社会人1年目ともなると20年以上も前の話。
グラフィックデザイナーとしてキャリアをスタートさせた私はTGC協会会長のもと、社会人として、またデザイナーとしてのノウハウを叩き込まれました。
PCがまだ普及する前で今では想像出来ませんが、線を1本引くのにも丸1日費やす事もあった程、全て手作業での制作環境。とにかく早く仕事を覚えて頭の中にあるイメージを表現できる技術を身につけようと、業務終了後も必死に技術を磨き続けました。
ある日突然、要らない!
そんな時、突然奴がやってきたのです。
せっせと手作業で作っていた入稿データをデジタル上で制作。写植屋さんに必要な文字を印画紙に焼いていただいたものを切ったり貼ったりだったものが、画面上で一瞬のうちに仕上がってしまう。革命的でした。
今までやってきた作業はいったい何だったんだ?とその当時思いましたし、作業効率も格段に上がったので、さっさと仕事終了させ遊びに行きましたよ(笑)。
でも、すぐに感じたんですね。効率が上がった分、他の時間を割いてデザインの精度を上げなければ生きていけない。
デジタル世代の強みと。。。
日々進化する技術について行くのは当然ですが、それが目的となっては本末転倒。
その武器をいかに使いこなすか?その点で、デジタルが日常に浸透した今の世代は情報の処理能力が格段に早い。その中でも、どう扱えばよいのかを理解している人がリードしているように思えます。
デザインの世界ではやはり手段でしかなく、まずはアイデアが大事なのは言うまでもありません。そんなときに役に立っているのが、やはり手で書くという事。落書きレベルで構わないので、色んな無駄と思える線を描いたところから実は、素晴らしいアイデアやヒントが隠されている事があります。これはデジタル作業ではなかなか味わえないプロセス。
社会人1年目に私がやっていた事は、技術が進歩すればするほど、無駄では無かったという事を実感する日々です。