マザーハウスでは「途上国から世界に通用するブランドをつくる」という理念に共感した仲間たちが日々働いています。
「なぜマザーハウスに入社したの?」「実際に働く中でぶつかった壁は?」「仕事を通じて実現したい夢は?」等々、マザーハウスではたらくリアルをスタッフに聞くスタッフインタビュー。
今回は2018年に中途入社した吉浪さんを紹介します。
プロフィール
吉浪優香 コミュニケーションデザイン部門 PR Promotionグループ ITベンチャーで営業、マーケティングを経験後、起業を経て、入社。マザーハウス入社後は、コレド室町店などで販売スタッフを務めた後、レザーバッグ回収やリメイクを担う「R事業」の責任者に。本店隣にオープンした、全国でラスト10点以下のレアなプロダクトを届ける「最後の一品店。」の立ち上げも担う。現在は、PR Promotionグループで、マザーハウスを新しい方に知ってもらうために、新規企画やSNS発信を担当している。
途上国に貢献するとは何なのかを考えた日々 ーマザーハウスに入る前は何をされていましたか?
広島県出身の私は、平和教育を受けて育った影響で、国際関係や、平和に関する仕事をしたいと思い、大学時代にはケニアで道路整備をするNGOでのインターンを経験しました。しかし、大人たちは、短期的な労働機会の提供にとどまり、継続的な経済活動のサポートが難しかったり、子どもたちは、公立学校の先生が低賃金なことを理由に数か月間ストライキをしており、毎日2-3時間かけて歩いて学校に行っても勉強ができなかったりと、経済的、政治的な問題が多くありました。
学生時代に参加したケニアでのインターン
「本質的なに問題解決をするために、経済的に自立するためのアクションができないだろうか…」 と思いながらケニアから帰国しました。その後、大学時代の友人から 『裸でも生きる』 (マザーハウス代表の山口絵理子著)を勧められて、マザーハウスを知りました。
しかし、当時新卒採用の枠がなかったので、まずは実力をつけるために、大学卒業後はベンチャー企業で営業とマーケティングで実務経験を積みました。
ーマザーハウスとの出会いは本だったのですね。一度他の会社でお仕事された上で、中途採用を受けようと思ったきっかけを教えてください。
会社員と学生が対話する「働くとは何だろう?」というイベントへの参加がきっかけでした。イベントでは社員同士のトークセッションがあったのですが、 「途上国から世界に通用するブランドをつくる」という目標のために、スタッフ全員が一丸となっていることに心が動きました。 途上国の素材や手仕事に光を当て、お客様が商品を喜んでくださり、新しいものづくりで職人がスキルアップする。 援助ではなく、経済的な自立を促す好循環が生まれる仕組みなら、持続的に途上国に貢献ができる と確信しました。
誰もやっていないからこそ、カタチにしたい ー今までで一番やりがいを感じたエピソードを教えてください。
マザーハウスでは「 ソーシャルビンテージ 」といって、ケア・修理・回収のトータルサービスを通じて、お気に入りのプロダクトを長く大事に使っていただけるサポートをしています。
お客様のもとで役目を終えたレザーバッグを回収し、生まれ変わらせる 「RINNE(リンネ)」 の企画・開発を通じて、より多くのお客様にお届けできるようになったり、RINNEの取り組みを知って入社するスタッフがいたり、店頭でお客様から「RINNEが好き」と言ってくださる機会が増えてきたり。
「自分がやってきたことが点と線で繋がった感覚」 を持てて、続けてきてよかったと心から思えました。また、その中でお客様により安心してケアや修理のご相談にのれるよう、企画・制度設計を行なった社内資格である「ケアマイスター」が続々と増えて、活躍の場を広げているのも嬉しいですね。
ー新しい挑戦をする中で、ぶつかった壁はありましたか?
新規事業のR事業を立ち上げる時、誰もやり方とゴールの答えを持っていないことへの挑戦は壁の連続で、 「こんなに難しいことなのか…」 と途方に暮れていました。事業が軌道に乗るまでは「自分の存在意義って何だろう?」と感じる時間も長かったです。
それでも、 責任者として私が前進させて価値を発信していかないといけない 、と気持ちを切り替えて、なんとかカタチにしようと社内のいろんな立場の方に協力をお願いしたり、「学びお助け制度」という、外部での学びに補助をしてもらえる社内制度を活用して、経営大学院に新規事業の立案について学びに行ったり、 必死に形にしようと、事業と自分に向き合う日々 でした。
目の前の課題解決を積み重ねることの大切さ ー吉浪さんが企画した「復刻ジュート」のプロジェクトについて聞かせてください。
在庫や資材の活用など、ものづくりを続けるからこそ直面する課題があります。お客様から回収したレザーや生産の過程で出る端材を本当に全部ちゃんと使いきって、持続可能なブランドでありたいと思っています。
今は、まだまだ使い切れていない資材を、どのようにおもしろく使うか、ということに力を注いだ結果誕生したのが 「復刻ジュート」 のプロジェクトでした。
ープロジェクトはどのように始まったのですか?
