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台北に行ってみて

クライアントに呼ばれて台北に行ってきました。

普段は往復に時間もかかり不経済なのでWeb会議が主流なのですが、先方から生身で会話したいとのご用命を頂き、私自身も10年以上台北を訪れていませんでしたので赴くことにしました。

観光地のことをここで書いてみても仕方ないのですが、観光自体が地域を豊かにするための手段であり、地域全体が豊かにならないと観光地として長続きしないと実感できましたので、その辺りについて書いてみたいと思います。

観光業はそのものずばりビジネスですが、観光ビジネス関係者の目線だけでは成立しませんし先細りしてしまいます。その地域で生活している人が幸せに暮らしているという実態が長続きさせるための必須条件となります。つまり観光事業者が自ら率先して地域を豊かにするという発想がないといけませんし、地域の人も観光事業者だけに任せるのではなく自分も主体的に関わる必要があります。

例えば一時期に盛んに聞こえたワードに「爆買い」というものがありましたが、これを俯瞰的にみると、一部の免税品点やアウトレットモールなどに買物客が集まるだけのでした。構造的には他所から仕入れたもの(製品)を売っているだけになるので地域にとっては利潤が薄く、売上は上がっても地域の利益には貢献しないビジネスモデルとなっていました。

昨今の日本型経営であれば、量的満足のほかに質的満足も問われて然るべきなのですが、何故か観光業界においては客数だけの議論に終始してしまっているように思えます。ですが観光客は何を見ているかといえば、海外に行った時に私たちがそうであるように、観光地の活気であったり現地の人とのコミュニケーションだったりしないでしょうか。

日本ではインバウンドという言葉の元に、観光振興のための補助金や助成金が鈴なりに準備されてバラまかれています。でもこの補助金を手にしているのはほとんど東京から来る大手企業で、地域を良くしようと新参者や老舗には残渣程度しか落ちてきません。

空港コンセッションが良い例でして、地方の基幹空港ともなれば必ず東京の業者が徒党(JV)を組んだり単独で名乗りを上げて群雄割拠する構図が成立します。昨日の敵は今日の友という節操のなさも何のそのです。ここに地方を盛り上げるという思想や、地方が豊かにしていこうという発想は見えてきません。(もちろん能書きや美辞麗句は踊りますが)

結局は地方をダシにして東京にお金が吸い上げられて、地方は華やかになったように見えるものの収益構造が悪く「見せかけの活気」に踊らされたままで、豊かになれないままです。地方の雄と協力して空港を盛り上げようとしない地方銀行の姿勢も残念だなと思います。

インバウンドと地方創生(私は上から目線に感じるので地方活性化と言いたい)は対になるもので、地域の末端までお金という名の血液が循環しなければ意味を成しません。(私はこれを脱首都圏集中による富の地方移転と呼んでいます)

台北に行くと日本のように歪んだ構造はなく素直に経済力と人々の活気が結びついているのを感じますし、一市井の方まで来訪者に自然に振る舞える姿を羨ましいとさえ感じました。

彼等と話すとお世辞なのか日本に憧れを感じると言ってくれますが、日本が無くしてしまったものを持ちながら発展を続けている彼等の方が文化度は高いのかもしれない。正直なところ、そんな印象を持ちました。

こんな機会を与えて下さったクライアントに感謝です。

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