンシャルがあります。
少しでも心が動いた方は、ぜひWantedlyからご連絡ください。お待ちしています!