2年前、最後の一品店。を立ち上げて間もない頃に、 ファクトリービジット *に参加しました。 その際、ものづくりのチームから「バングラデシュの工場に眠っている素材を活用できないか?」と相談を受けました。工場に訪れて見ると、創業期にたくさんのお客様に手に取っていただいたプロダクトであるジュート素材などが眠っていたんです。
最後の一品店。で、ラスト10点以下のレアなプロダクトとの出逢いを喜んでくださるお客様にたくさん出会ってきたので、なんて魅力的な素材なんだろう!と思いましたね。どうにかして活用したい、お客様にも喜んでいただけるのでは?と企画を考えはじめました。
*ファクトリービジットとは 販売国のスタッフが自社工場など生産現場を訪れ、職人たちと触れ合い、生産工程や素材について学びます。また訪れるスタッフは販売国を代表して、お客様のことやお店のことを伝える等、ミッションを持って現地に向かいます。お互いが学び合い、教え合うことを目的とした研修制度です。
そして、工場長のマムンに20枚くらいの英語のスライドを持って、交渉に行きました。 最初は難しい顔で話を聞いていたマムンでしたが、最終的には「吉浪さんがやりたいことは分かった。Let me try first!」と言ってくれて、工場のみんなを巻き込んでのプロジェクトが始まりました。
ファクトリービジットで工場長のマムンはじめマネージャー陣に新プロジェクトを提案中
創業以来大切にしてきたジュートの素材を最後まで活用して届けたいという思いから、サンクスイベントの際に、お客様投票で東京と大阪とそれぞれで1位になったバッグを復刻することになりました。
ありがたいことに、「このバッグ実は買いたかったけど、当時買えなくて…久々にお店に来たら出会えたから買わせてもらうよ!」や、「創業期に購入した同じバッグだいぶ使い込んだから、お知らせを見て急いで買いに来ました!」と続々お客様がお越しくださり、半年ほどで完売しました。 眠っていた素材も活かすことが出来たのは、本当にマムンの言葉があってのことだったなと思います。
左:Triangle Tote M ナチュラル 右:Edge Messenger ダークインディゴ
ー売り切るシナリオが吉浪さんの中にはあったのですか?
実際にプロジェクトが始まったら責任を持って最後まで届けきろうという想いはあったのですが、 企画当初は、正直震えながら始めたところはありました。 それでもやっぱり、工場のマネージャー陣や職人たちがサポートしてくれて形になったので、あとは自分が届けるだけだと必死にプロジェクトを進め、結果としてお客さまにも喜んでいただくことができました。
つくり手の責任として、本当の循環を目指す ーRINNEの新作「Rinne Living Toy」も、ファクトリービジットがきっかけで始まった企画なんですよね?
そうなんです。子どもたちの教育や年代問わずに楽しめるものを作りたいという想いから、レザーで作ったパズル「 Rinne Living Toy 」が誕生しました。
これまで発売したことのない、子ども向けトイ発売に向けて、お客様コミュニケーションやPRプランの新規設計を行い、プロダクトと親和性のある店舗でのイベント企画を行いました。
「Rinne Living Toy」
立川本店にて行ったイベントの様子
結果、集客効果を最大化することができ、リメイクレザーを多くのお客様に届けられたことは嬉しかったですね。課題をポジティブに解決していくことで、ブランドがより強くなれるんじゃないかと信じています。その思いは社外にも広がって、今年、「GOOD TOY AWARD」「キッズデザイン賞」の2つの賞を受賞することができました。
ー誰もやったことのないことを形にし続けてきた吉浪さんが、次に挑戦したいことを教えてください。
マザーハウスのスタッフみんなが主役になる企画を考えていきたいです。例えば、現在、学校や企業からの講演会の依頼などは店長にお任せすることが多いですが、いろんな立場のスタッフに経験してもらうことで、マザーハウスを様々な角度から知っていただけるような広報の在り方を目指していきたいと思っています。 それから、マザーハウスを知っている方にも、これから知る方にも、ブランドの今を届けていく方法を考えていきたいです。今後は、SNSの責任者となるので、PRアクションと掛け合わせながら、ブランドのいろんな側面を伝えていけるようにアクションを続けていきたいなと思います。
途上国から世界に通用するブランドを「つくる人」に。 「途上国から世界に通用するブランドをつくる」という理念を体現するために、目の前の先入観や常識にとらわれず、常に本質的なことは何かを考え、 生産国、販売国の垣根を超えた仲間と共に、前例のない挑戦を続けてきました。世界に通用するブランドになるために共にマザーハウスで挑戦する仲間を募集しています。
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