2021年にメディアジーンに入社し、第2メディアプランニング部門を統括する吉岡聡さん。Web業界に長く身を置きながらも、前職では異郷の地・中国でまったく別業界の会社の代表をしていたという珍しい経歴の持ち主です。今回は、その個性的なキャリアとメディアプランニング部門でのこれからについて、新入社員の茂木と永野が話をうかがいました。
海を渡って中国市場に挑む。
―今年の初めまで中国にいらしたというのが印象的です。大学を卒業してからは、どのように働かれていたのですか?
新卒で入社した会社が広告代理店で、広告よりも制作案件の受託が大好きでした。当時はまだWebの黎明期で、まともに制作できるスタッフも少ないなかでどのように企業の思いをWebで表現するかを追求していくうちに、専門のWeb制作会社に転職しWebプロデュースを専業に行うようになりました。そのなかで海外市場を意識するようになり、当時最も活性化していた中国の上海に支社を設立しようとなって、海外法人代表として設立と運営を行ってきました。
―当時はまだ中国に進出する日本企業も少なかった頃ですよね。
サービス業はまだ多くない状態でしたが、メーカーや商社は昔から製造拠点として中国に進出していました。中国が製造拠点から販売市場へと発展する最中で、オンラインでの情報発信の重要性が高まるタイミングが重なったこともあり、受注には事欠かなかったですね。受託可能な企業が少なかったことも理由のひとつです。同じことをやるにしても、場所とタイミングという要素が事業の成長には極めて重要だということを学びました。
新しいことに挑戦できるのはチャンスでこそあれリスクではない
―吉岡さんはそこで支社長に就任しています。いきなり中国で、それも新興の業界で経営とマネジメントをするのは大変でしたか。
クライアントの多くが日系企業だったので、意思決定プロセスが同じという点ではストレスはなかったですね。
何が大変かというとやはりマネジメント。社員がほぼ全員中国人ということです。教育的な背景がかなり違う。それに、歴史的な経緯もあり中国人というのは日本人に対する複雑な思いを持っているので、仲間として認めてもらうことと、成長意欲を共有していくことに一番苦労しました。
―中国で転職された時も、代表の立場に就任していますよね。
中国の経済発展に伴って、このまま日系企業に対する仕事を行うよりも現地の中国企業に対してのビジネスに関心が高まり、人材・教育というまったく業界の違う会社に上海法人代表の立場で転職しました。
ー未知の業種への転職に不安はなかったのでしょうか。
現在はこのメディアジーンでメディアという経験のない分野で関わらせてもらっていますが、新しいことに挑戦できるのはいくつであってもチャンスでこそあれリスクではないと思っています。多くの法人と接して様々なビジネスを理解してきた経験があれば現業の最適化についての考えは生まれますし、マネジメントに限らず異業種への転職への抵抗はまったくありませんでした。
―メディアジーンでも部門長としてマネジメントを担当されています。一貫して責任ある立場でキャリアを選ぶことができるのは、経営やマネジメントのプロという印象を受けます。
これまで支社長や代表、今は部門長(執行役員)といった立場で働いてきましたが、自分が経営のプロだとはまったく思っていません。完全な叩き上げで自己流です(笑)
メンバーから日々業務を教えてもらいながら自社のリソースを把握し、強み弱みを理解した上で、対策と勝ち筋を毎日考えているような状況です。ただそれを考える上でも財務指標とにらめっこを続けた経験は役に立っていますね。
新天地・メディアジーンでの挑戦
2021年に吉岡さんはメディアジーンに入社し、第2メディアプランニング(MP)部門の部門長に就任。 MPはメディアジーンが展開する媒体へ記事広告を中心としたメディア広告出稿の提案を行っている。
―中国で実績を積みながらも、日本に戻りメディアジーンに入社した理由はなんですか?
まず、今田さん(代表取締役CEO 今田素子)に惹かれたというのがあります。知人の紹介で会話をさせていただいたときに、とてもフェアな経営観を感じました。明るく前向きに真っ直ぐ成長を目指している会社だと思います。
また我々に限らず、今後日本が中国と関わらずに事業を成長させていくことも無いと思っています。海外、特に中国から見た日本を知り、中国の人々と10年以上机を並べて仕事ができた事は、引き続き自分にとっては大きなアドバンテージだと思っています。
―今までのご経験をどのようにMPの仕事に活かしていきたいですか?
顧客のビジネスを理解し課題を解決するというアプローチは、法人相手のビジネスなら基本的に同じです。そのソリューションの手段として非常に強力なメディアを与えられたと思っています。まだまだ勉強させてもらっているところではありますが、私にしかできない事はたくさんあると思っています。
―実際にMPの部門長になられて、どうですか?
Webメディアについて考え続けています。媒体は読者にあらゆる情報を伝えていくと同時に、クライアントのメッセージを伝える場でもある。メディアプランニング部門はクライアントと接するという意味では営業職ですが、実際の業務は「企業の思いやメッセージをどのような手段と表現で伝えるか」というクリエイティブを含む企画要素の比重が非常に大きい職務だと感じています。実際、メンバーについてもクリエイティブ志向の社員も多く、表現の追求と業績を牽引する立場としてのバランスが難しいところです。
―MPは現在記事広告の出稿の提案をメインとしてビジネスを行っています。部門長として、これからMPで何をしていきたいですか?
これだけ個人が情報発信する時代になって、今はメディアの価値が問われている時期です。だから『BUSINESS INSIDER JAPAN』や『ギズモード・ジャパン』など自社メディアを連携させて一次情報発信者としての立ち位置を強化していきたいですね。
『BUSINESS INSIDER JAPAN』のグローバルメディアとしての強み、ソーシャルでの発信力の強化、読者を巻き込むイベント、これらの強みをどう活かしてクライアントとともに成長していくか、やりたい事が多すぎてまったく手が足りないのが現状です。業界問わず、私たちのメディアという立場を使って何かを成し遂げたい人はいつでもご連絡いただきたいと思っています。助けてください(笑)
吉岡聡(よしおか・さとし)
学習院大学法学部卒業。新卒で広告代理店に入社し、Webサイトのプロデュースを行う。 その後、Web制作会社に移り取締役就任後2008年より中国における法人設立を担当し支社長に就任。 2014年よりヒューマンホールディングス株式会社にて上海法人の代表として経営に携わる。 2021年インフォバーングループ本社に入社、同年株式会社メディアジーン第2メディアプランニング部部門長、執行役員就任。