こんにちはoceanizeインターンの木内陽翔です。
巷ではVRが脚光を浴び、動画はついに360度の世界。GoogleMapで世界中どこへでも擬似旅行ができる現代にあっても、その場所の空気感(気温とか湿度とかにおいとか)や食べ物の味はまだ実際にその場に行かないことには確かめられません。
触覚・嗅覚・味覚というと五感の中では得られる情報量が少ないと言われる3つですが、しかしそうした情報が思い出を彩るスパイス的な役割を果たしてくれているのかもしれません(おしゃれ)
お寺の周りのクチナシみたいないいにおいも写真からは伝わらない…
異国の地での生活の楽しみの一つは食事です。
言葉が通じなくても初めましてでも、おいしいごはんさえあれば割となんでもよくなります。
バングラデシュの料理の特徴として言われるのが大量の油、大量の塩、そして大量のスパイスによる味付け。
いかにごはんが進むかに特化された料理です。
濃いめの味付けでご飯が進むことうけあい。
オフィスでの食事は以前紹介した通り。お皿に山盛りのご飯、そこにトルカリ(カレー)とダル(カレー味豆スープ)さらに副菜が付いていたりいなかったりというようなメニューです。
大量の調味料たちによって調理された川魚やマトンはあらゆる”臭み・癖”を完全に制圧されスパイシーなカレーに姿を変えていきます。
毎日カレーですが、まずぼくはそもそもカレー大好きですし辛さにも徐々に慣れてきました。カレー最高です。
おかずや調理方法に大きな違いはありますがお米が主食という点では同じです。
日本人の主食、お米。
水田という言葉があるように米を育てていくには水を貯める、そして排水する設備が必要です。いかに水を引きそして排水させられるか、平らな土地を作れるか、お米作りには様々な技術が要求されます。
よりによってなぜ、主食である米がこんなにもめんどくさい作り方をしなければいけないのか、というかよくこんなにめんどくさい工程を踏む植物を、発見し育てられたものだな、と疑問を抱いて生きてきました。
米と豆腐は”よくその方法にたどり着いたな界”のツートップとして長年君臨し続けてきました。
大豆を砕いて絞った汁ににがりを加えてかためる…何じゃそりゃ
しかしこちらではちょっと様子が違います。
お米を育てるのに水を張らなきゃいけないのではなく
そもそも水が張ってる場所を田んぼとして利用してるのです。
バングラデシュは日本と比べて年間約1.5倍もの雨が降ります。
そしてその年間降水量の4倍の水がヒマラヤから流れ込んできます。
雨季はこれから。こちらはネットで拾ったダッカの写真。
雨季に川が氾濫することなんてザラ。
氾濫した川の水が低地に残り街のあちこちに湖のような沼が出来上がります。
あちこち水浸しなのです
そしてそんな場所を利用して田んぼを作る。
イネの原産は中国中南部もしくは東南アジアと言われています。
モンスーン地帯でバングラデシュのすぐ近くです。
そもそもイネはこの辺りで生まれています。
水を張ったりしなきゃいけない手間のかかる植物なのではなく、そもそも水浸しのところで生まれその環境に適応した、と考えられるのかもしれません。
どうにかして原産地の気候を再現しようと、悪戦苦闘した結果生まれたのが田んぼだった、とかだったらなんだかロマンを感じます笑
田んぼにボート。
それから食事に関連してもう一つ。
こちらの人は手で食べるのが一般的です。
お昼ご飯を一度箸で食べようと試みたことがあるのですが
カレーもスープもさらっさら、お米はパラッパラなのでとても箸では食べられません。
ここでの食事にあっては日本をはじめ東アジアで使われる箸は全く機能しないことに気がつきました。
バングラデシュ料理に箸は不向きのようです。
食材はとりあえずぶつ切り。
日本では
骨をいちいち取るのがめんどくさいから魚嫌い、
なんて人がいますが、ここでは魚に限らずどの肉も骨だらけです笑
しかし手で食べてるのでそもそも口に入れる前に簡単に骨を取り除けるためさほど気になりません。
手で食べる習慣が身についてきた今日この頃、
「不浄の左手」がなんと合理的なルールなんだ!と感動しています。
というのも、手で食事をするわけですから食べ物を触る手は清潔にしていたいわけです。
そりゃ今はいつでも石鹸で手を洗うなんてことができますが
水道もない時代にはそうもいきません。
右手は食べ物を食べる時にとっておく、その分左手が頑張る
そんな棲みわけをして食あたりのリスクをぐっと回避してきたのかもしれません。
ここは熱帯地域。日中の気温が40度に達する日も珍しくない環境にあって
食あたりのリスクなどにはものすごく敏感であってしかるべき。
食あたりというキーワードからイスラム教の
「死肉禁止、アッラーの名の下に屠殺された肉じゃないと食べてはいけない」
というルールも、新鮮なお肉だけ食べましょう、そのために殺さなければいけない動物たちには感謝の気持ちを込めましょう、と言われるとすごく納得できる。
なんだかいろんな知識が生活環境と結びついてくる感覚がすごく楽しい。
社会科の教員を目指していたので自分の興味にぴったりくるというのも相まって、これはこの場所にいなきゃできなかった発見だな、とちょっとした知的興奮?を味わっています笑
ちょくちょくこんな小さな発見も記録していきたいと思います。
それでは!
বিদায়!